トモニテ
妻とふたりの時間を過ごす、保育園帰りのモーニング。

【放送作家・鈴木おさむ】妻とふたりの時間を過ごす、保育園帰りのモーニング

芸人の森三中 大島美幸さんの夫で、放送作家として活躍する鈴木おさむさん。子供が生まれたタイミングで放送作家業をお休みし、育児に向き合ってきました。鈴木さんがつづる父親目線の育児記『ママにはなれないパパ』から、日本全国のパパ・ママへ送るメッセージをご紹介します。
芸人の森三中 大島美幸さんの夫で、放送作家として活躍する鈴木おさむさん。子供が生まれたタイミングで放送作家業をお休みし、育児に向き合ってきました。鈴木さんがつづる父親目線の育児記『ママにはなれないパパ』から、日本全国のパパ・ママへ送るメッセージをご紹介します。

 息子、笑福は1歳2カ月を越えて、歩き出しました。母によると僕も1歳2カ月で歩き出したとのことで、なんだか同じ月数で歩き出したことがちょっと嬉しかったりします。

 親子なんで似てる部分が多いのは当たり前ですが、やっぱりね、息子との共通点が見つかると嬉しいものです。顔はどんどん妻に似ていってるのですが、そんな中で、息子は手と足の指の爪の形が僕とそっくりです。こんな爪の形まで似るんだと、驚くと同時に嬉しい。ちなみに僕は足が29センチもあります。靴を探すのにかなり苦労します。息子の足も大きくなりそうだなと想像してまた嬉しい。そして体がちょっとアレルギー体質。妻は全くアトピーはありませんが僕はアトピーです。子供がアトピーにならないではほしいですが、アレルギー体質が似てるのかなと思うと、喜んではいけませんが、親子なんだなと感じたりします。

 そして、息子はビビりです。かなりの臆病者感がでていて、ここも僕にそっくり。そういう弱点まで似てるところに、親子としての嬉しさを感じてしまったりします。

 保育園に通いだしてしばらくは、朝、先生に笑福を渡すときに毎日泣いていました。僕も保育園に行き、母と離れるときに泣いていた記憶があります。ただ息子は1週間もすると泣かずに、泣くのを我慢して保育園の中に入るようになりました。その我慢する顔にキュンとキテしまいますが、そういうところは妻に似たんでしょうか?

 保育園、送りは切ない顔をしますが、迎えに行ったときに僕の顔を見たときの笑顔。あれはたまりませんね。毎回恋をするような気持ちになる。だってね、大人になって自分の笑顔を見て、満面の笑みを向けてくれる人なんていないでしょ? 自分の顔見てとてつもない笑顔見せてくれるんですよ。職場にいますか? あなたの顔を見て満面の笑みになる人。付き合っていたって、お互いの顔を見てめちゃくちゃ笑顔になることないでしょ? 僕の顔を見て120%の笑顔ですよ。「親だから当たり前でしょ」と言う人もいるかもしれませんが、そう考えると「親ってすげーんだな」と思うわけです。だからこその親としての責任も感じたりするのです。

 歩き出して、保育園にも慣れ始めた息子ですが、この成長は、僕と妻の関係にもちょっとした変化を与えるわけです。

 笑福が保育園に行くと、僕が仕事に行くまでの時間は二人だけの時間なんです。部屋の中で二人きりになる時間は、笑福を授かってからずっとなかったので、なんか最初はちょっと照れたりしました。懐かしかったり。だけど、こういう二人の時間をどう過ごすかってかなり大事な気がします。子供のことだけでなく、お互いの仕事のことや最近の報告など、子供と向き合ってると自分のことを話し合うこともなかなかないので話し合ったりする。笑ったこと、ムカついたこと。前だったら出来ていたこと。親としてでなく、夫婦としてちょっと止まってた時計が進みだした感じがします。

 こないだは妻と一緒に息子を保育園に送りに行きました。妻の提案で一緒に行って、帰りに二人で朝ご飯を食べることにしました。おしゃれなパン屋さんで、モーニングをやっていて、「おいしい」と評判のお店だと妻が誰かに聞いたらしいです。妻と店に入ると、もう、朝の時間を有意義に過ごしているちょっとセレブな人達も結構いる。出てきたのは分厚い食パンのトーストとサラダ、目玉焼きにベーコンとスープ。確かにうまい。食パン一枚が半分に切られて入っているのだが、コンビニなどに売られてる食パン二倍の厚みはあって、食べ応えがある。それを食べながら妻と向き合う。最近はずっと妻を見ると一緒に笑福の顔もあった。だけどその瞬間、妻の顔だけ。これも懐かしい。妻と二人きりで外食するのも久しぶりなわけですから。

 僕らにはかなりおしゃれすぎるカフェだったが、妻が食べ終わったあとにあることを言い出した。「確か、ここのモーニング、パン食べ放題だったと思うんだよな」と。そんなことはメニューにも店内にもどこにも書かれていない。だけど妻は誰かに聞いた情報だと主張。っていうか、その前にね、分厚いパンを一枚食べきったんですよ。僕はかなりお腹一杯なんです。「え? まだもう一枚食べたい?」と言うと、「食べ放題だったらもったいないでしょ」と言う。そこで妻が勝負に出た「すいません、パンお代わりください」と言った。すると店員さんが「わかりました」と言って、数分後、その分厚い食パンのトーストを一枚持ってきた。妻は嬉しそうな顔をして思い切り食らいつく。朝からこんな分厚いパンをよく二枚食べるなと思いお会計に。レシートを見ると、お代わりで頼んだ食パンの値段がしっかりと明記されていた。妻は店を出て叫ぶ。「食べ放題じゃねえじゃねえかよ」と。そんな妻の食欲旺盛ぶりを感じることが出来た朝。笑福を授かる前は、しょっちゅうこんなことあったなと懐かしくも思いながら、こういう瞬間を感じることがやはり大切だなと思う。

 笑福よ、こんな時間をくれてありがとう。

父の気づき

子供を授かったからこそ、

二人の時間の過ごし方を大切にしたい。

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写真提供:ゲッティイメージズ

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