【医師監修】妊娠中の接種はしてもいい? 新型コロナウイルス感染症ワクチン
妊娠中の人は新型コロナワクチンの接種はできる?
接種することができる
現在、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種することができます。
すでに多くの接種実績のある海外の妊婦のワクチン接種の情報では、ワクチンを接種することで妊娠初期を含めて妊婦とおなかの赤ちゃん双方を守るとされており、流産などのなんらかの重篤な合併症が発生したとする報告はみられていません。そのため日本においても希望する妊婦はワクチンを接種することができます。
また、以前日本では器官形成期にあたる妊娠12週(妊娠3ヶ月)まではワクチン接種は避けましょうとしていましたが、現在は妊娠中のいつの時期でも接種可能としています。
2021年6月現在、日本で接種が行われている、ファイザー/ビオンテック製ワクチン「コミナティ筋注」とモデルナ製ワクチン「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」は、いずれも「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」(コラム参照)と呼ばれる新しい仕組みのワクチンです。
このワクチンは、ウイルス等の毒性を弱めて作られた「生ワクチン」とは異なるため、接種により新型コロナウイルスに感染することを心配する必要はありません。
厚生労働省のQ&Aによると、新型コロナウイルスのワクチン「mRNAワクチン」が妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はみられていません。
ただし、新型コロナワクチン接種を行うにあたって、リスク(副作用)とベネフィット(効果)の双方を考慮する必要があります。
産婦人科の施設以外で接種を受ける場合は、事前にかかりつけ医に接種する旨を相談してください。
妊娠中の新型コロナワクチン接種について
妊娠中は特に接種を考えて
米国では、すでに10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種しています(2021年5月3日時点)。妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の女性の追跡研究の報告では、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度であり、胎児や出産への影響は認められませんでした。
妊婦中の女性に対するmRNAワクチンの安全性や有効性に関する研究も現在行われています。
米国CDC(アメリカ疾病対策センター)は、妊婦にも接種の機会が与えられるべきだとしています。
これは、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、同世代の妊娠していない女性と比べて、後期の感染では、早産率が高まり、妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がることが主な理由で、一部は重症化することが報告されていいます。
新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子
新型コロナウイルスに感染することで患者の一部は重症化することが報告されています。
新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子は以下のような背景を持つ妊婦という報告もあるため、特に感染予防に注意してください。
- 高年齢での妊娠(※初産では35歳以上、経産では40歳以上を指す)
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
- 気管支喘息(きかんしぜんそく)などの基礎疾患がある場合 など
ほかにも人口当たりの感染者が多い地域では積極的にワクチン接種を考慮するといいでしょう。
ワクチンの副反応時の解熱鎮痛薬の使用については後半でお伝えします。
厚生労働省のQ&Aによると、妊婦が感染する場合の約8割は、夫やパートナーからの感染と報告されています。妊婦の夫またはパートナーの方には、ワクチンを接種することをお勧めします。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンとは
「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」は既存のワクチンとは違い、新しい仕組みのワクチンです。
これまで日本で使用されていたワクチン(不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫ができる仕組みでした。
mRNAワクチンは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射します。
注射後、人の体の中でこの情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部がつくられ、それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができます。
胎児・新生児への影響は?
抗体が移行して免疫がつく可能性が
海外で妊娠中にmRNAワクチンを受けた人の臍帯血(さいたいけつ)や母乳を調べた研究では、接種後、臍帯血や母乳中にも新型コロナウイルスに対する抗体があることが示されました。
こうした抗体は胎盤を通って赤ちゃんに移行します。産後の新生児の感染を減らすかどうかまではわかっていませんが、母親から新生児へ抗体が移行し、免疫がつく可能性があります。
副反応での解熱鎮痛薬の使用について
新型コロナワクチン接種をしたあと、発熱や頭痛がある場合は早めに解熱鎮痛剤を服⽤するようにしてください。
ただし薬の成分によって、妊娠中は、使用できるものと避けるべきものがあります。
妊婦の解熱鎮痛薬の使用
アセトアミノフェンは使用可能ですが、非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ロキソプロフェン等)の妊娠後半期の使用は避けるべきと考えられています。
できる限り市販薬を使用せず、かかりつけ医に処方してもらうようにしましょう。医療機関の受診が難しい場合は薬局やドラッグストアの薬剤師に相談し、アドバイスをもらうようにしてください。
ワクチン接種したあとは
2回のワクチン接種後は、これまでと同様に感染予防策は続けて行ってください。(適切なマスク使用、手洗いの実施、人込みを避けるなど)
参考:
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A Q. 私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。 」(2021年8月16日閲覧)
国立成育医療研究センター「妊娠・授乳中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について 」(2021年8月16日閲覧)
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A Q. 私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。 」(2021年8月24日閲覧)
厚生労働省子ども家庭局母子保健課「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)6.妊婦や小児に関すること(令和2年12月24日時点) 」について (2021年8月16日閲覧)
厚生労働省、新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)6.妊婦や小児に関すること 令和3年8月20日版 、(2021年8月24日閲覧)
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは新しい仕組みのワクチンということですが、どこが既存のワクチンと違うのですか。」 (2021年8月16日閲覧)
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A Q. 妊娠中にワクチンを接種した場合、生まれる新生児に免疫はつきますか。」 (2021年8月16日閲覧)
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