
濡れにくい人は妊娠しにくいの?不妊になりやすい人の特徴は?
性交時に腟が濡れにくいと「妊娠しにくいのでは?」と不安に感じる人もいるでしょう。実際、腟の濡れにくさと妊娠しにくさに関連性はあるのでしょうか?
この記事では、腟の濡れにくさと妊娠との関係や、濡れにくい・妊娠しにくい場合に考えられる原因について詳しく解説します。
妊娠を望んでいる人や濡れにくさに不安を感じている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
性交時に腟が濡れにくいと「妊娠しにくいのでは?」と不安に感じる人もいるでしょう。実際、腟の濡れにくさと妊娠しにくさに関連性はあるのでしょうか?
この記事では、腟の濡れにくさと妊娠との関係や、濡れにくい・妊娠しにくい場合に考えられる原因について詳しく解説します。
妊娠を望んでいる人や濡れにくさに不安を感じている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
濡れにくさと妊娠しにくさに関係はある?

「腟が濡れにくいと妊娠しにくい」という医学的なエビデンスはありません。性交時に濡れるかどうかは妊娠の条件ではないので「濡れやすいから妊娠しやすい」「濡れにくいと妊娠しにくい」と言うことはできないのです。
一般的に「濡れやすいと妊娠しやすい」と考えられがちですが、それは排卵の前後数日間は最も妊娠しやすく、腟内も潤うことから「濡れていると妊娠しやすい」とイメージする人が多いからかもしれません。
「濡れやすいと妊娠しにくい」ということはある?
濡れやすい人の妊娠率が低いという医学的な根拠はありません
「濡れやすいから妊娠しやすい」とはいえませんが「濡れやすいから妊娠しにくい」と言うこともできません。濡れやすさと妊娠のしやすさに相関性はなく、濡れ具合が妊娠の成立を左右するものではないのです。
そもそも「濡れる」とは?なぜ起こるの?

性交時に腟が濡れるのは、性的な刺激によって腟内に血漿(けっしょう)や粘液が分泌されるためです。
キスやスキンシップなどをすると、幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が分泌されます。その状態で性的な刺激を受けると、下腹部に血液が集まり、腟の壁から血漿がにじみ出てきます。そこに、腟の左右にある「バルトリン腺」や「スキーン腺」などから分泌される粘液が混ざり、腟内が濡れた状態になるのです。
腟内が濡れると腟の粘膜が保護され、性交時の摩擦が軽減されます。挿入時の痛みを感じにくくなり、性行為をスムーズにできるでしょう。
濡れ方で妊娠しやすいタイミングはわかる?
ある程度把握できますが、基礎体温やおりものの状態も観察したほうがよいでしょう
排卵前は、女性ホルモンの影響で腟が濡れやすくなります。そのため、濡れやすさは妊娠しやすい時期を把握する目安の一つといえるでしょう。しかし、濡れ方だけで排卵日を正確に把握するのは難しいので、基礎体温やおりものの変化などもあわせてチェックすることが大切です。また、排卵日予測検査薬を使うと、妊娠しやすいタイミングをより正確に把握できるでしょう。
濡れにくい原因と対処法は?

濡れにくさと妊娠のしにくさに直接的な関連はありませんが、なぜ濡れにくいのか気になる人もいるでしょう。
ここでは、腟が濡れにくい場合に考えられる主な原因について解説します。
ストレス
ストレスがたまっていると性的な感情や興奮が抑制され、濡れにくくなることがあります。
また、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」が分泌される影響で、腟内のうるおいが不足しやすくなるともいわれています。
趣味に没頭したり運動したりしてストレスを発散し、気分をリフレッシュしましょう。
適度に気分転換をすることで心身をリラックスでき、スムーズな性行為が可能になるかもしれません。
ホルモンの影響
生理周期にあわせてホルモンバランスが変化することも、濡れにくさに関係しています。
排卵日を過ぎると「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が減少する影響で、腟が濡れにくくなります。そのため、排卵後から生理前にかけては濡れにくいと感じることがあるでしょう。
濡れにくい場合は、性交時に潤滑ゼリーを使うことで摩擦による痛みを軽減できることがあります。また、日頃からデリケートゾーン専用の保湿ジェルを使ってケアをすることも大切です。
腟がゆるい
腟がゆるいと性交時の刺激を感じにくいため、濡れにくくなることがあります。
腟がゆるくなる主な原因には、骨盤の底の部分にある「骨盤底筋」の筋力が弱くなっていることが挙げられます。
骨盤底筋を引き締めるには「骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)」を行うとよいでしょう。やり方は簡単で、尿道・肛門・腟をキュッと締めて数秒間キープしたあと、ゆっくりと力を抜くだけです。
1日数回、毎日継続して行うことで効果が得られるため、地道にコツコツ続けていきましょう。
腟周辺の血行がよくない
運動不足や体の冷えなどにより血行が悪くなると、腟に十分な血液が行き届かず、うるおいが不足しやすくなります。
適度に運動をしたり、体を温めたりして血流を促進しましょう。特に、適度な運動習慣をつけることは、妊娠に向けた健康的な体づくりにも役立ちます。軽いストレッチやウォーキングなど、手軽にできることからはじめてみましょう。
水分不足
水分不足も、濡れにくさの原因の一つです。
腟内の粘液のもととなる血液は、水分を主成分としています。腟内のうるおいを保つため、こまめな水分補給を心がけましょう。
一般的には、1日1.2Lの水分補給が推奨されています。特に入浴中や寝ている間は水分が不足しやすいので、入浴後と起床時は水分補給を積極的に行いましょう。
妊娠しにくいときに考えられる原因とは?

