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妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

【医師監修】妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期の流産、ついつい心配になってしまいますよね。妊娠中は体だけでなく心もデリケートになるもの。

「自分の行動で流産してしまわないかな?」と不安になってしまう人も多いかもしれません。

この記事では、流産の原因や兆候、予防法を詳しく解説します。流産してしまったときの対応や、妊活を再開するタイミングについても紹介するので、妊娠初期の流産についての理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。

妊娠初期の流産、ついつい心配になってしまいますよね。妊娠中は体だけでなく心もデリケートになるもの。

「自分の行動で流産してしまわないかな?」と不安になってしまう人も多いかもしれません。

この記事では、流産の原因や兆候、予防法を詳しく解説します。流産してしまったときの対応や、妊活を再開するタイミングについても紹介するので、妊娠初期の流産についての理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。

妊娠初期に流産する原因は?

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期に流産する原因は一つではありません。

なかには防ぐことが難しい原因もあります。ここでは、妊娠初期の流産の原因についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

赤ちゃん自身の染色体異常

赤ちゃんの染色体異常は、最も多い流産の原因です。

染色体の数が正常でなかったり、染色体に重大な欠損があったりすると妊娠を維持することができず、流産となってしまいます。

妊娠初期の流産のほとんどがこの染色体異常によるものとされています。しかし、染色体異常による流産は防ぐことができず、妊婦さんの行動が影響しているわけではありません。

初期に流産してしまっても自分を責めないようにしてくださいね。

白井沙良子先生
白井沙良子先生
小児科医
「流産は自分のせい」「自分の何が悪かったんだろう」と悲嘆する妊婦さんは少なくありません。また理解のない周りの人から、心無い声をかけられて傷つく方も。
ご自分のためにも赤ちゃんのためにも「流産の最多の原因は、赤ちゃんの染色体異常であり、妊娠中にたとえどのような行動をとっていたとしても、産まれてくることが難しかったんだ」という、医学的に正しい認識を改めて持つことを心がけましょう。

高齢妊娠・出産

高齢妊娠・出産も、流産のリスクが高くなる原因の一つです。

これまでの研究では、35歳以上の妊婦さんは、35歳未満の妊婦に比べて流産率が高いことが明らかになっています。

また、流産率は妊婦さんの加齢とともに増加し、40歳以上になると約半数が流産することもわかっています。

妊婦さんが高齢になるほど赤ちゃんの染色体異常が起きやすいため、流産率が高くなるのです。

母親の健康状態

妊娠初期の流産は、胎児の染色体異常が原因であることが最も多いですが、妊婦さんの健康状態が流産に影響を与えることもあります。

たとえば、糖尿病や甲状腺疾患、肥満などによって流産のリスクが高まるといわれています。

流産のリスクを抑えるために、医師の指導のもと体重や食事の管理、薬などの定期的な治療をきちんと行うことが大切です。

白井沙良子先生
白井沙良子先生
小児科医
なぜ上記の疾患があると流産しやすいのかは、明確なメカニズムがわかっていない部分が多いです。
たとえば糖尿病では、母親の血糖値が安定していないことで、受精卵が安定して発育したり、胎児の体を形作ったりということができないと考えられます。
また、甲状腺ホルモンは妊娠を継続するためのプロゲステロンというホルモンと関係があります。
肥満の場合、子宮内膜が正常に機能しないことで、流産することが一部の研究で報告されています。

妊婦さんのストレスや疲労

妊婦さんのストレスや疲労も流産のリスクを高める原因になります。

ストレスが溜まるとホルモンバランスが乱れ、流産のリスクが高まるといわれているのです。

しかし、ストレスと流産の因果関係がはっきりと証明されているわけではありません

妊娠中は心身ともにリラックスすることが大切です。趣味を楽しんだり、パートナーとの時間を大切にしたりして、リラックスできる方法を探してみましょう。

妊娠初期は流産しやすい?

