【医師監修】逆子の胎動|位置や痛み、感じ方に違いはある?
赤ちゃんの姿勢や「胎動」について
逆子とは
胎児は通常、ママのおなかの中で、頭を下に向けた姿勢(頭位)をとっています。一方で、胎児の頭が上にあり、お尻や足が下にある姿勢をとっていることがあります。これが逆子(さかご、骨盤位ともいう)です。分娩時に逆子であるケースは、全体のおよそ5%(※1)を占めます。
頭位の経腟分娩では、最初に赤ちゃんの体の中で最も大きい頭が骨盤を通り抜け、次いで体が出てきます。しかし逆子の場合には、一番大きな頭が最後に骨盤を通るために、引っかかったり、へその緒の圧迫により血液供給が止まったりするなどの危険があります。これらのリスクを避けるため、逆子の出産は帝王切開となることが多いです。
逆子の赤ちゃんの姿勢について、こちらの記事も参考にしてください。
※1出典:医療情報科学研究所 編「病気がみえる 産科」p.28 メディックメディア発行
胎動とは?
ママのおなかの中で胎児が動くことが胎動です。胎動を感じ始めるのは妊娠20週頃からですが、感じ方には個人差があります。
初めて妊娠出産を経験するママ(初産婦)よりも、2回目以降の妊娠出産となるママ(経産婦)のほうが2週間ほど早く胎動を感じるといわれています。
日中忙しく仕事や家事をしているときにはわかりにくいかもしれませんが、リラックスしているときには胎動を感じやすいでしょう。
胎動を感じるようになったママは、おなかの中で胎児が成長して体が大きくなってきていること、元気に動いていることを実感できます。妊娠後期になると、手足の動きも力強くなり、ママが痛いと感じるくらいのパンチやキックをしてくることもあります。
逆子の場合の胎動は?
頭位の胎児の場合には、足がママのおなかの上のほうにあるため、おへその上のあたりがポコポコと動いたり、胃を蹴られるように感じます。
一方、逆子の場合は、胎児の足がおなかの下のほうにあり、ママは下腹部に胎動を感じることが多くなります。膀胱を刺激されてしまい、トイレに行きたくなることもあるでしょう。
赤ちゃんのしゃっくりの位置で逆子かどうかわかるって本当?
通常の胎動とは少し違う、小刻みな「ぴくぴく」とした動きを感じて、おなかの赤ちゃんに何かが起きているのでは?と不安になるママもいるかもしれません。
これは、「しゃっくり様運動」と呼ばれる胎動の一つです。生まれる前からしゃっくりをしていることを知ると、いっそうかわいらしく思えてきますね。
胎児がしゃっくりをするときの位置で逆子かどうかがわかる、という話をきいたことがある人もいるかもしれませんが、しゃっくりの位置で胎児の姿勢を判断できるという医学的な根拠はありません。
逆子が治ったかどうかを胎動で判断できる?
逆子は治る?
妊娠中期までの胎児は、羊水の中でくるくると回ったり、動いたりしているため、妊娠中期までの30~50%の胎児が逆子(※2)です。しかし、ほとんどの胎児は分娩までに自然に回転して、頭を下にした姿勢をとります。したがって、妊婦健診で逆子といわれても、ほかに異常がなければそれほど気にする必要はありません。自然に治るのを待ちましょう。
しかし、妊娠34週頃になっても逆子である場合には、帝王切開を回避するために、逆子を治す手技をすすめられることがあります。これは、ママのおなかの上から、手で胎児を回転させ、頭位に治す方法(骨盤位外回転術)です。
子宮筋の緊張を和らげて胎児を回転しやすくするためと、比較的強い力で回転させることで感じる痛みを和らげるため、おなかの張りを止める点滴と麻酔をかけて行います。外回転術が成功し、逆子が治る確率はおよそ60%だといわれています。
また、へその緒が引っ張られて胎盤がはがれる「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」や、赤ちゃんの健康に問題があったり、将来問題が起こるかもしれない状態である「胎児機能不全」を誘発するリスクがあります。
これらはそのまま緊急帝王切開が必要になる可能性が高い疾患です。
全ての医療機関で外回転術をうけられるわけではありませんので、担当医に相談しましょう。
そのほかの矯正方法としては、逆子体操やポジショニング、鍼灸療法などが知られています。しかし、医学的な効果ははっきりと示されてはいません。
「常位胎盤早期剥離」については、こちらの記事も参考にしてみてください。
※2
出典:医療情報科学研究所 編「病気がみえる 産科」p.284 メディックメディア発行
治ったかどうかを胎動で判断できる?
逆子のときには膀胱を蹴られ、頭位になると胃を蹴られるように感じる、というママも少なくありません。しかし、医学的には胎動だけでは、逆子かどうかを判断できません。妊婦健診のときにエコーで確認して判断してもらいましょう。
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胎児が逆子だといわれたら、不安に感じるかもしれませんが、多くの場合は自然に治ります。もしも戻らなかった場合でも、リスクを回避する方法をとることができます。不安になりすぎないよう、胎児の状態をよく知ってお産に臨みましょう。
参考:
・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年
・「出産に際して知っておきたいこと」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)、2021年2月
・「妊娠・出産をお考えの方 骨盤位外来」(国立成育医療研究センター)、2021年2月
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