【医師監修】とにかく眠い!妊婦を悩ませる眠気の原因と対処法とは?
妊娠中はなぜ眠くなるの?
妊娠中、しっかり睡眠をとっていても日中に眠さやだるさを感じることがあります。これは、妊娠中に多量に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンの影響です。
妊娠中に分泌されるプロゲステロンは、子宮内膜や子宮筋の働きを調節したり乳腺を発達させるなど、妊娠の成立や継続のために働きます。そして、妊娠すると血液中のプロゲステロン濃度は出産まで増え続けます。
プロゲステロンは体温を上昇させる、イライラ・憂うつな気分にさせるほかに眠気を起こさせる作用もあります。そのため、妊娠中の体のだるさや眠気の正体は、主にホルモンの働きによるものといわれています。
排卵後の眠気は妊娠のサイン?
眠気を引き起こすプロゲステロンは、妊娠中だけに分泌されるわけではありません。通常の月経周期においても、排卵後にはプロゲステロンが増加し、月経期には減少していきます。そのため、排卵後の高温期(月経前)には、妊娠していなくても強い眠気に悩まされる人もいます。
月経前にいらだちや不安、頭痛などが起こる身体と精神の症状として知られる「月経前症候群」は、排卵から月経までの間に多く分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの影響によるものだと考えられています。眠気の強さや睡眠の浅さもその症状の1つです。
したがって、眠気があれば妊娠のサインとは限りません。妊娠していなくても、眠気を感じることがあるのです。しかし、次のような症状が見られる場合には、妊娠している可能性があります。
- 月経が遅れる
- 熱っぽさが続く
- 胸や胃がムカムカする、つわりのような感じがある
- 乳房が張る
- おりものの量が増える、あるいは赤茶色のおりものがある
これらの症状がある場合は、妊娠検査薬を使って妊娠の可能性を確かめてみるとよいでしょう。
妊娠超初期(妊娠0~3週)
妊娠0~3週を「妊娠超初期」と呼ぶことがあります。これは医学的な呼び方ではありませんが、妊娠初期の中でも特殊なこの時期を区別する呼び方として、使われるようになりました。
妊娠週数を数える場合、最終月経の始まった日が、妊娠0週0日にあたります。排卵がおこって、卵管内で精子と卵子が出会い、受精するのが妊娠2週目です。
(ただし、月経開始から排卵までの時期は個々で異なるため、医学的には排卵した日を2週0日と定めます)
受精卵が子宮内膜に着床するのに7〜10日ほどかかり、妊娠が成立するのが妊娠3週頃です。着床した受精卵は細胞分裂を繰り返し、脳や脊髄などの神経系や、目、鼻などの感覚器など、体の大事な部分を作る準備を進めていきます。
妊娠3週頃の大きさは約1mmで、超音波検査でもまだ確認することはできません。しかし、妊娠の成立によって妊娠超初期から妊婦の身体は変化しはじめ、眠気を感じたり、つわりの症状がでたりすることもあります。
妊娠超初期に気をつけること
妊娠超初期には、おなかの中の赤ちゃん(妊娠8週未満は「胎芽」と呼ばれます。ただし、妊娠10週未満を「胎芽」とする説もあります)はどんどん成長していきます。この時期に、普段は感じないような眠気を自覚する妊婦もいますが、ほとんどの妊婦は、まだ妊娠の自覚はありません。しかし、妊娠を希望している場合や妊娠の可能性がある場合には、以下のことに気をつけて過ごしましょう。
- 栄養バランスのよい食事をする
- 適度に運動する
- 十分な睡眠をとる
- 飲酒や喫煙を控える
- 薬を服用する場合は医師や薬剤師に相談する
- レントゲン撮影の必要があるときには医師に相談する
妊娠超初期の胎芽は、分裂を繰り返して成長します。この時期に、アルコールやタバコ、薬や放射線といった、胎芽の順調な成長を妨げる可能性のあるものにさらされると、流産や早産、先天異常、低出生体重児などの影響がでることがあります。
小さな胎芽にとって、妊娠超初期は体の基礎を作るとても大切な時期。妊婦はそれを応援する生活を送れるとよいですね。
妊娠初期(妊娠4~15週)
妊娠初期になると、月経が遅れたり、そのほかさまざまな体の変化が現れたりするため、多くの人が妊娠に気づき始めます。この時期の妊婦の症状には、次のようなものがあります。
- おりものの量が増える
- 微熱が続く
- 異常な眠気やだるさを感じる
- においに敏感になる
- 胃がムカムカする
- 吐き気がする
- 食欲が落ちる
- 胸が張る
- 乳首がチクチク痛む
- トイレが近くなる
- 便秘しやすくなる
- 頭痛がする
妊娠するとプロゲステロンの分泌が増え、だるさや眠気、体が重いといった、風邪のひきはじめに似た症状が現れることがあります。妊娠すると貧血になりやすくなりますので、普段から貧血気味の人は意識して鉄分を多く摂るようにしたいものです。
また、多くの人が経験する「つわり」には、「吐きづわり」や「においづわり」、「食べづわり」のほか、とにかく眠気が強くて仕方がないという「眠りつわり」も。つわりの症状は人によってさまざまです。誰かの様子と比べて「大げさだ」、「サボっている」などと判断しないようにしたいですね。
つわりについて、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
妊娠中期(妊娠16~27週)
妊娠中期になると胎盤が完成して初期に比べると流産のリスクが減り、俗にいう「安定期」に入ります。赤ちゃんの胎動を感じられるようになり、おなかに赤ちゃんがいるという実感がわいてくるのもこの時期です。
眠りつわりを含むつわりの症状が落ち着き、睡眠のバランスが取りやすくなりますので、この時期に出産準備を少しずつ進めるのがよいでしょう。
妊娠後期(妊娠28~39週)
妊娠後期はおなかが大きくなり、眠ることが難しくなる時期です。
まず、子宮が大きくなることで膀胱が圧迫されるため、夜中に何度も尿意で起きることも。また、大きくなった赤ちゃんに圧迫されておなかが苦しくなったり、夜中にこむら返りしたりするなど、夜の眠りが妨げられるようになるかもしれません。
妊娠後期、特に臨月の眠気は、これらの出来事によって夜眠れなかった分、日中に眠くなることが原因となる場合があります。
足のつりについて、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
出産が近づいてくることで、不安で眠れないというママもいます。不安や心配ごとがある場合には、家族や医師、病院スタッフに相談し、独りで抱え込まないことが大切です。
生理前と妊娠の眠気の違いは?
