【医師監修】会陰切開の傷。これって「肉芽」?
今回は、会陰切開の傷に起こる「肉芽」という状態について解説します。
今回は、会陰切開の傷に起こる「肉芽」という状態について解説します。
会陰切開(えいんせっかい)後に起こりうる「肉芽(にくげ)」って?
会陰切開とは?
まず、会陰切開とは、経腟分娩の際、赤ちゃんがスムーズに外に出てくるために、会陰を切開する処置をいいます。会陰は、腟口と肛門の間の部分のことを指します。
経腟分娩の際、赤ちゃんの頭で腟口(ちつこう、腟の入り口)が大きく伸ばされ、赤ちゃんが出てきます。このとき、腟口が十分に伸びれば問題ありません。
しかし、十分に伸びないままに分娩が進むと、会陰部分が裂けてしまう場合があります。
重症の場合には、会陰から肛門、直腸まで裂けてしまうことがあり、治るまでに数ヶ月かかったり、後遺症が残ることもあります。
そうならないように、会陰を2~3cmほど切開するのが会陰切開です。
ただし、会陰切開をした場合でも、肛門のほうまで深く裂けてしまう場合はあります。会陰切開が必要な状態かは、そのときの状態に合わせて医師が判断します。
また、胎児の状態によって会陰切開が必要になる場合があります。
会陰切開の傷の痛みはいつまで続く?
出産後、会陰切開した傷や、出産時にできた傷を縫い合わせます。産後1ヶ月くらいは、傷の痛みが続きます。
最近は、溶ける糸での縫合が多く、抜糸をしなくてもよいケースが多いですが、縫合した糸で傷の組織が引っ張られ痛みが強い場合には、退院前に抜糸してもらうと痛みが和らぐでしょう。
会陰切開やの痛みについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
会陰切開の傷に起こる「肉芽(にくげ)」とは?
会陰切開後の傷は、皮膚が盛り上がり、「肉芽」という状態になることがあります。
肉芽とは、けがでできた深い傷や炎症を治すときにできる組織で、傷が治りかけている状態です。傷口に肉芽(組織)ができて盛り上がり、そこに皮膚が新しくできて傷は治ります。
出産時の傷の深さは人によって異なりますが、傷が深い場合には肉芽ができて傷が治っていきます。
肉芽には、「良性肉芽」と「不良肉芽」があり、傷が治る過程に必要なのは良性肉芽です。不良肉芽は、感染や組織の壊死などによって発生し、傷の治りを邪魔してしまいます。
そのため、不良肉芽がある場合には、傷口の治癒のために不良肉芽を取り除く必要があります。また、不良肉芽ができる原因(感染など)を特定し、取り除くことが重要です。
退院診察や1ヶ月健診の際に、会陰の傷の状態を医師がチェックしますので、問題があればそのときに必要な治療が行われます。傷口の痛みや出血が続くようであれば、医師に相談しましょう。
肉芽は自然治癒する?
会陰切開でできた傷は、肉芽組織ができ、皮膚ができ、感染などの問題がなければ自然に元の状態に治っていきます。
傷の深さや体質にもよりますが、一般的には傷がくっつき皮膚の強さが正常に戻るには約2~3週間必要になり、およそ1ヶ月ほどで痛みはなくなります。
会陰切開の傷が痛む場合の対処法
会陰切開の傷の痛みは、産後1ヶ月ほどで治ることが多いですが、体調や体質によっては回復までに2~3ヶ月かかることもあります。
痛みが強いのは産後1週間程度なので、痛みがつらい場合は痛み止めを処方してもらいましょう。授乳中でも影響のない鎮痛薬があります。用法用量を守って内服しましょう。
授乳中に市販薬を使用したい場合は、授乳中に内服しても問題ないか、薬の添付文書を必ず確認することが大切です。
もし、痛みが取れない場合や出血が続く場合は、産婦人科を受診してみましょう。
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出産直後は、座ったりトイレに行ったりしただけで痛みにおそわれ、本当に治るのか不安になる人もいるかもしれません。
会陰切開でできた傷は、だんだんと痛みがひき、自然に治っていきます。もし、痛みや出血が続く場合は、産婦人科を受診してみてもらうと安心です。
参考:
・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年
・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.14 皮膚科 第1版』、株式会社メディックメディア、2018年
・「出産に際して知っておきたいこと 会陰切開について」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
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