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【専門家監修】帝王切開の費用はどのくらい?保険が適用?

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【専門家監修】帝王切開の費用は? 保険適用や制度について紹介

手術を伴う帝王切開の費用は高いのでは?と不安に感じているママ・パパは多いはずです。そんなママ・パパに向けて、帝王切開の費用について、費用の概算や内訳、使える制度などを含めて解説します。保険適用や助成金に関してもお伝えするので参考にしてください。
手術を伴う帝王切開の費用は高いのでは?と不安に感じているママ・パパは多いはずです。そんなママ・パパに向けて、帝王切開の費用について、費用の概算や内訳、使える制度などを含めて解説します。保険適用や助成金に関してもお伝えするので参考にしてください。

帝王切開とは?

帝王切開とは、ママかおなかの赤ちゃんに何らかの問題が生じ、経腟分娩が難しいときに行います。

麻酔をして手術でおなかと子宮を切開し、赤ちゃんを出産する方法です。

「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2種類があります。

帝王切開の件数は年々増加しており、現在は分娩の5件に1件は帝王切開だというデータが出ています。

計画的に行う「予定帝王切開」

予定帝王切開とは、陣痛が来る前に、計画的に行われる帝王切開のことです。一般的に経腟分娩が難しいと判断されるときや、リスクが高い場合に行います。

予定帝王切開に関する詳細は、以下の記事でご確認ください。

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緊急時に行う「緊急帝王切開」

ママか赤ちゃんに何らかの問題が生じ、急いで赤ちゃんを取り出さないと危険な場合には、緊急帝王切開が行われます。「遷延(せんえん)分娩」や「常位胎盤早期剥離」、「胎児機能不全」など、この手術が行われるケースは様々です。

緊急帝王切開について、さらに詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。

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帝王切開の費用は高いのではと不安…....

手術を伴う分、帝王切開での分娩費用は経腟分娩の費用に比べて高いのではないかと心配しているママやパパも多いでしょう。しかし、帝王切開の手術には経腟分娩と違い、保険が適用されます。料金を抑えるのに役立つ制度や補助金もいろいろと存在します。

ちなみに経腟分娩の場合、入院から出産・退院までにかかる費用は、一般的に大体50万円くらいです。ただし、地域や施設などによって増減はあります。

経腟分娩に必要な費用については、以下の記事を参考にしてください。

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出産費用は、平均すると約51万円くらいかかりますが、定額があるわけではありません。施設によって、分娩方法によって、そして自治体によっても金額が異なります。
今回は出産費用の相場について紹介します。

帝王切開にかかる費用はどのくらい?

帝王切開の手術には、医療保険が適用されるため、その費用は診療報酬制度の点数で全国一律に決まっています。

診療報酬制度とは、医療機関や薬局が、保健医療サービスに対する対価を、保険者から受け取る制度のことです。「3割負担」の場合、私たちが負担しなかった7割の費用は、診療報酬の審査支払機関から支払われています。

帝王切開には保険が適用され、手術費用は3割負担

診療報酬制度で決まっている帝王切開術の手術費用は、予定帝王切開(選択帝王切開)の場合で201,400円、緊急帝王切開の場合で222,000円です。これらの費用は医療保険適用となるので、実際には3割負担分の6万円程度を支払います。

出典:「令和2年度診療報酬改定について 第3関係法令等 診療報酬の算定方法の一部を改正する件 」(厚生労働省)(2022年1月12日閲覧)

ただし、医療保険が適用されるのは、あくまで手術に関する費用だけです。帝王切開の手術やそれに伴う投薬、注射、検査、入院などの費用については保険適用のため3割負担ですが、以下で紹介するような保険が適用されない費用もあります。

ちなみに経腟分娩の場合は、帝王切開と違って分娩費用に保険が適用されません。そのため、経腟分娩は全額自己負担です。

帝王切開での出産・入院にかかる費用の内訳

帝王切開での出産・入院にかかる費用の内訳は以下の通りです。

  • 分娩費(手術代)とそれに関係する費用
  • 食事代
  • 差額ベッド代(個室を希望した場合)
  • 赤ちゃんの検査・投薬にかかる費用
  • 赤ちゃんの手当・処置にかかる費用
  • 新生児管理保育料
  • 産科医療補償制度利用費