生理前に眠気に悩まされる「月経前症候群」と妊娠初期(妊娠超初期を含む)にかけての症状には、よく似ているところがあります。眠気もそのひとつですが、そのほかにも似た症状として、次のようなものがあげられます。
- イライラする
- 不安になる
- 胸が張る
- 吐き気がする
- 食欲が変化する
- だるさを感じる
これらはホルモンの濃度変化に、身体が敏感に反応することが原因で起こります。眠気についてもそのほかの症状についても、月経前症候群のものと妊娠初期のものとの違いを自己判断で区別することは難しいものです。
妊娠の可能性が考えられる場合には、自分で判断せず、妊娠検査薬で確認したり、病院で医師の診察を受けたりするようにしてくださいね。
ひどい眠気のときは薬を飲んでもいい?
先にお伝えしたように、妊娠初期(妊娠超初期を含む)は、胎芽・胎児(妊娠8週以降は胎児と呼ばれます)の器官が作られていく大切な時期です。
微熱やだるさなどの風邪に似た症状があるときには、生理痛の薬や感冒(風邪)薬などを飲んで症状を抑えたいと思うことがありますよね。しかし、もしも、普段とは違って眠気がひどい場合には、妊娠の可能性も考えてみてください。
薬の中には、妊娠中に服用すると胎児に影響するものがあります。妊娠の可能性がある場合、自己判断で薬を飲むことはせず、医師に相談しましょう。薬の服用だけでなく、タバコやアルコール、放射線なども胎児に影響を与えることがあります。妊娠したかも?と思ったら、普段の生活に気をつけましょう。
眠いときはできるだけ眠りましょう
仕事をしているママならお昼休みや休憩時間などに、子育て中のママなら子どもがお昼寝をしている間などに、30分以内を目安にした短時間の仮眠をとるようにしましょう。長時間眠ってしまうと夜の睡眠に影響する場合があります。
妊娠中の身体のつらさは周りの人にはわかりにくいので、家族や職場の人たちに自分の体調をきちんと伝えておくとよいでしょう。
眠ってはいけないときの対処法
仕事中など、どうしても眠ってはいけないときの眠気対策に、次のことを試してみましょう。
- 飲み物を飲む
白湯や温かい麦茶など、お好みの飲み物で気分を変えてみましょう。カフェインの入った飲み物を飲む場合、コーヒーは1日1~2杯、緑茶は1日3~4杯程度にしておきましょう。
こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
- 体を動かす
外の空気を吸ったり、ストレッチをすることで眠気が覚めることがあります。
夜眠れないときの対処法は?
夜にしっかりと眠れるように次のような工夫をしてみましょう。
- 寝る前にパソコンやスマホを見ない
パソコンやスマホの強い光を目にすると、メラトニンという睡眠に誘うホルモンの分泌が抑えられ、なかなか寝つけない原因になります。寝る数時間前からは、パソコンやスマホを控えましょう。
- 日中はしっかりと体を動かす
散歩や家事などでしっかり体を動かしておくと、眠りやすくなります。ただし、無理をしすぎないよう、運動は医師の指示に従って行いましょう。
- 横向きに寝る
仰向けに寝ると、おなかにある太い血管が子宮に圧迫されて血行が悪くなります。横向きになってクッションを抱えるなど、楽な姿勢を見つけるとよいでしょう。
妊娠中の眠気とうまく付き合った生活を
妊娠中の眠気は、「ゆっくり休んでね」という赤ちゃんからのサインかもしれません。無理をしすぎず、周囲の協力を得ながら眠気とつき合っていけるとよいですね。
- 妊娠中に眠くなるのはホルモンの影響である
- 眠気の度合いは個人差や妊娠期ごとで異なる
- 月経前症候群と妊娠初期の眠気の違いは判断が難しいので医師に相談も
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写真提供:ゲッティイメージズ
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