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初産と年齢の関係は?

【医師監修】初産と年齢の関係は?

さまざまな状況から、今はなかなか妊娠に踏み切れないという人もいるかもしれません。しかし、ママの年齢は妊娠・出産に影響します。どのような影響があるのかなど、出産と年齢の関係について紹介します。
さまざまな状況から、今はなかなか妊娠に踏み切れないという人もいるかもしれません。しかし、ママの年齢は妊娠・出産に影響します。どのような影響があるのかなど、出産と年齢の関係について紹介します。

初めての出産(初産)の平均年齢は?

現代の日本では、結婚に対する価値観の変化や女性の社会進出が進んだことなどにより、晩婚化が顕著になってきています。仕事の進行状況やパートナーとの生活などを考えるとき、1人目の子どもをいつ妊娠したらよいかについて、悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、女性の平均初婚年齢は平成7年には26.3歳でしたが、平成30年には29.4歳に上がっています。

表1 妻の平均初婚年齢の年次推移

© every, Inc.

出典:厚生労働省 人口動態統計月報年計を参考に作成

そのため、初めての出産をする年齢も高くなってきています。昭和60年には初産の平均年齢は26.7歳でしたが、令和元年は30.7歳でした。

表2第一子出生児の母の平均年齢の年次推移

© every, Inc.

出典:厚生労働省 人口動態統計月報年計を参考に作成

次に、ママの年齢別の出生数に注目してみましょう。ただし、表3のデータは初産だけのものではなく、出産全体を含んでいます。

最も出生数の多い年齢は、昭和60年には25~29歳でしたが、令和元年には30~34歳に移っていることがわかります。35歳以上での出産は、昭和60年には全体の7%ほどでしたが、令和元年には30%近くに増えています。

表3 母の年齢別出生数

© every, Inc.

出典:「厚生労働省 人口動態統計月報年計」を参考に作成 ※総数には母の年齢不詳を含む)

初産と年齢の関係【高年初産】

近年増加している35歳以上での出産には、どんな問題があるのでしょうか。

35歳以上の初産について

日本産科婦人科学会では、「高年初産婦」を、35歳以上で初めて出産する人と定義しています。2人目以降の定義はありませんが、一般に35歳以上の出産を「高年出産」「高齢出産」と呼んでおり、前述したように、年々その割合が増えています。

高齢出産でのリスクについて

高年齢での妊娠・出産は、赤ちゃんの染色体異常の可能性や、早産になりやすいなどのリスクが高まります。詳しくみてみましょう。

  • 胎児の染色体異常が起こりやすい

ママの年齢の上昇にともない高齢妊娠では染色体異常を起こす割合が高くなります。高齢妊娠では流産が多くなるのも、染色体異常が主な原因です。

代表的な染色体異常として、ダウン症候群が知られています。

  • 早産になりやすい

高年齢になるほど、妊娠中に起こる問題(妊娠合併症)のリスクが高まります。

妊娠合併症には、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)、前置胎盤(ぜんちたいばん)、妊娠糖尿病などがあり、早産のリスクも上昇します。

高年齢では子宮筋腫合併妊娠や、不妊治療による双胎妊娠も増えるため、これらの要因も早産の原因となります。

晩婚化による高齢出産の増加が、出産全体の中で早産が増加している原因のひとつとなります。

こちらの記事も参考にしてみてください。

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  • 難産になりやすい

加齢により、分娩時に赤ちゃんの通り道(子宮頸管や腟管)がやわらかくなりにくい、開きにくい、陣痛が弱く十分ではない、などが原因となってお産がなかなか進まない場合があります。難産はママだけでなく胎児にも影響が及ぶため、状況によっては緊急帝王切開分娩となることもあります。

高齢出産でのリスクについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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妊娠・出産する年齢によって、母体や胎児への影響が心配されることは以前よりも知られるようになりました。それに伴い、いわゆる「高齢出産」とされる35歳以上の女性が、妊娠・出産への心配や不安を感じることも増えています。高齢出産の定義やリスクについて説明します。

初産と年齢の関係【若年出産】

高年齢での出産だけでなく、若年での出産にもリスクがあります。

10代の若年妊娠では、子宮の未熟な発達や社会的リスクにより、流産、早産や低出生体重児の割合が増加します。若年での出産は、望まない妊娠や人工妊娠中絶の増加、育児支援の不足、経済的な不安、パートナーとの安定した関係が築けていないなどが問題となっています。10代での若すぎる妊娠出産についても、注意が必要です。

笠井先生からのコメント

「高年齢だとさまざまなリスクがある」と言われれば、誰もが不安な重い気持ちになります。けれども大切なことは、自分の健康管理をしっかりとして、主体的に出産を迎えるという意識を持つことです。一人ひとり状況は違いますから、あまり年齢だけにとらわれないことも時には必要です。

リスクについての知識を持ちつつも、おなかの中で動いている赤ちゃんに話しかけたりリラックスしたりできる時間を日々の生活の中でとるようにしてみましょう。

参考:

・「平成30年人口動態統計別報年計 4 婚姻 表 10-1 平均初婚年齢の年次推移」(厚生労働省)、2021年3月閲覧

・「令和元年人口動態統計別報年計 表 10-1 夫婦の平均初婚年齢の年次推移」(厚生労働省)、2021年3月閲覧

・「平成30年人口動態統計別報年計 2 出生 表3 第1子出生時の母の平均年齢の年次推移」(厚生労働省)、2021年3月閲覧

・「第3回「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」(厚生労働省)、2021年3月閲覧

・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年

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写真提供:ゲッティイメージズ

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