など

上記のうち、一番上の「分娩費(手術代)とそれに関係する費用」以外には保険が適用されず、自己負担となります。地域や施設などによっても異なりますが、これら費用の合計金額は、一般的に50〜80万円台になることが多いようです。

  • 「新生児管理保育料」とは

生まれた赤ちゃんの管理・保育にかかる費用のことをいいます。赤ちゃんの検査や薬剤、処置、手当に使った料金が含まれます。

  • 「産科医療補償制度」とは

まれに出産のとき何らかの理由で、赤ちゃんに脳性まひなどの重い障害が残ってしまうことがあります。その家族と赤ちゃんの経済的負担を補償し、原因の分析や再発防止に役立てる制度です。「産科医療補償制度利用費」は、その制度を利用するためにママやパパが、分娩機関へ支払う費用のことです。

帝王切開での出産・入院で利用できる制度や補助金

帝王切開を受ける場合は、以下で紹介するような制度や補助金を使い、自己負担の費用を減らすことができます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、出産にかかる費用の負担を軽減するために健康保険から一定の金額が支給される公的制度です。健康保険や国民健康保険などの被保険者や、その被扶養者が出産した場合に、出生児1児につき42万円が支給されます。(双子84万円、3つ子126万円)

妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した場合は、分娩を行った医療機関や自治体に申請することでこの制度を利用することができます。詳しい申請の方法については、医療機関窓口や自治体に確認してみましょう。

出産育児一時金には、「直接支払制度」という仕組みがあります。これは医療機関と支払機関の間で直接、出産育児一時金の支払いが行われる制度で、これを使った場合は、医療機関の窓口で費用を一旦支払う必要はありません。また1児につき42万円という金額を、出産の費用が下回った場合は、手続きを行って差額の支給を受けることもできます。

出産育児一時金の詳細については、以下の記事も参考にしてください。

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高額療養費制度

高額療養費制度は、医療費の負担が重くなりすぎないように、医療費がひと月の上限額を超えた場合に残りの費用が全額支給される制度です。帝王切開の手術を受ける場合、この制度が利用できます。

支給額は所得によって異なりますが、たとえば世帯の年収が約370万〜770万円であった場合、帝王切開にかかる医療費がどれだけ高くなろうと、自己負担は9万円程度で済みます。年収が約370万円を下回っている場合は、ひと月で57,600円しかかかりません。

またこの高額療養費制度は、出産育児一時金と併用することが可能です。帝王切開の分娩費用に高額療養費制度を利用し、それ以外に出産育児一時金を利用することができます。

ちなみに帝王切開で高額療養費制度を利用する場合は、事前に「限度額適用認定証」を準備しておくのがおすすめです。この「限度額適用認定証」を病院で提示すれば、その場で高額療養費制度が適用され、支払いは高額療養費の上限で済みます。一旦全額を自己負担する必要がなくなります。

加入している医療保険の窓口に、手続きについて確認しておきましょう。

高額療養費制度については、以下の記事も参考にしてください。

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出産手当金

出産手当金とは、出産で仕事を休んで給料が得られなかった場合に、仕事を休んだ間の生活保障として、健康保険から支給を受けられる仕組みです。会社の健康保険や公務員等の共済組合に入っている方がこれを利用できます。

出産の日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の翌日以降56日目までの範囲で、会社を休んだ期間が対象となり、基本的に給料の3分の2程度の金額が支給されます。

出産手当金を受け取るには、「健康保険出産手当金支給申請書」を協会けんぽや健康保険組合に提出します。詳しい手続き方法については、加入している健康保険の届出先に確認してみましょう。

