おしゃぶりは新生児から使える?メリットデメリットや必要性を解説【小児歯科専門医監修】
赤ちゃんはいつからおしゃぶりが使用可能?新生児は使える?
赤ちゃんがぐずって泣き止まないときや、寝かしつけに役立つサポートグッズのひとつにおしゃぶりがあります。新生児用のものから、かわいいデザインのものやおしゃれなおしゃぶりなど種類が多くみられ、購入を検討しているママ・パパも多いかもしれません。
上手に使って育児をしたいところですが、おしゃぶりは新生児から使ってもいいアイテムなのでしょうか?
おしゃぶりは、注意点を守れば新生児の頃から使用することができます。ですが、育児をする上で必要不可欠なアイテムではないので、出産前から急いで準備をしなくても大丈夫です。
生まれてきた赤ちゃんの様子を見て、おしゃぶりによる影響も考えながら使用するかどうかを考えましょう。
おしゃぶりは新生児から使えるけれど注意が必要
新生児期におしゃぶりを使う場合は、安全性や正しい使用方法などを理解することが大切です。
厚生労働省の調査でママの約9割が「母乳で育てたい」という声があるという結果が出ており、生後0ヶ月の新生児から卒乳するまで母乳育児を希望している人も多くいます。しかし、母乳育児をしている場合は、おしゃぶりを使うことがきっかけで乳頭混乱が起きる場合があります。
乳頭混乱とは、医学的根拠はないものの、母乳を飲んでいた赤ちゃんが人工乳首を使ったあとにおっぱいからの授乳を拒否するようになることです。
また、おしゃぶりを与えると乳房以外のもので「吸う」という欲求が満たされ、母乳での授乳が難しくなる可能性もあります。
WHOとUNICEFが共同で発表した「母乳育児を成功させるための十か条」によると、哺乳瓶やおしゃぶりを使うことの弊害についての項目があります。卒乳まで母乳で育てたいと思っている場合は、おしゃぶりなどの人工乳首で赤ちゃんが乳頭混乱を起こす可能性を知っておく必要があるということです。
授乳のことを考えると、少なくとも生後1ヶ月経って母乳をしっかり飲めるようになってからおしゃぶりを使用し始めるのがいいでしょう。とはいえ新生児用のおしゃぶりもあるため、使用するときの注意点やメリットデメリットを考慮した上で使用を検討するようにしましょう。
また、新生児からおしゃぶりを使用することはできますが、使用方法に沿って使わないと事故につながります。
おしゃぶりが赤ちゃんの月齢に合っているサイズなのか、誤嚥する可能性がないのかなどの安全性について考えてからおしゃぶりの使用を検討しましょう。
過去の事例では、おしゃぶりに付属していた紐が首に巻き付いてしまったり、おしゃぶりの乳首が破損して誤嚥してしまったケースがあるため、ママ・パパの目の届くところでおしゃぶりを使用するよう心がけましょう。
新生児におしゃぶりは必要?
新生児の頃からおしゃぶりを使うことはできますが、必ず必要となるアイテムではありません。
おしゃぶりは育児をしていく上で赤ちゃんがぐずって困ったときや、寝かしつけで使うことでママ・パパの育児をサポートしてくれるアイテムです。
一方で、前述したように、おしゃぶりを使うことによって乳頭混乱が起きたり、使い方を間違えると不慮の事故が起こる可能性があります。おしゃぶりを使用しても、問題なく母乳を飲んでくれる赤ちゃんもいれば、母乳を嫌がるようになってしまう赤ちゃんなど個人差があります。
そのため、購入前に事前におしゃぶりを使うことのメリットとデメリットを理解しておくことが大切でしょう。
また、赤ちゃんの成長はとても早いので、日に日に大きくなって気付けばおしゃぶりのサイズが合わなくなっていることもあります。誤嚥の可能性が高くなるので、成長に合わせておしゃぶりを選ぶことも大切です。
おしゃぶりはいつまで?
寝かしつけなど、ママ・パパの育児をサポートしてくれる便利なおしゃぶりですが、赤ちゃんの成長の妨げにならないように使用することが大切です。
おしゃぶりは、歯並びや顎の発達、噛み合わせに影響を及ぼしたとしてもおしゃぶりをやめれば改善するといわれています。しかし、乳歯が生え揃ったあともおしゃぶりを使い続けると歯並びや顎の発達に影響が出る可能性が指摘されているため、2歳頃までにやめることが推奨されています。
また、発語を促すためにも、おしゃぶりを使うのは1歳までにして、遅くても2歳半までにはやめられるようにしましょう。発語能力がそなわる時期におしゃぶりを使い続けることで、口封じになってしまい発語が遅れてしまう可能性があります。
一方、指しゃぶりは遅くても4歳までにはやめられるように促していきましょう。指しゃぶりなどの癖は、急にはやめさせることが難しいので3歳前後から優しく声かけをして、徐々にほかのことに気が向くような関わりをしましょう。
赤ちゃんはなぜ指しゃぶりをする?
