【医師監修】産後の生理痛はどうすればよい?
その生理痛には原因があり治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
痛みがつらい場合には一人で悩まず医師に相談してみましょう。今回は産後の生理痛についてお伝えします。
その生理痛には原因があり治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
痛みがつらい場合には一人で悩まず医師に相談してみましょう。今回は産後の生理痛についてお伝えします。
産後の生理痛はひどくなるの?
産前と産後の生理(月経)痛に変化があるかどうかは個人差があります。
たとえばひどい生理痛が特徴的な症状の子宮内膜症は、生理を繰り返すたびにその病状が進行するとされています。妊娠、出産で生理が一時停止することにより、妊娠前より症状が軽くなるケースもあります。
しかし、なかには産後に生理痛が重くなったり、変化しないママもいます。
重くなるケースはなんらかの異常の可能性があり、早めに治療を受けたほうがよい場合もあります。
産後の生理痛が悪化する原因は?
産後の生理痛に影響が考えられる代表的な病気をご紹介します。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮にできた良性の腫瘍のことをいいます。
決して珍しい病気ではなく30歳以降の女性では、20〜30%にみられています。
症状は子宮筋腫ができる場所により変わりますが、生理の出血量が多い(過多月経)、生理痛などの症状があります。
症状がなかったり、筋腫が小さい場合には治療はせず経過を観察します。そうでない場合は女性ホルモンを抑える薬での治療や、手術が必要になることもあります
以下に子宮筋腫の記事もありますので参考にしてみてください。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮の内側にある子宮内膜とよく似た組織(子宮内膜様組織)が、子宮内膜以外の場所にできる病気です。子宮内膜症の症状や、症状に伴う痛みの強さには個人差がありますが、おもな症状は月経困難症(※)と不妊症です。
※月経困難症:月経に伴って起こる症状で激しい下腹部痛や腰痛などが代表的です。
子宮内膜症の症状については以下の記事も参考にしてください。
我慢せずに病院を受診しよう
育児で忙しいと、ママ自身のことを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。
しかし産後の生理痛をそのままにして、さらに症状が悪化してしまうのは避けたいところです。生理痛がひどい、出血の量に変化があるなど何か気になる症状があれば、婦人科、産婦人科を受診しましょう。
産婦人科医・吉村泰典先生よりひとこと
これまで生理痛が強かった人も、妊娠、出産を機に生理痛は軽くなるケースがほとんどです。生理痛が強くなった場合、なんらかの病気や子宮筋腫、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性があるため、婦人科や産婦人科への受診をおすすめします。
鎮痛剤を飲みながら我慢しているママもいるかもしれません。
しかし生理痛の対策としてはまず原因を確認することが大切です。
たとえば子宮内膜症の場合には低用量ピル(※)を飲むことが有効な治療につながります。
授乳中は母乳に影響があるため、低用量ピルを飲むことができませんが、生理痛に悩むママは授乳が終わったら婦人科、産婦人科で治療法の一つとして、低用量ピルの処方を相談してみるとよいでしょう。
※低用量ピルは女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を合わせた薬です。排卵を止める働きがあり、子宮内膜症や月経困難症などの症状を抑える効果が期待できます。
- 岡井 崇、綾部 琢哉(編集)、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2014年
- 百枝幹雄(著者)、『よくわかる最新医学子宮内膜症』、主婦の友社、2017年
- 日本産科婦人科学会(編・監)、産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版」、日本産科婦人科学会、2018年
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