【医師監修】羊水検査とは、時期や内容について
羊水はお腹の赤ちゃんのさまざまな情報を含んでいます。
少なからずリスクもあり、全ての妊婦さんが行う検査ではありません。
また、行う場合には十分にカウンセリングを受ける必要があります。
羊水はお腹の赤ちゃんのさまざまな情報を含んでいます。
少なからずリスクもあり、全ての妊婦さんが行う検査ではありません。
また、行う場合には十分にカウンセリングを受ける必要があります。
羊水検査でわかること(※1)
子宮の中を満たしている羊水にはお腹の赤ちゃん由来の羊水細胞が含まれています。
羊水検査は、羊水をとり細胞を回収して、染色体の異常を調べる検査です。
家族に遺伝性の病気がある場合には、遺伝子について調べることもあります。
多くの染色体の異常を調べる検査ですが、おもに21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)、ターナー症候群、クラインフェルター症候群などの染色体の異常、遺伝性疾患について調べています。
羊水検査の対象となるママ(※2)
羊水検査には少なからずリスクもあり、希望したママ全てに行えるわけではありません。絨毛(じゅうもう)検査や羊水検査などのお腹に針を刺す検査は、基本的にお腹の赤ちゃんに染色体異常などの可能性が高い場合に受けることになっています。
たとえば「夫婦の片方、あるいは両方が染色体異常の保因者」「染色体異常児を分娩した既往のあるママ」「高年齢妊娠」などがあります。ほかにもいくつか適応となるママの条件が定められています。(※3)
羊水検査を行う時期
羊水検査を行う時期は医療機関によって幅がありますが、妊娠15〜18週に行われます。
妊娠15週以前に検査をするとまだ羊水も少なく、お腹の赤ちゃんを傷つけたり、流産の危険性が高くなるといわれています。(※4)
羊水検査の費用
羊水検査の費用は自費となります。医療機関によって差がありますが、だいたい10〜20万円であることが多いようです。
羊水検査の方法
超音波検査でお腹の赤ちゃんの位置を確認しながら、羊水の多い場所を探します。
ママのお腹に針を刺し、子宮内の羊水を約20ml採取します。
羊水をとるのにかかる時間は通常では数分です。ただ、赤ちゃんの位置などにより羊水がうまくとれないケースもあり個人差があります。
終了したら再度超音波検査でお腹の赤ちゃんに異常がないかどうか確認します。
30分ほど安静にして、ママと赤ちゃんに異常がないことが確認できれば帰宅となります。※2
採取した羊水細胞は培養(ばいよう)され、顕微鏡で専門の医師や技師が診断します。
通常染色体は2本ずつ対になっています。21トリソミーは21番染色体が3本あることから診断されます。18トリソミーは18番染色体が3本、13トリソミーは13番染色体が3本です。
羊水検査の結果が出るまでには2〜3週間かかります。
急いで結果を知る必要があるときや、最終結果が出るまでの中間報告として使用される場合は、1週間ほどで結果がでるFISH法という検査方法を使うこともあります。
羊水検査に痛みはある?
羊水検査はお腹に針を刺して行います。痛みの感じ方はママによっても少し差があります。また、施設により局所麻酔を使用する場合としない場合があります。
検査をする施設に確認してみましょう。
針を刺している間はつねられている、押されているような感覚、と表現するママもいます。(※3)
羊水検査のリスク
破水や子宮内感染、出血などから、検査のあとに流産してしまう確率が約0.3%(300人に1人)程度あるとされています。
検査のあとに出血したり、下腹部の痛みなどがある場合にはそのまま入院して様子を見ることもあります。(※5)
羊水検査をしたのに…わからないこともある?
羊水で染色体を検査する方法は、現在行われているお腹の赤ちゃんの染色体検査の中では信頼性の高い検査です。そのため、この検査結果を最終的な診断として、そのあとママや家族がどのような決断をするか、お腹の赤ちゃんの治療にどう生かしていくかの判断をすることになります。
しかし、まれではあるものの培養の結果がうまくいかずに検査の結果が得られないことがあります。また染色体の数の異常ではなく、形の異常の場合には検出できないことや、モザイク型と呼ばれる正常な細胞と染色体異常の細胞が混ざり合っているケースでは正しく診断が行えないことがあります。
必要に応じて、パパとママも染色体の検査を行ったり、追加の検査をしたりすることがあります。(※3)
産婦人科医 吉村先生からのメッセージ
現在日本では妊娠22週未満までしか人工妊娠中絶が認められていません。
妊娠15、16週以降に羊水検査を受け、結果が出てから結論を出すまでにはあまりにも時間が限られています。
そのため検査を受ける前から遺伝カウンセリングを受け、十分なサポート体制のもとカップルで相談し、結果に対する準備をしておく必要があります。
お腹の赤ちゃんに対してどのような異常、障害があるかを伝えると同時に、どのように成長していけるのかについても知っていただく必要があるでしょう。
決定をするのはあくまでもカップルや女性ですが、必要な情報があれば遠慮せずに医師やカウンセラーなどに質問し、支援を受けることができます。
参考:
※1 吉村𣳾典(著)、「高齢妊娠・出産とどう向き合うか」、ぱーそん書房、2014年
※2 日産婦誌59巻7号、「C.産婦人科検査法、19羊水検査・絨毛検査」 、2007年(2020年7月1日最終閲覧)
※3 関沢明彦・岡井崇(監修)・昭和大学病院総合周産期母子医療センター(編)、「新版 安心すこやか妊娠・出産ガイドー妊娠・出産の全てがこの1冊でわかる」、メディカ出版、2019年
※4 武谷雄二・上妻志郎・藤井知行・大須賀穰(監修)、「第3版プリンシプル産科婦人科学②産科編」、メジカルビュー社、2017年
※5 NIPTコンソーシアム ホームページ (2020年7月1日最終閲覧)
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写真提供:ゲッティイメージズ
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