【医師監修】妊婦がトキソプラズマ症に感染すると胎児に影響する?予防策・対処法も解説
妊娠中にトキソプラズマ症に感染すると、赤ちゃんにどのような影響があるのか心配ですよね。
今回は、トキソプラズマ症とはどのような感染症なのか、感染した場合のリスク、検査方法、対処法、予防策などを詳しく解説します。
妊娠中に注意したい感染症についてしっかり理解し、安心して妊娠期間を過ごしましょう。
妊娠中にトキソプラズマ症に感染すると、赤ちゃんにどのような影響があるのか心配ですよね。
今回は、トキソプラズマ症とはどのような感染症なのか、感染した場合のリスク、検査方法、対処法、予防策などを詳しく解説します。
妊娠中に注意したい感染症についてしっかり理解し、安心して妊娠期間を過ごしましょう。
トキソプラズマ症とはどんな感染症?
トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ・ゴンディという寄生虫によって引き起こされる感染症です。
この寄生虫は、猫の排泄物や未調理の肉、汚染された水や土を介して人に感染します。
妊婦が感染すると、赤ちゃんに深刻な影響を与える可能性があるため、特に注意が必要です。
トキソプラズマ症の症状
トキソプラズマ症は症状が出る場合もあれば、無症状の場合もあります。感染の程度や個人の免疫力によって出る症状はさまざまです。
ここでは、いくつかの典型的な症状を紹介します。
トキソプラズマ症の一般的な症状
トキソプラズマ症の一般的な症状には、発熱やリンパ節の腫れ、筋肉痛、全身の倦怠感などがあります。これらの症状は風邪と似ているため、初期段階で見分けるのが難しいことがあります。
通常、健康な成人であれば重症化の心配はありません。
しかし、免疫力が低下している人や免疫機能に疾患がある人などは、脳炎を患ったり、最悪の場合死亡に至ったりする場合も。
妊婦さんは、赤ちゃんを異物とみなして排除しないよう、免疫力が低下している状態です。
トキソプラズマ症に感染することで、重篤な合併症を引き起こしたり、赤ちゃんに影響が及んだりする可能性もあります。
無症状のケースもある
トキソプラズマ症に感染しても、感染者の約8割は無症状だといわれています。これは、一度トキソプラズマ症に感染してしまえば一生涯免疫がついた状態となり、その免疫力が寄生虫の活動を抑制するためです。
初めて感染した場合でも、特徴的な症状がないため感染に気づかないことがほとんどです。
しかし、無症状でも感染状態は続いているため、おなかの中の赤ちゃんに感染してしまう可能性があります。
無症状の感染を見逃さないために、定期的に検査を受けることが大切です。
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染したら赤ちゃんに影響する?
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染しても、妊婦本人が重症化することはほとんどありません。
しかし、赤ちゃんに深刻な影響を与える可能性があるのです。ここでは妊婦さんが感染した場合、赤ちゃんに出る影響などについて紹介します。
先天性トキソプラズマ症を発症するおそれがある
先天性トキソプラズマ症は、赤ちゃんが母子感染によってトキソプラズマに感染し発症する病気です。
具体的な症状としては、水頭症、脳内石灰化、視力障害などが挙げられ、発達遅延を引き起こすこともあります。
妊婦さんが妊娠初期にトキソプラズマ症になった場合、赤ちゃんへの感染率は低いですが、万が一母子感染してしまった場合は症状の発現率や重症化のリスクが高くなります。
逆に、妊娠後期に感染した場合、赤ちゃんへの感染率は高くなりますが、症状の発現率は低い傾向にあります。
赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を発症しているかどうかを確認するためには、超音波検査や血液検査、羊水を用いたトキソプラズマのPCR検査を受ける必要があります。
必ず母子感染するわけではない
トキソプラズマ症は、必ずしも母子感染するわけではありません。
妊婦さんが妊娠中に初めてトキソプラズマ症に感染する確率は0.13〜0.25%ほど。
母子感染する確率は、妊婦さんが妊娠14週以前に感染した場合は10%以下、妊娠15〜30週なら約20%、妊娠31週以降は60〜70%です。感染時期が遅いほど母子感染率が高くなりますが、症状がまったく出ない、または軽いケースが多くなります。
母子感染を防ぐためには、妊娠中の食事や生活環境に注意し、感染のリスクを減らすことが重要です。
トキソプラズマ症の検査
トキソプラズマ症の検査は、妊娠中に感染しているかどうかを確認するために重要です。ここでは、検査内容やタイミング、結果の見方について詳しく説明します。
検査内容
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染しているかどうかの検査では、おもに血液検査が用いられます。
トキソプラズマ抗体であるIgG抗体とIgM抗体のレベルを測定することで、過去に感染したことがあるか、最近感染したかを判断します。
また、母子感染が疑われる場合は、羊水検査や超音波検査が行われることもあります。
検査のタイミング
トキソプラズマ症の検査は、妊娠初期に希望すれば受けられる場合があります。
初期検査で陰性であっても、感染のリスクが高い環境にいる場合は妊娠中期や後期にも再検査することが推奨されます。
猫を飼っている人や生肉を扱う機会が多い人は、定期的に検査を受けましょう。
