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【医師監修】帝王切開のリスクは?

【医師監修】帝王切開のリスクは?

帝王切開はママとおなかの赤ちゃんを守るために選択される方法で、医師が必要と判断したときに行います。少なからずリスクはありますが、過度におそれる必要はありません。知っておくことで心構えができることもあります。今回は帝王切開のリスクについてお伝えします。
帝王切開はママとおなかの赤ちゃんを守るために選択される方法で、医師が必要と判断したときに行います。少なからずリスクはありますが、過度におそれる必要はありません。知っておくことで心構えができることもあります。今回は帝王切開のリスクについてお伝えします。

帝王切開の条件・割合・メリットは?

帝王切開はどんなときに行うの?

帝王切開は、経腟分娩での出産がママや赤ちゃんに危険があると考えられるケースで行います。また、ママが帝王切開手術に持ちこたえられる状態のもと行うことが条件となっています。

あらかじめ行う日を決めて行う「予定帝王切開」と、ママと赤ちゃんの状態の変化により緊急で行う「緊急帝王切開」があります。

予定帝王切開については以下の記事も参考にしてください。

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緊急帝王切開については以下の記事も参考にしてください。

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前回の出産時に帝王切開をしたケースや前置胎盤など、ママ側の原因で帝王切開を行うこともあれば、逆子(骨盤位)などの胎位異常や、巨大児など赤ちゃん側の原因で帝王切開を行うことも。適応となる理由はさまざまです。

帝王切開を行う理由については以下の記事も参考にしてみてください。

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ローマ皇帝のジュリアス・シーザーが、この手術によって生まれたというのが名前の由来。

【産婦人科医ママに聞く】Q. どんな場合に帝王切開になるの?

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前置胎盤については以下の記事も参考にしてください。

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胎盤が子宮底でなく子宮口付近に認められます。出血に注意。

帝王切開の割合は?

現在、日本で帝王切開を行う割合は年々増加傾向で、2017年(平成29年)の帝王切開率は25.8%となっています(※1)。約4人に1人のママが何らかの理由で帝王切開を行っています。

※1出典:「平成 29 年(2017) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況

(厚生労働省)(2020年11月27日閲覧)

以前は経腟分娩だった逆子(骨盤位)の出産や、前回帝王切開を行ったママに対しても、現在は安全性を重視していることからほとんど予定帝王切開での出産となっています。

また妊娠の高年齢化など、ライフスタイルの変化も帝王切開の増加に影響していると考えられています。

高年齢での妊娠、出産は以下の記事も参考にしてください。

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妊娠・出産は変化の連続です。特に、いわゆる「高齢妊娠」とされるおおむね35歳以上の妊娠の場合、年齢的な変化も加わり、不安や悩みを抱えられている人も多いことでしょう。出産方法の選択も悩みの1つですね。高齢妊娠の場合の出産方法について詳しく見てみましょう。

帝王切開のメリット

帝王切開のメリットは何より経腟分娩に耐えがたいママと赤ちゃんを守れることにあります。たとえば逆子(骨盤位)の赤ちゃんでは、産道をなかなか通過できなかったり、臍帯(へその緒)が先に出てしまったりして赤ちゃんに危険がおよぶ可能性がありますが、帝王切開により赤ちゃんをスムーズに出産させることができます。

また、前回の出産で帝王切開や子宮の手術を行ったママは、次に経腟分娩を行うことで少なからず子宮破裂の可能性があります。しかし帝王切開によりこれを避けることができます。

予定帝王切開では陣痛を待たずに出産の日にちを決定します。そのためあらかじめ

出産、入院、退院のスケジュールがわかります。状態により予定が前後することもありますが、家族の手伝いなどの見通しが立てやすいこともメリットの一つでしょう。

帝王切開のリスクは?