濡れにくさと妊娠のしにくさに関連性はありません。それでは、妊娠を望んでいるにもかかわらず、なかなか授からない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
ここでは、妊娠しにくい場合に考えられる原因について詳しく解説します。
排卵が起こっていない・起こりにくい
排卵が正常に起こらないと、精子と卵子が受精しにくくなるため、妊娠もしにくくなります。
排卵がない原因には、ホルモンバランスの乱れや「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」、過度なストレス、急激な体重変化などが挙げられます。
妊娠を希望する場合は、ホルモンバランスを整えるための治療や、排卵誘発剤を使用した治療などを行います。
クラミジアや淋菌に感染したことがある
過去にクラミジアや淋菌などの性感染症に感染したことがあると、妊娠しにくくなる可能性があります。炎症が起きて卵管が詰まることで、受精がさまたげられるためです。
不妊症のリスクを高める原因にもなるので、過去に感染したことがある人は医師に相談し、適切な処置を受けましょう。
子宮の病気がある
子宮に異常があると受精卵が子宮内膜に着床しにくくなり、妊娠が成立しづらくなります。妊娠をさまたげる可能性のある子宮の病気には、主に以下のものがあります。
不妊の原因となる子宮の病気
子宮筋腫
子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍で、不妊や流産・早産の原因にもなります。若い人から閉経後の人まで、幅広い世代でみられる疾患です。
子宮内膜症
子宮内膜の組織が子宮以外の場所に増殖する疾患で、性交痛や排便時の痛み、慢性的な下腹部の痛みなどが起こります。妊娠を望む場合は、早めに体外受精や顕微授精を行うケースが多いです。
子宮腺筋症
子宮内膜に似た組織が「子宮平滑筋」という筋肉組織に入り込み、生理痛や過多月経を引き起こす病気です。40代の経産婦に多いといわれており、妊娠を希望する場合は手術が行われることもあります。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜にできる良性の腫瘍で、過多月経・過長月経などを引き起こします。着床をさまたげ、不妊の原因になることもあります。
気になる症状がある場合は、早めに婦人科で検査を受けましょう。
35歳以上である
女性が35歳を超えると、年齢とともに自然妊娠する確率が低下します。加齢によって卵子の機能が変化したり、子宮筋腫・子宮内膜症などの病気にかかりやすくなったりすることが主な原因と考えられています。
流産や合併症のリスクも高くなるため、妊娠を希望する場合は早めに医師に相談することが大切です。
また、男性の加齢も妊娠しにくい原因の一つといわれているので、男性が高齢の場合も早めに相談しましょう。
妊娠しにくいと思ったら

妊娠を希望しているにもかかわらず、なかなか授からない場合は、早めに医師に相談することが大切です。
医学的には、妊娠を希望してから1年間授からない場合を不妊症と定義していますが、1年経っていなくても「妊娠しにくいな」と思った時点で検査を受けることをおすすめします。
子どもがほしいと思った時点で検査を受けるのもよいでしょう。
検査結果に応じて適切な対応・治療を早期にはじめれば、妊娠を早く実現できる可能性もあります。パートナーや医師と相談しながら、妊娠に向けて取り組んでいきましょう。
濡れにくさと妊娠しにくさは関係ない!妊娠しにくいと感じたら早めに相談を

腟の濡れにくさと妊娠しにくさに関連性はありません。「濡れやすいから妊娠しやすい」「濡れにくいから妊娠しにくい」と一概に言うことはできないので、濡れにくくても過度に心配しないようにしましょう。
医学的には、排卵や子宮の問題、加齢などが妊娠しにくい主な原因と考えられています。妊娠しにくいと感じたら早めに医師に相談し、必要な検査や治療を受けましょう。
- 腟の濡れにくさは妊娠のしにくさに関係しない
- 腟が濡れると、挿入による摩擦が軽減され性行為がスムーズにできる
- 濡れにくい原因にはストレスや腟のゆるみ、水分不足などが関係している
- 妊娠しづらい主な原因には排卵の問題や子宮の病気、加齢などがある
- 妊娠しにくいと感じたら不妊の検査を受け、適切な治療・対応を進めよう
出典
- 日本家族計画協会,「性交痛の原因と解消法」,2025/4/28閲覧
- 環境省,「『健康のため水を飲もう』推進運動」,2025/4/28閲覧
- 日本生殖医学会,「Q5. どんな人が不妊症になりやすいのですか?」,2025/4/28閲覧
- 日本産科婦人科学会,「不妊症」,2025/4/28閲覧
- 日本産婦人科医会,「5.不妊の原因と検査」,2025/4/28閲覧
- 日本婦人科腫瘍学会,「子宮筋腫」,2025/4/28閲覧
- 日本産科婦人科学会,「子宮内膜症」,2025/4/28閲覧
- 日本内分泌学会,「子宮腺筋症」,2025/4/28閲覧
- 日本産婦人科医会,「(1)Polyps:子宮頸管ポリープ,子宮内膜ポリープ」,2025/4/28閲覧
- 日本生殖医学会,「Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?」,2025/4/28閲覧
- 日本生殖医学会,「Q22.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか?」,2025/4/28閲覧
- 日本生殖医学会,「Q25.男性の加齢は不妊症・流産にどんな影響を与えるのですか?」,2025/4/28閲覧
- 日本生殖医学会,「Q6.どのくらい妊娠しないと不妊症の検査を受けたらいいですか?また、どこに行けば不妊症の説明が受けられますか?」,2025/4/28閲覧