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊婦さんのうち約15%が流産しますが、そのうち約80%が妊娠12週未満に起きています。このことから、妊娠初期の3ヶ月間は流産が起こりやすい期間といえます。

この期間に流産が多く発生する理由は、染色体異常による流産が多いためです。

妊娠初期には、染色体の遺伝子情報をもとに、赤ちゃんの重要な器官が形成されます。しかし、染色体に異常があると正常に発育できず、結果として流産が起こってしまうのです。

妊娠初期は、流産のリスクが高い時期であることを理解しておきましょう。

妊娠初期の流産の兆候は?

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期の流産に適切に対応するには、その兆候をできるだけ早めに察知することが大切です。

流産には大きく分けて進行流産と稽留流産があります。それぞれの兆候や症状について詳しく見ていきましょう。

進行流産の場合

進行流産は、子宮の収縮が起こり、赤ちゃんが外に出始めてしまっている状態。つまり、たった今流産が進行している状態のことです。

おもな症状は、出血と下腹部の痛みです。出血量は人によりさまざまですが、少量から始まって徐々に出血量が増したり、鮮血や血の塊が見られたりすることもあります。

また、下腹部の痛みは生理痛のような鈍痛の場合もあれば激痛の場合もあり、背中や腰まで痛みが広がることもあります。

これらの症状が見られた場合は、早急に医師に相談してください。

稽留流産の場合

稽留流産は、赤ちゃんが子宮内で死亡しているにもかかわらず、妊婦さんがそのことに気がついていない状態です。

稽留流産の場合、自覚症状はありません。妊婦健診で心拍が確認できない場合や、胎児の成長が止まっていることがエコーで確認された場合に、初めて発覚します。

稽留流産は無症状であることが多いため、定期的な妊婦検診を受けることがとても大切です。

白井沙良子先生
白井沙良子先生
小児科医
進行流産と稽留流産のどちらが多いかということについては、正確に統計をとることができません。
稽留流産は気づかないうちに生じているパターンが多く、「生理が遅れて来ただけ」と考えるケースもあります。
また、稽留流産が気づかれずに放置されると、自然に進行流産に移行するため、進行流産と稽留流産を明確に区別することはできないのです。

妊娠初期に流産してしまったら?

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期に流産してしまった場合、適切な対応が必要になります。

ここでは進行流産と稽留流産、それぞれの対処法について詳しく解説します。

進行流産の場合

進行流産が疑われる場合、まずは医療機関を受診しましょう。医師が超音波検査や血液検査を行い、流産の進行状況を確認します。

進行流産の処置方法には、自然に赤ちゃんが外に出てくるのを待つ方法と、手術による処置を行う方法があります。

手術は「子宮内容除去術(D&C)」が一般的で、麻酔を使用して子宮内の組織を取り除きます。

流産後は、体を十分に回復させることが大切です。医師の指示に従い、ゆっくりと休みましょう。

また、心のケアも大切です。流産をしてしまったら、つらい気持ちや強い悲しみを感じるのは無理もないことです。

つらいときは、気持ちを共有できる人に相談すること、カウンセリングを受けることなどを検討してみましょう。

稽留流産の場合

稽留流産の診断が確定したら、医師による治療方法の提案をしっかり聞いて今後の治療を判断しましょう。

稽留流産の処置方法には、薬物療法と手術療法があります。薬物療法は、子宮収縮剤を使用して子宮内の組織を排出する方法です。薬を使用しますが、どちらかといえば自然排出を促すための治療方法といえます。

手術療法では、進行流産と同じく子宮内容除去術(D&C)が行われます

稽留流産の場合も、処置後は体の回復とともに、心のケアもとても大切です。パートナーや家族と話し合い、必要に応じてカウンセリングを受けてくださいね。

白井沙良子先生
白井沙良子先生
小児科医
流産や死産によって赤ちゃんを亡くされた方に行うケアは「グリーフケア」とも呼ばれます。こども家庭庁には、相談窓口一覧のページもあります。
お住まいの地域やニーズに適したサービスに出会えることをお祈りしています。

流産のリスクを下げるために妊娠中にできることは?

