【医師監修】帝王切開が多い?双子の出産方法は?
双子の妊娠、出産は注意するべき点も多いのが事実です。
今回は双子の出産はなぜ帝王切開が多いのか、経腟分娩ができる条件、費用はどのくらいかかるのか、などについてお伝えします。
双子の妊娠、出産は注意するべき点も多いのが事実です。
今回は双子の出産はなぜ帝王切開が多いのか、経腟分娩ができる条件、費用はどのくらいかかるのか、などについてお伝えします。
双子の約7割が帝王切開で出産
現在日本では、双子を含めた多胎妊娠(三つ子や四つ子など)の割合は約1%(2016年)と約100人に1人のママが双子を妊娠しています。(※1)
出産が帝王切開となるのはすべての妊娠の約34%(2019年)(※2)ですが、双子の場合は70%程度(※3)というデータもあります。理由は、ママと赤ちゃんの安全のため。出産時のトラブル回避のために帝王切開が選ばれることが多いのです。
出典:
※1:人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生 都道府県別にみた単産-複産(複産の種類)別分娩件数 (2021年2月10日閲覧)
※2:日本産科婦人科学会 周産期委員会 平成31/令和元年度 P7 (2021年2月10日閲覧)
※3:日本多胎支援協会 ふたごナビ 12ふたごの出産 P11(2021年2月10日閲覧)
双子の出産で帝王切開が選ばれる理由
理由1:赤ちゃんの姿勢(胎位)にかかわらず、出産できるから
双子でなく赤ちゃん1人(単胎)の出産でも、おなかの赤ちゃんが逆子などの頭位(頭が下向き)以外の胎位では、さまざまなトラブルが生じるため、多くは帝王切開となります。
双子の場合、おなかの赤ちゃんが2人とも頭を下に向けているケースは約半数ほどです。
残りの半数は、1人が逆子だったり、2人とも逆子などの組み合わせとなったりします。
1人目(先に出てくる赤ちゃん)が逆子の場合は難産が予想されるため、帝王切開となることが多くなります。
理由2:へその緒が絡んだりなどのトラブルが回避できるから
経腟分娩が長時間になるとママにもおなかの赤ちゃんにも負担がかかります。
帝王切開の場合、経腟分娩に比べて短時間で出産できるうえ、2人のへその緒が絡んだり、胎児機能不全(胎児が苦しい状態)を起こしたりなどのトラブルが避けられます。そのため双子の出産方法はすべて帝王切開とする施設も多くなってきています。
双子の出産で経腟分娩ができるのはどんなとき?
医学的に可能だと判断され、ママが希望している場合には、双子でも経腟分娩できる可能性があります。ただし、緊急時に対応できるなどの条件を満たした、双子の経腟分娩を受け入れている施設に限られます。
双子を経腟分娩できる条件
・1人目の胎児が頭位であること
1人目が頭位であれば、経腟分娩を選べることがあります。しかし、2人とも頭位であることを条件とする施設も多くあります。
・妊娠の経過が順調なこと
ママと赤ちゃんともにコンディションがよいことが経腟分娩のための条件です。
ママに妊娠高血圧症候群などの合併症があったり、赤ちゃんの発育に差がある場合などは
帝王切開が行われます。
・赤ちゃんの大きさが一定以上であること
施設によって多少の基準の違いはありますが、たとえば34週以降であり、胎児が2人とも1800g以上である、などの条件が設けられています。
・子宮の手術のあとや、前回の出産が帝王切開ではないこと
子宮の手術や帝王切開では子宮筋を切って縫っているため、その後の経腟分娩では子宮破裂のリスクがあります。
2人目の出産は、状態により帝王切開となることも
条件を満たして経腟分娩となっても、1人目の誕生後に2人目の赤ちゃんの胎位が変化したり、へその緒が赤ちゃんより先に出てきてしまうケースもあります。
ほかにも双子では子宮筋が大きく伸びるため陣痛が弱くなり出産が長引くこともあります。
そのような場合には、安全のために帝王切開に切り替えられます。
双子の出産週数はどのくらい?