赤ちゃんはママのおなかにいる頃から、指しゃぶりをしており、その行動は新生児期もしばらく続きます。
産まれる前からの自然な行動なので、低年齢のときに無理に辞めさせる必要はありません。しかし、成長していくにつれて顎の成長や咬み合わせへの影響があるため、指しゃぶりの年齢には気をつける必要があります。
指しゃぶりは、情緒を安定させたり不安軽減に効果的ですが、3歳以降も持続する場合は生活背景や精神的な原因が考えられます。年齢を考えて、指しゃぶりが子どもの成長を妨げてしまわないように気を付けましょう。
乳児のときのおしゃぶり使用のメリット・デメリット
おしゃぶりは、ぐずっている赤ちゃんや寝付けない赤ちゃんを落ち着かせてくれるアイテムです。しかし、おしゃぶりを使うことによるよくない影響も指摘されています。おしゃぶりを使うときには、ママもパパもメリットとデメリットを知っておくことが大切です。
おしゃぶりのメリット
乳児におしゃぶりを使用するメリットを紹介します。
■赤ちゃんを落ち着かせることができる
赤ちゃんの指しゃぶりは、不安軽減や精神安定のための自然な行動ですが指しゃぶりをしたり、おしゃぶりを使うことでぐずっている赤ちゃんを落ち着かせることができます。
もし、生後1ヶ月以降に屋外へ出かけたとき赤ちゃんが外でぐずってしまった場合は、おしゃぶりを使うことで落ち着かせられるとママ・パパはとても助かります。周りの人に迷惑をかけないかと心配せずに、赤ちゃんがぐずってしまったときのお助けアイテムとして便利です。必要なタイミングに使えるように、いつも清潔にしてケースに入れて持ち運ぶといいでしょう。
■赤ちゃんの寝入りをサポートする
長期間使用しない限りは歯並びや顎の発達、骨の形態に影響を及ぼしたとしてもおしゃぶりをやめれば改善するといわれています。おしゃぶりを使うことで赤ちゃんを自然な入眠に近い状態で穏やかに寝かしつけることができる場合もあります。
おしゃぶりのデメリット
乳児におしゃぶりを使用するデメリットを紹介します。
■歯並びが悪くなる可能性がある
おしゃぶりを長期間・長時間にわたって使うと、歯並びが悪くなって出っ歯になってしまうケースもあります。一度悪くなった歯並びを矯正するのは時間や費用がかかってしまいます。おしゃぶりは、できれば1歳までにやめて遅くても2歳半までには完全に手放せるといいでしょう。
■発語への影響がある可能性がある
発語をし始める時期に、おしゃぶりをすることによって口が塞がれてしまい、発語が遅れてしまう可能性があります。
■寝るときの「吸う」という行為は習慣化する可能性も
長期間・長時間の使用によっておしゃぶりや指しゃぶりが習慣化して癖になってしまうことも。
ほかのことに興味をもって自然とやめる場合もあるのですが、一度癖になるとなかなかやめさせられなくなります。
たとえば気持ちよく眠るための儀式のようなものになっていたりすることもあり、無理にやめさせると余計に執着してしまうこともあります。
おしゃぶりを使う時間や期間は注意しましょう。
指しゃぶりは自然にまかせつつも、おしゃぶりは親がやめようと決めればすぐにでもやめられるため、考えて使うといいでしょう。
ずっとくわえさせておくということは絶対にやめましょう。
■赤ちゃんとコミュニケーションが少なくなる可能性がある
安易なおしゃぶりの使用は、あやすのが減る、ことばかけが減るなど、赤ちゃんとのコミュニケーション不足につながるとの指摘もあります。
泣き止ませる手段としておしゃぶりを使用する人もいますが、原因を取り除かないと赤ちゃんは一時的に泣き止むだけです。
子どもがどうして泣いているのかを考えず、泣くからとおしゃぶりを与えるのではなく、赤ちゃんと触れ合って泣いている原因を探り、その原因を取り除くことが大切です。
おしゃぶりではなく、声かけやスキンシップなど、コミュニケーションをとってほかのことに興味関心が向くようにするといいでしょう。
おしゃぶりを選ぶポイント
次はおしゃぶりの選び方です。
おしゃぶりの種類はさまざまで何を基準に選べばいいんだろうと悩むママ・パパも多いかもしれません。
おしゃぶりを選ぶときは、赤ちゃんの月齢や安全性、使いやすさなどを考えて選ぶといいでしょう。
おしゃぶりの対象年齢を確認
おしゃぶりには、月齢に合わせてサイズがあり、対象年齢が記載されています。
新生児期の生後0ヶ月から使えるものや、生後2ヶ月から使えるものなど少しの月齢の違いでもさまざまな種類があります。
赤ちゃんの口の大きさ、おしゃぶりの乳首のかたさなどを考えて月齢に応じたものを選ばなければ、赤ちゃんが快適に使えない可能性があります。
使える期間が短いからといって大きめを選ぶのではなく、生後0ヶ月の頃から使うのであれば、生後0ヶ月が対象年齢のおしゃぶりを選ぶようにしましょう。
