ワンオペ育児 なぜ起きる? 解決するには?
ワンオペ育児とは?
「ワンオペ」とは、「ワンマン(one-man)」と「オペレーション(operation)」を組み合わせた和製英語で、本来2人以上でこなす分量の仕事を1人でまわしている状態のことです。
コンビニエンスストアや飲食店などで、業務すべてを1人でこなす過酷な状況が、ブラック企業の悪質な例として社会問題になりました。
そこから、パートナーの単身赴任などなんらかの理由によって、1人で家事・育児のすべてをこなさなければならない状態のことを「ワンオペ育児」と表現するようになったのです。
日本では、子育てや家事の負担が夫婦のどちらか一方にのしかかっている場合が多く見られます。
ワンオペ育児の原因は?
ワンオペ育児の原因として、いくつかが挙げられます。
パートナーの仕事が忙しく帰宅が遅い
パートナーが朝早くから仕事に出かけて帰宅も遅い、という場合や、夜勤の場合も、実質的に育児や家事を1人でこなすことになりがちです。
それに加えて、2人の実家が遠方にあったり、親の体調が悪いなどの理由でサポートが受けられなかったりする状態だと、夫婦2人が揃っているとはいえ片方に大きな負担がかかります。
パートナーが育児・家事に無関心
夫婦共働きで結婚後子どもが生まれるまで、すべての家事を夫婦のうちの一人がこなしていた場合、出産後もそれがそのまま続いていることがあります。
仕事が休みの日でも、パートナーが育児や家事をまったく手伝わない場合、1人に負担がかかります。
パートナーが単身赴任になった
パートナーが単身赴任になった場合、多くても月に数回しか帰宅できない場合が多いと思います。
海外に単身赴任ともなれば、めったに帰ってくることもできず、帰ってきたとしても年数回ということが多いでしょう。
そうなった場合は、家事や子育てなどすべてを1人でしなければなりません。
離婚や死別してしまった
パートナーと離婚や死別をした場合でも、近所に実家がありサポートを受けられる場合はいくらか負担が改善されますが、そうでない場合は「自分1人ですべてをしなければならない」ことになり、精神的にも経済的にも大きな負担がかかります。
解決するには?
1人に育児や家事の負担がのしかかってしまうと、本当につらいものですよね。
子どもが年子や双子などの場合は、さらに負担が増します。
ワンオペ育児のつらさからノイローゼになったり、うつになったりしてしまう場合もありますので、そうならないためにできることをいくつか紹介します。
パートナーと話し合う
まずはパートナーと話し合ってみましょう。
「言わなくても見ればわかるはず」という思いは、なかなか相手には届きません。
「どうしてわかってくれないの!?」と感情的に伝えてしまうと、ケンカになってしまうこともあるかもしれません。
しっかりと理論的に言葉にして伝えることで、よりよい話し合いができます。
パートナーと話し合う前に今の現状や悩みなどを書き出しておき、一度自分の中で整理をしてから、ゆっくりと時間のとれるときに「相談があるんだけど、今いい?」と、話を切り出してみましょう。
現状を伝え、分担したいことを具体的に挙げるなど、わかりやすく伝えることで意外とすんなり理解してくれることが多いものです。
外部に助けを求める
さまざまな理由で、夫婦で分担できないこともありますよね。そのような場合は、外部に助けを求めましょう。
たとえば以下のような5つの方法があります。
両親に相談する
両親が近くに住んでいている場合、両親にサポートを依頼できるか相談してみましょう。
仕事をしていると、子どもが体調不良で保育園や学校を休むときに預かってもらったり、
遅くなるときに保育園のお迎えをしてもらえたりするのはとても助かります。
また育児や仕事の話を聞いてもらえることで、ほっと気持ちが楽になるかもしれませんね。
両親の体調や年齢などへの考慮も必要ですが、無理のない範囲でサポートをしてもらえるか相談してみましょう。
ファミリーサポート事業などのサービスを利用する
自治体が地域の子育て支援をするために行っている「ファミリーサポート」という会員制のサービスがあります。
育児の支援を受けたい「依頼会員」と、育児の援助をしたい「提供会員」をファミリーサポートセンターが橋渡しとなって結び付けます。
主なサービスは、センターの研修を受講した提供会員が有償のボランティアで子どもの預かりや送迎などを行うものです。
最初はアドバイザーと一緒に両者の顔合わせをするので、安心ですね。
民間のサービスよりも安いので、利用しやすいのではないでしょうか。
また、ファミリーサポートセンターの利用料が「幼児教育・保育の無償化」の対象となる場合や(送迎のみを除く)、ひとり親家庭が利用する場合は利用料金の半額を助成する場合もありますので、まずは自治体の窓口に相談してみるとよいでしょう。
ベビーシッターを利用する
地域によりますが、1時間単位から子どもを預かってくれる登録制のベビーシッターサービスがあります。
保育園への送迎や、晩ごはんを食べさせてお風呂に入れ寝かしつけまでしてくれるので、仕事で遅くなるときには助かりますね。
たとえば「美容院に行きたいので2時間利用する」というように、1人の時間を作ってリフレッシュすることもできます。
家事代行サービスを利用する
育児や仕事で忙しく、家事の時間がなかなか作れないときは家事代行サービスを使うのもおすすめです。
ワンオペ育児で大変な場合は、サービスを利用することで時間や気持ちにゆとりができ、子どもとゆっくり関わる時間を持てたり、プロのコツを聞いて家事に活かしたりすることもできます。
最近は必要経費として取り入れるママも増えているようです。
子育て支援センターを利用する
年子や双子などの育児だと、さらに大変さが増します。
双子では、授乳だけに限らずおむつを替えたり、離乳食を食べさせたり、すべてが2人分になります。
支援センターでは、双子が泣いたときにスタッフが1人を抱っこしてくれたり、授乳のときに1人のミルクを飲ませてくれたりと、子どものお世話を助けてもらえます。
また、ほかのママと一緒に過ごし、おしゃべりや情報交換をするなかで気分転換もできますね。
支援センターによっては「双子の会」など、曜日や時間指定で双子の保護者が交流できる場を作っている場合もありますよ。
ワンオペを乗り越える
ワンオペ育児の苦しさやつらさは、体力的なものだけでなく、頼る人がいないという精神的なものもありますよね。
でも、「わかってくれない」とあきらめたり、1人で悩んだりしないでください。
仕事が忙しいパートナーや両親には、子どもの成長ぶりや保育園の行事の様子などをこまめに知らせておくことで、悩んだときに相談しやすくなります。
パートナーも普段の様子を知っていると一緒に考えやすいでしょう。
支援センターのスタッフも、困ったときや悩んでいるときの心強い味方です。
つらい思いを聞いてもらうだけでも、ずいぶん心が軽くなりますし、あなたの状況に合った行政サービスを紹介してくれるかもしれません。
育児真っ最中のときは、「いつまで続くのだろう」と思うことがあるかもしれませが、必ず子どもは成長します。
どうぞ1人で抱え込まないでくださいね。
つらいときは周りの力を借りながら、協力し合いましょう。
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