双子を妊娠しているママの子宮は、赤ちゃん1人の妊娠のときよりも大きく負担がかかり、約半数が早産(妊娠22週0日から36週6日までの出産)となっています。
予定帝王切開や計画分娩の場合には、37~38週がもっとも周産期死亡率(妊娠満22週以降の死産と生後1週間以内の新生児死亡とを合わせた割合)が低いといわれることから、37週前後を予定日とするケースが多くなっています。
ただし、一絨毛膜一羊膜双胎(いちじゅうもうまくいちようまくそうたい)は、32〜34週の出産が選択肢の一つであるとされています。双子の種類や、それぞれのママや赤ちゃんの状態により、出産に適した時期が異なるため医師に確認してみましょう。
双子の種類
双子は、赤ちゃんを包む羊膜や胎盤の数によって以下の3つの種類にわかれます。
・一絨毛膜一羊膜双胎(いちじゅうもうまくいちようまくそうたい)
一卵性で胎盤が一つ、羊膜の隔たりがなく一つの部屋で育つ。
・一絨毛膜二羊膜双胎(いちじゅうもうまくにようまくそうたい)
一卵性で胎盤が一つ、羊膜が2つあり別々の部屋で育つ。
・二絨毛膜二羊膜双胎(にじゅうもうまくにようまくそうたい)
二卵性で胎盤と羊膜がそれぞれ2つある。
一卵性、二卵性などの双子の種類によってもリスクが変わります。詳しくは以下の記事も参考にしてください。
双子を出産できる病院は限られる?
双子の妊娠はママにも負担が大きく、切迫早産や妊娠高血圧症候群、貧血などの合併症のリスクが高くなります。そのため、双子の妊娠の経過を観察できる施設での妊娠管理が重要です。
双子の妊娠では、一卵性か二卵性かや、胎盤の数などによってもそのリスクが変わります。さらに、赤ちゃんが小さく生まれる可能性が高いため、NICU(新生児集中治療室)のある病院や小児科が併設されている病院、もしくは連携のとりやすい施設での出産が望ましいとされています。
双子出産の費用はどのくらい?
施設によって出産費用は違いますが、双子だからといって出産費用が2倍になるわけではありません。
たとえば、ある大学病院では、単胎の経腟分娩(入院5~6日)費用は約70万円。双子の場合は35万円が上乗せされます。
帝王切開(入院8~9日)の場合は、単胎で約60万円、双子の場合は30万円が上乗せされます。ただし帝王切開では健康保険の適用となり、自己負担は3割です。
出産後に赤ちゃんの経過観察のため、入院が長引くときには、日数に応じて部屋料金が加算されます。
双子では出産に関わる費用が増え、不安が大きくなるかもしれません。しかし加入している健康保険から赤ちゃん1人につき42万円の出産育児一時金が支給されます。双子の場合の支給は2人分で84万円です。
出産した施設に直接支払いできる制度もあるので、活用できるとよいでしょう。
高額療養費制度など双子妊娠のお金にまつわる制度については、以下の記事も参考にしてみてください。
双子の妊婦健康診査の費用は?
双子の妊娠では、妊娠初期や後期の妊婦健康診査の受診回数が多くなる傾向があります。
現在は生まれる子どもの人数に限らず、公費での補助は14回分となっており、それを超える分は自己負担となっています。
市区町村によっては双子の場合に補助券が数枚追加されるケースもあります。
_______
双子の出産はママと赤ちゃんの安全を考慮して帝王切開が多く選ばれていますが、ママとおなかの赤ちゃんや、施設の条件が整えば経腟分娩が選ばれることもあります。
医師に相談のもとママと赤ちゃんの安全を第一に考えながら、それぞれのママに適した出産の形をとれるとよいですね。
参考:
公益社団法人 日本産科婦人科学会・公益社団法人 日本産婦人科医会(編集・監修)
「産婦人科診療ガイドライン2020 産科編」
サイベックスベビーカー当たる!
人気のベビーカー「サイベックス リベル」が当たるよ♪
写真提供:ゲッティイメージズ
※当ページクレジット情報のない写真該当