出血量が増える

通常、帝王切開では子宮を切開するため経腟分娩より出血量が多くなります。

出血が止まりにくいケースでは輸血が必要になることがあります。

血栓ができるリスク(深部静脈血栓症)

出産が近くなるとママの体には血液を固まりやすくする成分が増えます。また、子宮が大きくなりおなかの血管を圧迫します。そのため血流が悪くなり、下半身の静脈に血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。これを「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」といいます。

さらに帝王切開で骨盤内の血管が傷ついたり、手術後の痛みからベッドで寝たままになったりすることによっても血栓ができるリスクが高まります。

傷の痛みもあるかもしれませんが、手術後翌日までにベッドから起きて歩く練習をします。手術後はじめて起き上がるときには、助産師や看護師などの付き添いがあります。

血栓が肺の血管をふさぐリスク(肺血栓塞栓症)

脚の静脈にできた血栓が血管からはがれて、血流に乗り肺の血管に運ばれると肺の血管が詰まってしまう可能性があります。これを、「肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)」といい、肺塞栓を起こすと息が苦しくなったり、胸の痛みが生じたり、ときに命に関わる状態になることも。

そのため、まずは上記でお伝えした深部静脈血栓症にならないよう、帝王切開の手術中から十分に点滴で水分を補い、弾性ストッキングをはいたり、自動加圧式の機械で脚のマッサージをします。

膀胱や腸管の損傷

下腹部の手術の経験があるケースでは、子宮やその周囲の臓器である膀胱(ぼうこう)や腸管の癒着(ゆちゃく)が生じます。癒着とは手術後の炎症によりほかの臓器同士がくっついてしまうことをいいます。帝王切開で子宮を扱う際に癒着した臓器を傷つけてしまう可能性があるため、慎重に行われます。

癒着胎盤

帝王切開で子宮を切開したあとに瘢痕(はんこん/手術の痕)ができることがあります。

次の妊娠で、瘢痕部近くに受精卵が着床した場合、胎盤が瘢痕部に入り込んでしまい子宮から自然にはがれなくなることがあります。

帝王切開後の異所性妊娠

帝王切開後の妊娠では前回切開した傷の部分に妊娠してしまうこと(異所性妊娠)があります。

すべての異所性妊娠の中では1%未満ととてもまれなケースですが、妊娠を続けることは難しい状態です。

帝王切開後、妊娠した可能性のあるときは早めに婦人科、産婦人科を受診しましょう。

麻酔による合併症

帝王切開の麻酔による影響でまれに頭痛や低血圧、吐き気などを生じることがあります。帝王切開の麻酔については以下の記事も参考にしてください。

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帝王切開をしたら次の出産も帝王切開?

1人目を帝王切開で出産した場合、2人目も帝王切開で出産する可能性が高くなります。なぜなら帝王切開では子宮を切って縫っているため、その後の経腟分娩で陣痛が起きると子宮破裂の可能性があるためです。

子宮破裂の可能性は0.2〜0.7%とはいえ予測することが難しく、いったん破裂となるとママと赤ちゃんの生命に関わります。そのため現在、帝王切開後の出産は最初から帝王切開を選ぶことがほとんどです。

帝王切開後の妊娠、出産については以下の記事も参考にしてみてください。

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リスクと聞くと怖く感じてしまうかもしれません。しかし、赤ちゃんとママの安全を守るために、メリットがリスクを上回る場合に行われるのが帝王切開です。

過度に心配しすぎる必要はありませんが、ある程度リスクについて知っておくことで、行われるケアへの理解が深まり、手術に向き合う気持ちが高まる可能性があります。

不安なことやわからないことは主治医や助産師に相談してみましょう。

参考:

・公益社団法人 日本産科婦人科学会・公益社団法人 日本産婦人科医会(編集・監修)

『産婦人科診療ガイドライン産科編2020』2020年

・竹内正人、細田恭子、横手直美(編著)、『ママのための帝王切開の本

産前・産後のすべてがわかる安心ガイド』、中央法規出版株式会社、2013年

・『PERINATAL CARE(ペリネイタルケア )』、メディカ出版、2018年新春増刊

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