出産手当金の詳細については、以下の記事も参考にしてください。

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出産手当金が支給される条件やその額などを解説します。産休中の収入はどのように確保したらよいのでしょうか。企業には産休中の女性労働者に給与を支払う義務がないため、産休中は無給の企業が珍しくありません。頼りになるのは、健康保険制度により支給される出産手当金です。

医療費控除

医療費控除という、医療費が多くかかった年に、確定申告をすることで税金が軽減される制度があります。

家族全員の医療費(実際に自己負担した額)が1年間で10万円を超えた場合が対象です。また所得が200万円未満の人は10万円超でなくても控除できます。1年間の医療費の合計が所得の5%を超えた金額が対象です。

妊娠・出産でかかった費用、帝王切開の手術代、治療費もその対象となります。

さらに妊娠と診断されてからの定期健診や検査の費用、通院費用、入院中に病院へ支払う食事代なども、医療費控除の対象になります。

ただし実際に自己負担した金額が対象になるため、高額療養費制度などで保障された金額は差し引かれます。

実際に支払った医療費から10万円を引いた額を差し引いて税金を計算した分の差額が戻ります。

確定申告は住んでいる地域の税務署に確定申告書を提出するか電子申告をします。

詳しくは申請先の窓口やホームページで確認してみましょう。

医療費控除の詳細については、以下の記事も参考にしてください。

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妊娠、出産にはなにかとお金がかかるものです。
しかし国や自治体にはさまざまな制度があり、しっかり活用することでもらえるお金や、戻ってくるお金があります。

民間保険でも帝王切開の費用をカバーできる

上記で紹介した公的な制度や補助金以外に、民間保険も帝王切開の費用負担を抑えるのに使えます。

帝王切開は民間保険の給付対象

帝王切開を保険の給付対象とする民間の医療保険や死亡保険、女性向けの医療保険はたくさんあります。そのため、帝王切開を受けた場合は、こうした民間保険に入っていれば入院給付金や手術給付金を受け取れる可能性があります。経腟分娩の場合、そうした保険はありません。

なお、帝王切開で民間保険からの給付を受けるには、前提として民間保険に入っていないといけないので、事前に保険へ加入しましょう。保険によって「妊娠19週まで」や「21週まで」など、申し込み期限があるので注意してください。

また給付金の申請は、帝王切開の手術後、各保険会社が指定した方法で行います。領収書や診療明細書などが必要になるので、それらの書類をなくさないように取っておきましょう。

民間保険は加入のタイミングに注意

民間保険には、妊娠の前に加入するのがベターです。妊娠後もしくは妊娠から一定期間が経過したあとだと、帝王切開を含む出産に関するトラブルが保障されないなど、契約の内容が悪くなってしまう可能性があります。

また1度目の帝王切開の際に保険に加入していなかった場合、2度目の帝王切開に備えて民間保険に入ることができないこともあります。一般的に5年以内の手術については告知が必要で、告知すると帝王切開が保障から外れてしまうこともあるでしょう。

以上を踏まえると、民間保険の給付金を必要とする場合は、1度目の妊娠前から保険に加入しておいたほうがよいということになります。

帝王切開の費用は、制度や保険で負担を軽減できる

帝王切開にはたしかにお金がかかりますが、手術に関する費用には保険が適用されるので3割負担です。また出産育児一時金や高額療養費制度などをはじめ、制度や補助金を使えば、費用の負担を大きく軽減することができます。

妊娠前に民間保険に加入しておけば、入院給付金や手術給付金を得られる可能性も高いです。これらを踏まえると、きちんと備えておけば、帝王切開の費用については、それほど心配する必要がないといえます。

妊娠・出産の前に制度や補助金、保険を活用するための準備をしておきましょう。

  • 帝王切開の手術自体の医療費は6万円程度(3割負担の場合)
  • 入院費用なども合わせると総額で50〜80万円程度かかる
  • 出産育児一時金で42万円支給、高額療養費制度や医療費控除も使える
  • 帝王切開は民間保険も適用対象となる
  • 制度や補助金などを活用すれば費用負担は大幅に小さくなる

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