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【専門家監修】出産費用は医療費控除の対象になる?申告方法や注意点

【専門家監修】出産費用は医療費控除の対象になる?申告方法や注意点

出産費用は医療費控除の対象となる可能性があります。想定以上に出産費用がかかった場合は、医療費控除が適用されるか確認してみましょう。この記事では出産費用の医療費控除を受ける方法と注意点を解説します。ぜひ参考にしてください。
出産費用は医療費控除の対象となる可能性があります。想定以上に出産費用がかかった場合は、医療費控除が適用されるか確認してみましょう。この記事では出産費用の医療費控除を受ける方法と注意点を解説します。ぜひ参考にしてください。

医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の額が一定金額を超えるときに、所得税が課税される金額から一定金額を差し引くことができる制度です。

出典:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」

医療費控除を受けるためには確定申告を行う必要があります。年末調整では、控除を受けることができないので注意しましょう。

確定申告の申告期間は毎年2月16日~3月15日が原則ですが、曜日の並びや祝日によって変更される年もあります。正確な日付は国税庁のサイトで確認してください。

確定申告で出産費用の医療費控除を申告すれば、還付金が受け取れるケースは珍しくありません。しかし、出産にかかる費用のすべてが医療費控除の対象ではないので注意しましょう。まずは対象となる出産費用をみていきましょう。

医療費控除の対象になる出産費用

出産にかかる費用とひと口にいっても、医療費控除の対象になる費用とならない費用があります。

前提として医療費控除の対象になるのは、自身と生計を共にする配偶者・その他親族のために支払った医療費であることです。つまり、医療費でないと判断されるものは対象外となります。

控除対象となる出産費用の具体例は次のとおりです。

  • 妊娠中の定期検診・検査費
  • ママと赤ちゃんの入院費
  • 分娩費(帝王切開の場合も含む)
  • 通院や入退院時の交通費(電車、バス、タクシーなど)
  • 入院中の付添人にかかる付添費
  • 入院中に病院から支給される食事(外食や出前は含まれない)

これらの費用は医療費控除の対象なので、きちんと領収書を保管しておいてください。領収書は医療費控除の金額を計算する際に必要になります。

不妊治療費が医療費控除の対象である点にも注目しましょう。不妊治療費は高額になることが多いので、医療費控除を申告することで負担を軽減できる可能性が高いです。

医療費控除の対象にならない出産費用

出産に直接かかる費用が医療費控除の対象となる一方で、次の費用は医療費控除の対象にはなりません。

  • 妊娠検査薬代
  • 通院時に使った車のガソリン代
  • 予防のために任意で接種した予防接種代
  • 入院中の差額ベッド代
  • 里帰り出産で帰省する時の交通費
  • 入院用パジャマや洗面道具などの日用品代
  • 赤ちゃんのおむつ代やミルク代

基本的に診療に必要な医療費とみなされないものは、医療費控除の対象外と考えましょう。

医療費控除でいくら戻ってくるの?

では、医療費控除を申告するといくらくらい戻ってくるのでしょうか?実際の費用をシミュレーションしてみましょう。

医療費控除額の計算式

医療費控除の金額は、次の計算式で求められます。

A:医療費控除額(上限200万円)

その年に支払った医療費の合計-保険金などで補填された金額-10万円

例えば

  • 実際に支払った医療費の合計:60万円
  • 通院の交通費:5万円
  • 出産育児一時金:42万円

だった場合の医療費控除額は、

(60万円+5万円)-42万円-10万円=13万円

となります。

還付金額の計算方法

実際に還付される(戻ってくる)金額は、「医療費控除額」に所得税率をかけることで求められます。

所得税率は5%から45%まで、所得金額に応じて7段階に分けられており、具体的な税率は次のとおりです。

  • 1,000円 から 1,949,000円まで:5%
  • 1,950,000円 から 3,299,000円まで:10%
  • 3,300,000円 から 6,949,000円まで:20%
  • 6,950,000円 から 8,999,000円まで:23%
  • 9,000,000円 から 17,999,000円まで:33%
  • 18,000,000円 から 39,999,000円まで:40%
  • 40,000,000円 以上:45%

課税対象の所得が500万円で医療費控除額が13万円だった場合の還付金額は、

13万円×20%=2万6千円

となります。

計算例

それでは、もう少し具体的に医療費控除のシミュレーションをしてみましょう。

〜所得と所得税率〜

・課税対象の所得660万円(所得税率20%)

~支出~

・自然分娩で出産:50万円

・交通費や妊婦健診などの医療費:40万円

~医療費の補填金等~

・出産育児一時金:42万円

この場合の計算式は以下の通りです。

A:医療費控除金額

(50万円+40万円)-42万円-10万円=38万円

B:還付金額

38万円×20%=7万6千円

となります。

出産手当金は医療費控除額に関係する?