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期の流産は赤ちゃんの染色体異常がおもな原因で、予防が難しい場合がほとんどです。

しかし、妊婦さんの過ごし方次第で、妊娠中期以降の流産のリスクを下げることはできます。赤ちゃんが元気に成長できるよう、早いうちから次のことを心がけてみてくださいね。

バランスの取れた食事を心がける

バランスの取れた食事を意識しましょう。

特に、葉酸や鉄分、カルシウム、ビタミンDなど、妊娠中に必要な栄養素を十分に摂取することが大切です。

葉酸は、水頭症や学習障害の原因となる神経管閉鎖障害のリスクを減らす効果があるといわれています。緑黄色野菜や全粒穀物に多く含まれているので、積極的に摂取したいですね。食事に加えて、サプリメントも合わせて摂取することがとても大切です。

また、貧血を防いでくれる鉄分は赤身の肉や豆類に多く含まれています。意識して取り入れてみましょう。

葉酸を多く含む食べ物

  • ブロッコリー

  • 枝豆

  • ほうれん草

  • いちご

  • バナナ

  • アボカド

  • 卵黄

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鉄分を多く含む食べ物

  • 木綿豆腐

  • カツオ

  • 納豆

  • 春菊

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カルシウムを多く含む食べ物

  • 牛乳

  • ヨーグルト

  • 小松菜

  • ひじき

  • いわし

  • ちりめんじゃこ

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ビタミンDを多く含む食べ物

  • 紅鮭

  • まぐろ

  • さんま

  • きくらげ

  • しいたけ

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気分転換をする

気分転換をしてストレスを発散しましょう。

ストレスが溜まると血管が収縮されるため、赤ちゃんに送られる栄養や酸素量が減り、早産や発育不全の原因になります。

読書や音楽鑑賞、アート制作など、趣味を楽しむ時間を取り入れてみたり、パートナーとの時間を楽しんでみたりして、上手に気分転換をしてみましょう。

ストレスを軽減し、心と体の健康を保つことで流産のリスクを下げることができます。

過度な運動は避ける

過度に運動しすぎると、流産のリスクが高まる可能性があるため避けましょう。妊娠中は無理のない範囲で適度に運動することが大切です。

ウォーキングや軽いヨガ、ストレッチなど、体に負担のかからない運動を選ぶとよいですね。

無理をしない

妊娠中は無理をせず、体を休めることが大切です。

過労やストレスによって流産のリスクが高くなることがあるため、適度な休息を取りながら過ごしましょう。

仕事や家事の合間に短い休憩を取ったり、夜間に十分な睡眠を確保したりと、休めるタイミングで休む工夫をしてみてくださいね。

重いものを持たない

重いものを持つことで腹筋に力が入って子宮が圧迫され、子宮収縮が引き起こされる可能性があるといわれています。

これが直接的に流産につながるという科学的根拠はないとされていますが、念のため、妊娠中期以降は、重い荷物を持ち上げないようにするのがベターです。

買い物を分けて行う、エレベーターやカートを利用するなど、体に負担をかけない工夫を心がけてみましょう。

タバコを吸わない

タバコを吸うと流産のリスクが高まるといわれています。厚生労働省によると、喫煙をしていた場合の自然流産の発生率は約2倍になるそうです。

ニコチンには血管を収縮させる働きが、一酸化炭素にはヘモグロビンの量を減少させる働きがあり、赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼします。低出生体重や早産も起こりやすくなるので、タバコは必ず控えましょう。

禁煙が難しい場合は、医療機関での禁煙治療や、禁煙補助剤の使用、家族や友人のサポートを受けるなどの方法を試しましょう。禁煙をして、赤ちゃんの健康を守ってあげてくださいね。

