つわりで傷病手当金はもらえる?支給される条件や申請方法を解説
妊娠中のつわりで働けないとき、傷病手当金はもらえるのか、気になりますよね。
この記事では、つわりによる休職中に利用できる傷病手当金の受け方や、必要な条件について詳しく解説します。
妊娠中のつわりで働けないとき、傷病手当金はもらえるのか、気になりますよね。
この記事では、つわりによる休職中に利用できる傷病手当金の受け方や、必要な条件について詳しく解説します。
傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気やけがで働けなくなったときに支給される制度です。まずはこの制度の目的や大まかな内容について理解しましょう。
傷病手当金の概要
傷病手当金は、病気やけがが原因で休業するときに、被保険者とその家族の生活を保証するために作られた制度です。
病気やけがによる休業の場合、給与が減ってしまったり、給与がまったく支払われなかったりします。
給与が減ることで被保険者の生活に支障をきたさないよう、一定の条件を満たすと傷病手当金が支給されることになっています。
支給される金額
傷病手当金の支給額は、患者の平均的な日給の3分の2に基づいて計算されます。
計算式:1日あたりの傷病手当金=直近12ヶ月の標準報酬月額を平均した金額÷30×2/3
過去12ヶ月間の給与総額を勤務日数で割り、その日給の約66.7%が傷病手当金として支給されます。
支給される条件
傷病手当金は健康保険組合から支払われるので、健康保険組合への加入が大前提となります。そのうえで、傷病手当金の受給要件として、以下4つをすべて満たすことが条件と定められています。
傷病手当金が支給される条件
仕事とは関係のない、病気・けがのための療養中であること
病気やけがの療養のため、それまで従事していた仕事につけないこと
仕事を3日以上続けて休んでいる
給与等の支払いがない
傷病手当金の支給期間は、休業4日目から通算で1年6ヶ月が限度とされています。
以前は、「支給が始まった日から最長1年6ヶ月」とされていたため、途中で出勤してもしなくても1年6ヶ月後に打ち切られていました。
しかし、2022年1月1日からは、途中で出勤した場合は1年6ヶ月にカウントされなくなり、通算1年6ヶ月支給を受けられるようになっています。
支給開始日が2020年7月1日よりも前の場合は、従来どおり最長1年6ヶ月なので注意してください。
妊娠中のつわりでも傷病手当を受けられる?
つわりの症状が重く、日常生活や仕事に支障をきたすほどであれば、傷病手当金の支給対象となる可能性があります。
実際に支給してもらうには医師の診断書と、申請書の「療養担当者記入用」への記入が必要です。次の「つわりで傷病手当を受けるための条件」で詳しく解説します。
つわりで傷病手当を受けるための条件
つわりによる休業が傷病手当金の支給対象になるための条件について詳しく説明します。
傷病手当の支給条件を満たしている
つわりにより傷病手当金を受けるためには、前述した支給条件を満たす必要があります。
条件に合致しているかわからず心配な場合、会社の総務部などに確認しておくといいでしょう。
医師による診断書がある
傷病手当金の申請には、医師の診断書が必須です。
つわりに関しても、仕事を休む必要があるほどの重症であることを医師が証明する必要があります。
本人がつわりでつらいと感じていても、自己判断であったり、医師が重症と判断しなければ申請できません。
「妊娠中につわりがあれば必ずもらえる」ものではないため注意しましょう。
健康保険の被扶養者でない
傷病手当金を受けるためには、自身が健康保険に加入している「被保険者」である必要があります。
妊娠中のママがパパの保険に加入している被扶養者の場合は受給対象外です。
国民健康保険に加入していない
傷病手当金は、社会保険(健康保険)に加入している人が対象です。
国民健康保険に加入している個人は、この制度の対象外となります。
出産手当金の受給期間と重複していない
出産手当金と傷病手当金を同時に受け取ることはできません。
出産手当金は、一般的に出産42日前から出産後56日の間、仕事を休んで出産する女性に支給されるものです。
出産手当金と傷病手当金の受給期間がかぶる場合、出産手当金が優先され、傷病手当金は支給されないので注意しましょう。
ただし、出産手当金の額が傷病手当金の額より小さい場合、申請すればその差額を受け取ることができます。
傷病手当の申請方法
次に、傷病手当金を申請する具体的な手順を解説します。
必要書類
傷病手当金を申請する際には、以下の書類が必要です。
- 医師による診断書
- 傷病手当支給申請書
つわりで傷病手当金を受ける場合、つわりがひどいことを証明するために医師に診断書を書いてもらう必要があります。
しかし、「つわりがひどい」ことの明確な基準はありません。診断書を書くかどうかは医師の判断にゆだねられているので、妊婦さん本人が「つらい」と感じても必ず書いてもらえるとは限りません。
