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【専門家監修】育休中でも年末調整は必要、扶養に入れば節税も?

育休中でも年末調整は必要、扶養に入れば節税も?【専門家監修】

会社員などの給与所得者は、勤務先で年末調整をしてもらいます。
育児休業に入って給与が減ったり、給与がなくなっても、年末調整は必要です。

年末調整の基礎知識を紹介したうえで、扶養や控除について解説します。
会社員などの給与所得者は、勤務先で年末調整をしてもらいます。
育児休業に入って給与が減ったり、給与がなくなっても、年末調整は必要です。

年末調整の基礎知識を紹介したうえで、扶養や控除について解説します。

育休中は「退職していない」ので年末調整が必要

会社などに所属して給与所得者でいる限り、年末調整は必要になります。

育休を取っている人は、休業後に職場復帰することが前提なので、育休中も退職していない状態にあり年末調整は必要です。

年末調整の基礎知識

年末調整の仕組みについておさらいしておきます。

年末調整は、「概算で先払いした所得税などの税金の額」を、年末に調整して「本来の税金の額」にすることです。

税金は、毎月の給与やボーナスから差し引かれていて、これを源泉徴収といいます。

源泉徴収で徴収される税金の額は大体の額(概算額)なので、多く徴収されているかもしれませんし、少なく徴収されているかもしれません。先払いした税金(源泉徴収額)が多かった場合、年末調整によって戻ってきます(還付されます)。源泉徴収額が少ない場合は、年末調整後に不足額が徴収されます。

年末調整の手続きは勤務先の給与担当者が行います。年末調整を受ける人(給与所得者)は所定の用紙「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出するだけですみます。

なぜ還付や不足分の徴収が発生するのか

源泉徴収で概算額を使うのは、年末にならないと税金の正しい金額が判明しないからです。

税金の額は、扶養家族の有無や生命保険や住宅ローンの支払い状況などによって変わってきます。それは税金の額を計算するとき「控除」という、税金を下げる作業を行うからです。

1月1日から12月31日までの1年間に、扶養家族が増えたり減ったり、生命保険に加入したり脱退したりすれば控除額が変わり、支払うべき税金の額が変わってきます。

その都度、税金の額を再計算するのは手間なので、年末に1年分の税金の額を計算します。これが年末調整になります。

ちなみに住宅ローン控除では、1年目は確定申告が必要です。

育休中は控除に注意を「節税効果があります」

育休を取得している人が年末調整で注意したいのは、収入(年収)と控除です。

収入とは、給与所得者が勤務先の企業などから支払われるお金のことであり、税金や社会保険料が差し引かれる前の額です。年収とは、1月から12月までの収入の合計額です。

控除は「差し引く」という意味です。税金の額を計算するときに、計算の元となる所得の額から一定額を差し引いたり、一度算出した税額から一定額を差し引いたりします。これにより、特定の事情のある人の税金の額を減らすことができます。これが控除です。

出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金は非課税

育休を取得している人は、出産育児一時金や出産手当金や育児休業給付金を受け取っているかもしれません。これらは非課税です。つまり、年末調整の対象になる収入(年収)に含まれません。

年収103万円以下の育休中の人は還付が期待できる

育休を取得している人の年収が103万円以下の場合、税金を支払う必要がありません。源泉徴収によって給与から税金が差し引かれている場合、還付で戻ってくる可能性が高いでしょう。

年収103万円以下の場合、税金を支払う必要がなくなるのは「課税される所得金額」が0円になるからです。

給与所得者の所得税を計算するとき、年収から給与所得控除額(最低55万円)を差し引き、そこからさらに基礎控除額(所得によって0~48万円)差し引いて、課税される所得金額を算出します。つまり年収が103万円以下の場合、最低でも103万円(=55万円+48万円)が控除されるので、課税される所得金額が0円またはマイナスの額になり税金が課せられません。

年収103万円以下の人はさらに、配偶者の扶養に入ることができるかもしれません。育休中の人が、配偶者の扶養に入れば、配偶者は配偶者控除を受けられるので、税金額が下がります。

ただし配偶者の年間合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者は配偶者控除を受けることはできません。(節税効果を得ることはできません)

年収103万円超~201万6,000円未満の育休中の人の場合

育休中の人の年収が103万円を超えると、税金が課せられます。ただしこの場合も、必ず年末調整で税金が追加で調整されるわけではありません。源泉徴収の額が多ければ、還付されます。

そして年収が103万円超~201万6,000円未満の場合、配偶者が配偶者特別控除を受けることができます。

「配偶者特別控除」は「配偶者控除」の特別ルールです。

配偶者控除と配偶者特別控除

配偶者控除と配偶者特別控除のルールは複雑なので整理しておきます。

育休中の人は、収入(年収)が一定額より低いと、配偶者の税金の額が下がるかもしれません。それは、配偶者が、配偶者控除または配偶者特別控除を受けることができるからです。

配偶者控除と配偶者特別控除の額を紹介します。

●配偶者控除

<条件>

  • 育休中の人の収入が103万円以下
  • 配偶者の合計所得金額が1,000万円以下

配偶者控除/表

© every, Inc.

出典:『No.1191 配偶者控除 』(国税庁)を加工して作成

●配偶者特別控除

<条件>

  • 育休中の人の合計所得金額が48万円超~133万円以下
  • 配偶者の合計所得金額が1,000万円以下

配偶者特別控除/表

© every, Inc.

出典:『No.1195 配偶者特別控除 』(国税庁)を加工して作成

そのほかの控除について

控除には、給与所得控除や基礎控除、配偶者控除や配偶者特別控除以外にも、次のようなものもあります。

  • ふるさと納税による控除(寄付金控除)
  • 住宅ローン控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 医療費控除
  • 寡婦控除と寡夫控除

そのほかにも、次のような場合は税額が下がる可能性があります。

  • 災害や盗難にあったとき(税金の減額や免除)

年末調整に間に合わなくても還付は受けられる

何らかの理由で年末調整が行えず、本来受けられるはずの税金の還付(払いすぎた税金の払い戻し)が受けられなくなっても、翌年に確定申告を行えば還付されます。

過去5年分までの還付が可能ですので、今一度、過去に支払った税金をチェックしてみてください。

まとめ~会社の給与担当者に相談を

育休中の人は、勤務先とのコミュニケーションがまったく取れない場合があります。そのため、「育休中でも年末調整をしてもらえるのだろうか」と心配になるかもしれません。

不安を感じたら、会社の給与担当者に相談してみましょう。そして育休を取っている人自身が年末調整や控除や源泉徴収の基礎知識を持っていれば、より一層安心できるはずです。

出典

No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか 』(国税庁)、2020年9月閲覧

No.1191 配偶者控除 』(国税庁)、2020年9月閲覧

No.1195 配偶者特別控除 』(国税庁)、2020年9月閲覧

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