検査結果の見方
トキソプラズマ症の検査結果では、IgG抗体とIgM抗体の値を確認します。
IgG抗体が陽性でIgM抗体が陰性の場合、時期は特定できないものの過去に感染したことがあり、現在は問題ないことを示しています。
一方、IgM抗体が陽性の場合は、最近感染した可能性があり、医師の指導に従った対策が必要です。
IgG抗体とIgM抗体の両方が陰性の場合は、今後妊娠中に感染することがないよう、注意しながら過ごしましょう。
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染した場合の対処法
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染した場合には、感染の程度や妊娠週数に応じて適切に対応することが求められます。
ここでは、トキソプラズマ症と診断された場合の対処法について詳しく解説します。
まずは医師の指導に従う
トキソプラズマ症への感染が確認された場合、まずは医師の指導に従って行動しましょう。
トキソプラズマ症に感染しても、無症状や軽症の場合は自然に治ることが多いため、様子を見るだけの場合もあります。
医師は感染の程度や妊娠週数を考慮し、定期的な検査を行う、生活習慣の見直しを勧めるなど、最適な指示・アドバイスをしてくれます。
感染がわかっても慌てることなく、医師の指導をしっかりと守って妊娠期間を過ごしてくださいね。
薬を服用する
トキソプラズマ症の薬は、医師の指示に従い、用法・容量をしっかりと守って服用しましょう。
処方される薬は、スピラマイシンなどの抗トキソプラズマ薬や抗生物質などが一般的です。これらの薬には、感染や症状の進行を防ぎ、赤ちゃんへの影響を最小限に抑える効果があります。
服用期間についても医師の指導を受け、指示通りに服用してくださいね。また、薬の副作用や赤ちゃんへの影響についても事前に確認しておくと安心です。
妊婦さんがトキソプラズマ症への感染を予防するには?
妊婦さんがトキソプラズマ症の感染を予防するためには、食事や生活習慣、環境衛生に気をつけることが重要です。
ここでは、具体的な予防策を紹介します。
肉はよく加熱してから食べる
トキソプラズマ症への感染を防ぐために、肉は十分に加熱してから食べることが大切です。
焼き加減が不十分な場合、トキソプラズマが残っている可能性があるので気をつけましょう。
特に、ジビエ料理などの野生肉は、妊娠中は避けるのがベターです。
肉を調理するときは、中心部までしっかりと加熱するようにしてください。調理前に数日冷凍しておくと、より効果があります。
野菜・果物は念入りに洗う
野菜や果物は念入りに洗いましょう。
土や動物の排泄物が付着している場合、そのなかにトキソプラズマが含まれていることがあります。
調理するときは、流水で汚れをしっかりと洗い流しましょう。表面に凹凸のある野菜や果物はブラシを使って洗うとよいですね。皮を剥く場合も、しっかりと洗ってから剥くようにしましょう。
土や砂を触ったあとは手をよく洗う
ガーデニングや土いじりをしたあとは、手をよく洗いましょう。
土にトキソプラズマの卵が含まれていることがあり、触れた手を通じて感染する可能性があるのです。
手洗いは、石鹸と温水を使って念入りに行いましょう。指の間や爪の下も忘れずに洗ってくださいね。
飼い猫のお世話には手袋を使う
飼い猫のお世話をする場合は、手袋を使いましょう。
猫の排泄物にはトキソプラズマが含まれていることがあり、掃除やトイレの処理時に感染するリスクがあるのです。
排泄物に直接触れないよう手袋を使用し、そのあとは手袋を外して手をしっかりと洗うのを忘れないようにしましょう。
妊娠中の飼い猫のお世話は、家族にやってもらうなどの対策をとってもよいですね。
妊娠中は猫との接し方に気をつけて
猫のお世話に手袋を使うほか、以下のことにも気をつけましょう。
- できるだけ部屋のなかで飼うようにする
- 餌はキャットフードを与える
- 妊娠中に新しい猫を飼わない
- 猫がキッチンや食卓などに近づかないようにする
お腹の赤ちゃんのために、接し方を工夫することが大切です。
できるだけ感染リスクを抑えて!不安な場合は定期的な検査を
妊婦さんがトキソプラズマ症に感染すると、赤ちゃんにも深刻な影響を与える可能性があります。
おなかの赤ちゃんのためにも、感染を予防するための行動を徹底しましょう。もし、家に飼い猫がいる、生肉を触ることが多いなど、感染リスクがある環境にいる場合は、定期的に検査を受けてくださいね。
トキソプラズマ症の症状や対策などについてしっかりと理解し、安心して妊娠期間を過ごせるようにしましょう。
- トキソプラズマ症に感染してもほとんどは無症状
- 母子感染により赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を発症する場合も
- 検査を受けることでトキソプラズマ症への感染や抗体の有無がわかる
- 感染がわかったら、まずは医師の指示に従って!
- 感染予防をしっかり!抗体がある場合でも、妊娠中の健康のために実施して
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本記事は妊娠中の方への情報提供を目的としており、診療を目的としておりません。
本サイトでは正確な情報を提供できるよう最善を尽くしておりますが、妊娠期の母体の状態は個々人により異なるためすべての方に適用できるものではございません。
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