診断書を書いてもらえない場合は、ほかの医療機関を受診することも検討しましょう。
傷病手当支給申請書は、協会けんぽのウェブサイトからダウンロードできます。手書き用と入力用があるので、PDFをダウンロードして、適宜印刷・記入しましょう。
協会けんぽのウェブサイトには記入例も記載してあるので参考にしてください。もし、自分で印刷できない、ダウンロードができないといった場合は、就業先である会社でもらえることもあります。出勤できない場合は郵送してもらうといいでしょう。
参考:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r124/
手順
傷病手当金の申請手順は以下のとおりです。
傷病手当金の申請の流れ
医師に診断書を書いてもらう
傷病手当支給申請書を入手し、記入する
医師に傷病手当支給申請書の必要箇所に記入してもらう
会社に提出する
審査を待つ
まず医師の診断を受け、診断書を書いてもらいます。
その後傷病手当支給申請書を入手・記入したうえで、医師に「療養担当者が記入する」という箇所に必要事項を記入してもらいましょう。
医師の記入が終わったら就業先の会社に提出し、「事業主が記入する」の部分に必要事項を記入してもらいます。
健康保険組合等への提出は会社がおこなうので、会社に提出したあとは審査を待ちましょう。
手続きにかかる期間
傷病手当金は、問題なければ申請から10日ほどで受理され、指定した口座に振り込まれます。
ただし、場合によっては数週間から数ヶ月かかることもあります。
申請した書類に不備があった場合は再提出しなければならず、その分振り込まれるまでに時間がかかります。
書類に心配がある場合は、総務担当者などに確認し、不備がないように準備しましょう。
妊娠中に利用できる制度はほかにもある!
妊娠中は、傷病手当金のほかにもさまざまな支援制度を利用できます。
ここでは、妊娠から出産までに利用できる可能性のある制度について解説します。
出産手当金
出産手当金は、出産に伴い仕事を休む必要がある女性に支給される給付金です。出産のために仕事を休み、その間、給与の支払いを受けなかった場合に支給されます。
出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内で、休業した期間を対象として支給されます。
産休の間も給与が支払われた場合は受給できませんが、給与が出産手当金を下回るときは、差額分を受給できます。
※出産日は出産の日以前の期間に含まれます。
※出産が予定日より遅れた場合、遅れた期間も含み出産手当金が支給されます。
出産育児一時金
出産をすると、1児につき一律50万円の出産育児一時金を受給できます。
従来の支給額は42万円でしたが、2023年4月1日から50万円に引き上げられました。
社会保険に加入していない場合は国民健康保険から支給されるので、正社員に限らず、パートやアルバイト、被扶養者も受給可能です。
受給対象者は、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産をした公的医療保険の被保険者および被扶養者です。
妊娠4ヶ月を過ぎていれば、早産や死産などで出産に至らなかった場合も支給対象となります。
通常、分娩をおこなった産院に直接支払われるので、出産後に分娩等費用との差額のみを産院に支払うことになります。逆に、分娩等費用が出産育児一時金を下回る場合は、申請すれば差額を受け取れます。
育児休業給付金
育児休業給付金は、育児休業を取得中の親に支給される給付金です。
1歳未満の子どもを育てる親は男女問わず「育児休暇」を取得することができ、雇用保険に加入していれば、育児休業給付金を受け取ることもできます。
支給額は、毎月支払われていた給与の平均から算出されます。
詳細な受給条件は厚生労働省のウェブサイトを確認したり、会社の総務部に確認したりして、事前に把握しておくことをおすすめします。
つわりでも傷病手当金を受給できることがある!まずは医師の診断を受けよう
傷病手当金は、社会保険に加入している人が、病気やけがで休業を余儀なくされ、給与が支払われない場合に支給される手当です。
つわりが重症であると医師が判断した場合は受給の対象となります。医師の診断書や、傷病手当申請書が必要なので、しっかり準備して申請しましょう。
そのほか、妊娠中は出産手当金や出産育児一時金などを受給できることがあります。出産・育児はお金がかかるもの。受給できるものについてはしっかり調べて受け取り、これからの生活に役立てられるといいですね。
- 傷病手当金は病気やけがで休業すると支給される
- つわりがひどい場合も傷病手当金を受けられることがある
- 受給するにはいくつかの条件を満たす必要がある
- 申請する際は必ず医師に診断書を書いてもらおう
- 出産手当金や出産育児一時金なども活用しよう
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