【医師監修】排卵日と、妊娠する確率の関係は?
排卵日にセックスをすると妊娠できる?
まず、排卵と妊娠の仕組みを簡単に説明しましょう。
排卵日とは?
ひと月に一度、成熟した卵子が卵巣から飛び出します。これを「排卵」といい、排卵が起こる日を「排卵日」といいます。
排卵が行われるのは月経からおよそ14日後です。排卵しても妊娠しなかった場合は、排卵日から14日ほどで次の月経(生理)が起こります。
排卵日について、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
妊娠のプロセス
排卵後の卵子は卵管に取りこまれ、「卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)」で精子との出会いを待っています。腟内に放出されたたくさんの精子は卵管膨大部を目指して進み、そのうちのたったひとつの精子が卵子と融合して、受精が成立します。
受精後、受精卵は2個、4個、8個と分裂を繰り返しながら、卵管の中を少しずつ移動します。この頃、子宮の内側には受精卵が着床しやすいよう、やわらかく栄養たっぷりの子宮内膜が整えられています。
受精後5日ほどで子宮にたどり着いた受精卵が子宮内膜にもぐりこみ、根を張ることを着床といいます。これが妊娠のスタートです。
妊娠の確率が高い、ベストなタイミングは?
排卵日当日にセックスをすれば必ず妊娠できる?
実は、排卵日にセックスをすれば、必ず妊娠できるわけではないのです。それは、精子と卵子の寿命や、出会いのタイミングなどによっても左右されるからです。
確率でいうと、20代前半の若い男女でも、妊娠できる確率は1回の排卵で約30%だといわれています。年齢が上がったり、ストレスが多かったりすると、さらに妊娠の確率は下がります。
妊娠は「授かりもの」といわれますが、本当に神秘的なことなのです。
排卵日の3日前~排卵日翌日までが妊娠しやすい
妊娠が成立しやすいセックスのタイミングは、排卵日3日前~排卵日翌日までの5日間といわれています。それはこの期間が、女性の体の周期と、精子・卵子の寿命から見てベストなタイミングになるからです。
排卵日が近くなると、女性の体は透明なおりものを大量に分泌します。これは「頸管粘液(けいかんねんえき)」といい、子宮頸管から分泌されています。頸管粘液の量がピークになるのは排卵日の2~3日前です。多量でさらさらとした頸管粘液は、精子が子宮内へスムーズに進入するのを助ける役割を果たします。
精子は女性の体内で約72時間生きています。一方で、卵子の寿命は約24時間です。したがって、排卵の前にセックスを行い、精子が先に到着しているところに卵子が出てくる、というケースでも妊娠が可能となります。
最も妊娠の確率が高いのは、頸管粘液がさらさらとした状態であり、精子の生存率が高い「排卵日の2日前」だといわれています。
妊娠しない“安全日”はある?
妊娠しやすいタイミングがあるのなら、妊娠しない、いわゆる“安全日”もありそうですね。しかし、セックスをする限り妊娠の可能性はゼロではありません。「安全日はない」と言っても過言ではないでしょう。
女性は年齢や体の状態、ストレスなどによって、月経の周期が乱れることがあります。そのため、確実な排卵日は自分ではわからないことがほとんどだからです。
妊娠を望まないのであれば、特に排卵日前後には正しい方法で避妊するようにしましょう。
妊娠の確率を上げるために知っておきたいこと
妊娠の確率を上げるためには、自分の体について知り、パートナーとの信頼関係を築くことが重要です。
基礎体温
「基礎体温」とは、起床してすぐ、起き上がる前の安静な状態で測った体温のことをいいます。この基礎体温を毎日記録して描かれるのが、「基礎体温曲線」です。
排卵のある女性では、体温が低い時期(低温相)と高い時期(高温相)のパターンが繰り返されます。排卵が起こるのは、低温相から高温相へと変わる数日の間です。
基礎体温を記録していると、次の月経の予想ができ、妊娠しやすい時期がわかるなど、体のリズムが見えてきます。
排卵日予測検査薬
排卵日を約1日前に予測する検査薬が「排卵日予測検査薬(以降、排卵検査薬)」です。
女性ホルモンの1種である黄体化ホルモン(LH)は、排卵日の直前に短期間、分泌量が急激に増加します(LHサージ)。排卵の引き金となるのが、このLHサージです。
排卵検査薬は、尿中のLHを検出して排卵日を予測します。使い方は妊娠検査薬とほぼ同じです。
詳しい使い方は、製品によって異なります。使用方法をよく読んでから使用しましょう。
①スティック先端の採尿部に尿を数秒かける
②水平に置いて判定窓にラインが出るかどうかを確かめる
③判定結果を確認する
陽性の判定が出れば、約1〜2日後に排卵が起こるという目安になります。
パートナーとの関係を大切に
妊娠のチャンスを増やすためには、パートナーとのセックスは必要です。しかし「妊娠しなくては」というプレッシャーがかかりすぎるとうまくいかないこともあります。
セックスが義務的なものになってはつらいもの。スキンシップや、いっしょにリラックスして過ごす時間を大切にしましょう。
パートナーとお互いに思いやりをもって過ごしながら、妊娠への準備ができるといいですね。
参考:
・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年
・「一般のみなさまへ:生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A) > Q1. 妊娠はどのように成立するのですか? 」(一般社団法人 日本生殖医学会)
・「第三章 〜将来の妊娠のために〜 1.妊娠したいと思ったら 」(Human+ | 公益社団法人 日本産科婦人科学会)
・「妊娠・出産の基礎知識 」(にんしんSOSちば/千葉県健康福祉部児童家庭課)
写真提供:ゲッティイメージズ
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