出典

厚生労働省,「−たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう−」,2024/8/7,https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf

お酒を飲まない

妊娠中にアルコールを摂取すると、胎盤を通じて赤ちゃんにアルコールが届いてしまいます

アルコールが赤ちゃんに届いてしまうと、赤ちゃんの発育や器官形成がうまくいかず、流産につながってしまうことがあるのです。

また、赤ちゃんの発育が遅れてしまう「胎児性アルコール症候群(FAS)」が引き起こされるおそれもあります。

妊娠中はアルコールを避け、ノンアルコール飲料やフルーツジュース、水などを選ぶようにしましょう。

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避妊をする

避妊をせずに性行為をすると、細菌に感染してしまうことがあります。

細菌感染により腟から子宮内に炎症が広がると、卵膜が弱くなって破水が起こりやすくなり、流産につながってしまうのです。

妊娠中は免疫力が下がるため、妊娠していない場合に比べ感染症にかかりやすい状態です。

感染症を避けるため、妊娠中に性行為をするときは必ずコンドームを着用しましょう。

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熱いお風呂に長時間入らない

妊娠中は全身の血液量が増えるため、熱いお風呂に長時間入ると、のぼせて立ちくらみなどを起こしやすくなります。

立ちくらみにより転倒してしまうと、お腹に衝撃が生じ、流産してしまう原因になりかねません

ぬるめのお湯でリラックスできる程度に入浴を楽しみましょう。

妊婦健診を定期的に受ける

定期的に妊婦健診を受けることも、流産のリスクを下げるために大切です。

妊婦健診で超音波検査や血液検査、尿検査などを定期的に行うことで、赤ちゃんの発育状態や妊婦さんの健康状態を確認できます

流産の危険性を事前に把握することができ、医師の指導のもとで適切な対策を取ることもできるので、定期的に健診を受けるようにしてくださいね。

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妊娠初期の流産に関するよくある質問

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

ここでは、妊娠初期の流産に関するよくある質問について解説します。

流産した後、いつから妊活できる?

  • 生理が2〜3回ほど来てからがよいでしょう

    流産後に妊活を再開するタイミングは、一般的に生理が2〜3回ほど来てからがよいとされています。この頃になると、体が正常な状態に戻り、子宮内膜も十分に再生されていることがほとんどです。ただし、体が元に戻るスピードは人それぞれです。妊活を再開してもよいのかわからないときは、医師に相談しましょう。適切なタイミングで妊活を始めて、次の妊娠を不安なく過ごせるようにしたいですね。

早期流産とは?

  • 妊娠12週までの流産を指す医学用語です

    早期流産とは、妊娠12週までの流産のことです。これに対し、妊娠12週以降22週未満の流産は「後期流産」と呼ばれます。流産のほとんどが早期流産といわれているため、「妊娠12週の壁」という言葉が使われることもあるようです。

初期の流産は染色体異常がほとんど。自分を責めずに過ごして

妊娠初期の流産はなぜ起こる?予防法や流産したときの対処法も解説

妊娠初期の流産は、赤ちゃんの染色体異常が原因であることがほとんどです。

「自分の行動に原因があったのでは…?」と考えてしまう人もいますが、自分を責める必要はありません。流産をしてしまったら、まずは体をしっかりと休めてくださいね。

定期的に妊婦健診を受けること、バランスの取れた食事や適度な運動をすること、ストレスを解消することなど、まずは日常生活で実践できることを行って流産のリスクを低減させていきましょう。

  • 妊娠初期は流産しやすい時期で、原因は赤ちゃんの染色体異常がほとんど
  • 稽留流産は自覚症状がないことも。定期検診をしっかり行って
  • 食生活やストレス管理など、生活習慣によって流産のリスクを低減させよう
  • 流産後の妊活は2〜3ヶ月様子を見てから再開して
  • 過度に自分を責めないで!気持ちを楽に日常を過ごしましょう

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