赤ちゃんの成長は著しいため、おしゃぶりの対象月齢を成長に応じて確認することが必要です。赤ちゃんの誤嚥などの事故を予防するためにも、いつも成長に合わせたサイズのおしゃぶりを使うようにしましょう。
洗いやすい・消毒しやすいか
おしゃぶりは、赤ちゃんが口に入れるものなので、いつも清潔に保ちたいアイテムです。
使ったら洗浄して消毒などのお手入れをして、清潔なケースに入れておくと次に使うときにすぐに使うことができます。また、何度も消毒したり洗ったりするものなので、手入れが簡単にできる素材や形を選ぶといいでしょう。
消毒の方法も、おしゃぶりの素材によってさまざまです。シリコン製のものや天然ゴム製など商品によって異なり、お手入れ方法もメーカーや素材によっても違いがあります。商品を購入するときには、お手入れ方法を確認しておきましょう。
機能性や耐久性は赤ちゃんにあっているか
おしゃぶりにもいろいろな種類があり、それぞれの商品に特徴があります。
新生児の頃は、おしゃぶりを使っても歯並びに影響もないのでまだわからない部分が多いと思いますが、成長につれておしゃぶりを買い換えるときには、耐久性や機能性なども選ぶときの参考にするといいでしょう。
新生児ではまだ乳歯が生えていませんが、成長すると乳歯が生えておしゃぶりに耐久性が必要となってきます。噛む力がどんどん付くと、おしゃぶりの劣化が早くなり、破損や事故の原因にもなりかねません。おしゃぶりの材質と赤ちゃんの月齢や成長に合わせておしゃぶりを選ぶようにしましょう。
新生児におしゃぶりを使用するときの注意点
新生児は生まれて間もない頃で、まだ免疫力なども未熟であるためおしゃぶりを使うときには注意が必要です。
日常生活で使うアイテムなので常に清潔さを保ちたいものです。
以下の項目には、新生児におしゃぶりを使うときの注意点をまとめました。
割れや欠けはないか確認
おしゃぶりの材質の多くは、シリコン製のものや天然ゴム製で、耐久性にも優れているものが多く売られています。しかし、毎日使うアイテムのため1日に何度も消毒するので材質の劣化も早くなります。
おしゃぶりを使う前には割れている部分や欠けたりしているところはないか確認して使いましょう。
少しでもおしゃぶりに割れや欠けがあれば買い換えが必要となります。
月齢に合っていないおしゃぶりや、新生児の頃から使っているおしゃぶりを長期間使うことも破損や劣化の原因になる可能性があります。
新生児の頃に、購入したおしゃぶりをそのまま使い続けるのではなく、対象年齢を確認し、子どもの月齢にあったものに都度見直すようにしましょう。
洗浄や消毒は行なったか
おしゃぶりは、日常的に使う育児のアイテムなので頻繁に洗浄・消毒し、清潔に保つ必要があります。
赤ちゃんがぐずってから消毒して使うのではなく、使い終わったら毎回消毒をして清潔なケースに入れて保管しておくとすぐに使うことができます。
使ったおしゃぶりを消毒せずにそのままにしておくと、菌が繁殖してしまうのでおしゃぶりの管理に気を付けましょう。
おしゃぶりの材質によっては消毒方法や管理方法が異なるので、必ずおしゃぶりの説明欄を読んでそのおしゃぶりにあった適切な消毒をしましょう。
おしゃぶりは正しく扱わないと劣化が進んだり、破損しやすくなってしまうので注意が必要です。
窒息の危険はないか
おしゃぶりをすると自然に鼻呼吸をすることになりますが、おしゃぶりによって赤ちゃんが自分で呼吸するのを苦しくさせてしまう可能性があります。
鼻づまりのときに苦しくならないように、赤ちゃんの体調やおしゃぶりを使うタイミングには気をつけて使いましょう。
また、赤ちゃんがおしゃぶりには、落下防止のためのストラップがついている商品もあります。しかし、ストラップを首から下げていると、万が一赤ちゃんの首にからまってしまった場合に大きな事故につながる可能性があるため首に絡まらないように注意しましょう。
育児のサポートアイテムとして利用しよう
おしゃぶりは赤ちゃんがぐずってしまったり、寝てくれないときに役立つアイテムです。
一方で、長期間の使用は歯並びや発語への影響が指摘されているため、頼りすぎず遅くとも2歳半頃にはやめられるようにしましょう。
おしゃぶりを使うときは、赤ちゃんに合ったものを選び、消毒を心がけて清潔を保ちながら上手に活用しましょう。
- おしゃぶりは、育児をサポートしてくれるアイテムで必要不可欠ではない
- 新生児から使えるが、月齢に合わせたものを使うことが大切
- 長期間の使用は、発語や顎の発達に影響が出る可能性があるので注意
- 過去に事故の例もあるため、安全管理や消毒をして清潔に保つことが大切
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