【管理栄養士監修】下痢のときの赤ちゃんの離乳食は?おすすめレシピも動画で紹介
赤ちゃんが下痢になったらどうすればいいの?
オムツを変えるとき、ゆるい便が出ていたら下痢をしているのかもと不安になることがあるかもしれません。まずは慌てずに赤ちゃんの症状・様子を確認しましょう。
もともと赤ちゃんは月齢が低いほど、便がゆるめで回数も多いのが通常の状態であることが多いです。
離乳食で初めての食品を食べたときなども、一時的に便がゆるくなることがあります。
下痢の回数がいつもの便より1日に1〜2回多い程度で、機嫌がそれほど悪くなく食欲があるようなら、あまり心配はありません。
しかし、機嫌が悪いとき、食欲がないときや、下痢をする回数が増えてきたとき、下痢のほかに発熱や嘔吐、腹痛、血便、白っぽい便がみられるとき、水分を与えようとしても受け付けず脱水症の兆候があるとき、唇や爪が紫色になっているときなどは受診する必要があります。
下痢のときの受診の目安について、詳しくはこちらの記事から確認してください。
下痢のときの離乳食はどうしたらよい?
赤ちゃんが下痢になったとき、離乳食は下痢の症状の程度によって与えられるかどうかが変わってきます。受診をして医師の指示がある場合はそれに従いましょう。
下痢の症状が重い場合
受診をして医師の指示に従いましょう。赤ちゃんの下痢がひどい場合は離乳食を中断し、母乳や育児用ミルクのみで様子を見ることもあります。
育児用ミルクを与える場合は1回量を少なく、与える回数を多くします。量が多すぎると吸収しきれず、そのまま流れ出てしまうため1度にかかる消化管の負担を軽減し、少しずつ吸収できるようにするためです。
食欲があって機嫌がよいとき
下痢をしていても食欲があり機嫌がよければ、離乳食の形態を一つ前の段階に戻し、与える量もいつもより増やさないようにして様子を見ましょう。
母乳や育児用ミルクも医師に禁止されていなければ普段どおりに与えても大丈夫です。
下痢のときは水分補給も大切
下痢では大量の水分が便とともに排泄されてしまうため、脱水予防のため水分補給も大切です。
症状がはじまった初期で、ひどい下痢をしている場合は、受診をして水分補給についても医師の指示に従いましょう。
水分を与える場合は体温と同じくらいに温めた湯冷ましや赤ちゃん用の市販の麦茶を少量ずつ、こまめに与えるようにします。
体の外へ出て行ってしまった電解質を補うための、乳幼児用イオン飲料なども薬局などで販売されているので、医師に相談の上で、必要に応じて上手に活用するのもよいでしょう。
こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
下痢のときにおすすめのメニューは?
下痢のときは便とともに体の外に排泄されてしまう水分・塩分が補給できるものや、下痢の改善に役立つ「ペクチン」という水に溶ける性質の食物繊維が含まれるりんごやにんじんなどを使ったメニューがおすすめです。
離乳食:下痢のときにおすすめのメニュー
・おもゆやおかゆ
水分が多く、少量の塩を加えることで便と一緒に排泄されるミネラルの一種のナトリウムも補うことができます。
すりおろして加熱したにんじんなども合わせると、下痢の改善に役立つペクチンも一緒に食べることができます。
作り方はこちらの記事から月齢別に見られます。
・パンがゆ
耳を落とした食パンに育児用ミルクを加えて煮込むことで、水分とともに必要な栄養も補うことができます。脂質はとりすぎると下痢を助長してしまうので、パンは脂質の少ない食パンを使いましょう。
作り方はこちらの記事から月齢別に見られます。
・野菜スープ
芯を取り除いたキャベツ・玉ねぎ・にんじんを細かく刻み煮込みます。少量の塩を加えることで便と一緒に排泄されるミネラルの一種のナトリウムも補うことができます。
野菜はやわらかく煮込むことで消化がよくなり、下痢で排泄されてしまったカリウムというミネラルを補うことができます。
・加熱したりんごのすりおろし
前述のとおり、下痢の改善に役立つペクチンが含まれているため、おすすめです。
作り方はこちらの記事を参考にしてください。
下痢のときに与えないほうがよいものは?
下痢をしているときに離乳食で与えると下痢を誘発する原因になる食品・メニューがあるので注意しましょう。
冷たいもの
水分などを与えるときには温度に気を付けましょう。冷たいものは腸を刺激し下痢を誘発する可能性があります。体温と同じくらいの温度が理想です。
消化に悪いもの
口に筋などが残るような野菜の茎や芯などは、「不溶性食物繊維」という腸に刺激を与える水に溶けない性質の食物繊維です。
下痢をしているときは避け、やわらかい葉先やにんじん・玉ねぎなどの野菜を使いましょう。
同様に、脂質は吸収しづらく下痢を助長させてしまう可能性があるので、バターやマーガリンなどの油は使わず、脂質を多く含む食品も控えましょう。たんぱく質源となる食品では豆腐が、脂質が少なくおすすめです。
そのほかに、肉の場合は鶏のささ身、魚の場合は白身魚が、脂質の少ないものになります。
牛乳などの乳製品
牛乳の乳糖や乳脂肪が下痢の原因となりやすいため、控えましょう。与える場合は少しずつ、様子や症状を見ながら与えましょう。
糖分の多い飲み物
スポーツドリンクは糖分が多く、浸透圧が高まり下痢を誘発しやすくなります。市販の大人向けのスポーツドリンクは、乳幼児用のイオン飲料とは異なり糖分が多いため注意しましょう。
また、オレンジジュースなどの柑橘系の果汁も浸透圧が高まり下痢を誘発しやすいため避けましょう。
下痢の症状が回復してきたときの離乳食は?
下痢の症状が回復してきたら、消化のよい離乳初期のペースト状の離乳食や、一つ前の段階(離乳後期の場合は離乳中期の離乳食)を少量から与えましょう。
メニューではおもゆやおかゆ、うどん、マッシュポテトなどの炭水化物が多い食品や、野菜スープ、味噌汁、加熱したにんじんやりんごのすりおろしなどの消化によいものがおすすめです。
下痢が落ち着いてきたら、徐々に、たんぱく質源となる食品も取り入れると腸粘膜の修復を促進します。このとき脂質が多い食品は消化に悪いため、豆腐や鶏ささみ肉や白身魚などの脂質の少ないものがおすすめです。
長々とおかゆだけを与え続けていると、腸の粘膜が萎縮し回復が遅れることにつながる可能性があるため、下痢が治ってきたら、様子を見て2~3日程度で元の離乳食に戻すようにしましょう。
普段の離乳食に戻すのが心配な場合は医師に状況を伝え、相談してください。
こちらの記事から各食材の月齢ごとのレシピが見られます。
こちらの記事では下痢のときのホームケアについて紹介しています。参考にしてみてくださいね。
参考
「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版) 」(厚生労働省)
五十嵐隆(監修)、『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)実践の手引き』、公益財団法人 母子衛生研究会、2020年
堤ちはる・土井正子編著、『子育て・子育ちを支援する 子どもの食と栄養』、萌文書林、2018年
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