【医師監修】産後すぐの腹痛の原因は?
ところが、産後に起こる腹痛については予想していなかったママもいるかもしれません。
この記事では、産後すぐに起こりうる腹痛の原因や、注意が必要なケースについてお伝えします。
ところが、産後に起こる腹痛については予想していなかったママもいるかもしれません。
この記事では、産後すぐに起こりうる腹痛の原因や、注意が必要なケースについてお伝えします。
産後すぐの腹痛の原因は?
産後すぐの腹痛の原因には「後陣痛(こうじんつう)」や、「会陰切開の傷の痛み」、「帝王切開の傷の痛み」が考えられます。
産後の子宮収縮の痛み「後陣痛(こうじんつう)」とは?
産後に起こる下腹部痛
妊娠中に大きくなった子宮は、赤ちゃんと胎盤が外に出ると急速に収縮して元の大きさに戻ろうとします。
この強い子宮の収縮によって感じる生理痛のような下腹部の痛みが、「後陣痛」です。
その発生するしくみは子宮内圧の消失という物理的原因と、「プロスタグランジン※1」、「オキシトシン※2」などの薬剤が関係した急激な子宮収縮と考えられています。
(※1プロスタグランジン:さまざまな作用があるが、子宮収縮薬のひとつとして使用されるホルモン)
(※2オキシトシン:子宮収縮薬のひとつ、授乳でママの乳頭が刺激されることによっても分泌が促されるホルモン)
経産婦(過去にお産の経験のあるママ)や多胎妊娠(双子や三つ子など)などでは、初産や正常妊娠よりも子宮の増大や疲労が大きくなります。
そのためより強い収縮が必要になり、後陣痛が強くなる傾向にあります。
さらに、授乳のときには後陣痛が強くなります。乳汁の分泌を促進する「オキシトシン」というホルモンが、授乳のたびに分泌され、後陣痛を促進する作用もあるためです。
後陣痛はいつからいつまで?
個人差がありますが、後陣痛は出産直後から始まり、産後2~3日まで続いたあと徐々におさまります。
後陣痛がつらいとき、痛み止めは使える?
後陣痛は産後の正常な反応であるため、痛みが弱い場合は特に治療は要しません。
ただし痛みが強くてつらい場合には、授乳中でも内服できる痛み止めを使います。
医師や助産師に相談してみましょう。
帝王切開の傷の痛み
産後、麻酔が切れると始まるおなかの傷の痛み
帝王切開の手術に使った麻酔が切れると、傷の痛みが始まります。後陣痛の痛みも加わって、大きな苦痛を感じるママも。静かに横になっているときにはそれほど痛くはなくても、動くと鋭い痛みとなることがあります。
帝王切開の傷の痛みはいつまで?
個人差がありますが、術後2~3週間は軽い痛みやかゆみが続きます。特に、術後3日ぐらいまでは、動いたときに強い痛みを感じるでしょう。
痛みが強いときに痛み止めは使える?
傷の痛みが強いときには、痛み止めの薬を使えます。できるだけ産後の時間を快適に過ごすことが大切です。医師に相談して、母乳をあげている場合でも内服可能な薬を処方してもらいましょう。
会陰切開の傷の痛みについては以下の記事を参考にしてください。
注意が必要な産後の腹痛は?
産後のすぐの腹痛は、誰にでも起こることです。
ただし、中には注意が必要な腹痛もあります。
以下のような症状があったり、長く続く場合には医師に相談するようにしましょう。
悪露(おろ)の異常をともなう腹痛
産後1~2週間経っても血の混じった多量の悪露が続き、腹痛があるときには、子宮の収縮が順調に進んでいないと考えられます。胎盤の一部などが子宮内に残り、子宮の収縮を邪魔している場合には、細菌が繁殖しやすくなります。
子宮内感染症を起こすことがあり、適切な治療が必要です。
悪露についてはこちらも参考にしてください。
38℃以上の発熱が続く腹痛
出産後24時間から10日までの間、2日以上にわたって38℃以上続く発熱が「産褥熱(さんじょくねつ)」です。子宮を中心とした感染症によるものがほとんどで、下腹部痛や、悪寒、頭痛などもみられます。
かつて産褥熱は命に関わるケースも多かったのですが、現在では適切な治療ができるようになってきています。
尿をするときに痛い、尿が濁ったり血液が混じったりする腹痛
妊娠中には、ホルモンや大きくなった子宮による尿路の圧迫などの影響で、尿が膀胱内にたまってしまい、尿路感染症、を起こしやすくなります。
出産中や出産後は、尿の管を使用することにより感染症の発生リスクが高まります。
尿をするときの痛みや頻尿、発熱、腰やわき腹の痛み、尿が濁る、尿に血が混じるなどの症状があるときには、膀胱炎や心臓にも感染が広がった腎盂腎炎(じんうじんえん)の可能性があります。
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産後のママの体はお産の疲労に加え、さまざまな変化があります。できるだけ無理をしすぎないことがママの体の回復にとって重要です。
症状がつらいとき、気になる症状があるときには我慢をせずに医師に相談しましょう。
ママが元気でいることが、赤ちゃんのためにも大切です。
参考:
・医療情報科学研究所(編)『病気が見えるvol.10 産科 第4版』
(メディックメディア 2018年)
・藤井知行 、 鮫島浩二 (監修)『最新版ママとパパのはじめての妊娠・出産事典 』
(朝日新聞出版、2019年)
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