出産手当金は医療費を補填するためのものではないため、「保険金などで補填される金額」に含まれません。あくまでも産休中の収入減を補うためのものなので、医療費控除の対象金額から出産手当金の額を差し引く必要はないのです。

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出産費用の医療費控除の申告と入金のタイミングは?

ここからは出産費用の医療費控除を申告するタイミングと、還付金が入金されるタイミングをお伝えします。

申告の期限

出産費用の医療費控除は確定申告期間に申告しましょう。

確定申告期間は2月16日から3月15日が通例となっていますが、曜日の並びや祝日によっては多少ずれることがあります。

確定申告期間中は、確定申告会場がとても混み合います。確定申告書はできるだけ自宅で作っていくのがおすすめです。また、「e-Tax」という国税電子申告・納税システムを利用すれば、自宅でオンラインによる確定申告ができます。ただし、利用にはマイナンバーカードが必要です。

入金される時期

還付金の振り込みは、確定申告書の提出からしばらく時間がかかります。国税庁によると、特に申告期間中は申告書が集中するため1〜1ヶ月半くらいかかるとのことです。

よりスピーディーに還付を受けたいのであれば、e-Taxで申告するのがおすすめです。e-Taxで申告すれば、混雑している時期であっても3週間程度で還付が受けられます。

出産費用の医療費控除の申請方法は?

それでは、出産費用の医療費控除の申告方法を見ていきましょう。初めて行う場合は戸惑うことも多いと思いますが、1つずつ進めていけば初めてでもスムーズに申告できますよ。

申請時に必要なもの

申告時に必要なものは、次の通りです。

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費領収書(保管)
  • 源泉徴収票の原本(e-Taxで申告する場合は不要)
  • マイナンバーがわかるもの
  • 振込を希望する口座の番号

「確定申告書」と「医療費控除の明細書」は、最寄りの税務署で配布しているほか、国税庁のサイトからダウンロードできます。

「医療費控除の明細書」は、どの医療機関に、いくら支払ったかを記入した書類です。確定申告が近くなったら、医療費の領収証をもとに医療機関ごとに金額を計算してまとめておくと、スムーズに記入できます。

確定申告書の作成と提出方法

確定申告書の作成方法は、3つあります。

  • 手書きで作成する
  • 確定申告会場で作成する
  • ネット上の確定申告書等作成コーナーで作成する

の3つです。

手書きで作成する場合は、税務署または国税庁のサイトで確定申告用紙を入手して記入しましょう。税務署に郵送で提出または、確定申告会場の提出窓口に持参して提出します。

確定申告期間に入ると、全国各地に確定申告会場が設置されるので、その会場で作成することも可能です。ただし、期間中はとても混雑するため、非常に時間がかかることを理解しておきましょう。

インターネットにつながるパソコンやスマートフォンがあれば、国税庁のサイトにある「確定申告書等作成コーナー」がおすすめです。自分の都合がいいときに、簡単に確定申告書が作れます。

自動で計算してくれるので、金額の入力間違いに気をつければ計算間違いが起きにくいです。

マイナンバーカードとカードリーダーまたはマイナンバーカードが読み取れるスマートフォンがあれば、作ってすぐにe-Taxで提出できるため、申告がスピーディーにできます。

マイナンバーカードや対応するカードリーダー、スマートフォンがなくても、最寄りの税務署でIDとパスワードを発行してもらえば、e-Taxが利用できます。

申請時の注意やポイント

確定申告書を提出する前に、次のことをもう一度確認しましょう。

  • 提出する確定申告書に不備や記載漏れ、必要書類の添付漏れがないか
  • 医療機関の領収書はきちんと保管してあるか

また、共働きのママ・パパの場合、実際に医療費を支払った側しか医療費控除を申告できないので注意してください。法律で「自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。」と定められているからです。

出典:国税庁「医療費控除の対象となる出産費用の具体例」

出産費用をパパが支払った場合はパパが、ママが支払った場合はママが医療費控除を行う必要があります。実際にはママが支払っているのに、パパの分として医療費控除を申告することはできません。

出産にまつわる助成・補助はこちらもチェック!

家計にとって大きな負担となる出産費用ですが、医療費控除以外にも様々な制度を活用することで負担を軽くできる場合があります。

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出産したときには、次の記事でも詳しく触れていますが、自治体によっては現金や地域商品券がもらえる場合があります。

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そのほか、出産手当金や出産育児一時金、高額療養費などはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてくださいね。

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ポイントをおさえて出産費用の医療費控除を受けよう!

一見難しそうに見える医療費控除の申告ですが、ポイントを押さえれば初めてでもスムーズに申告できます。

出産には多くの費用がかかるため、家計にとって大きな負担になりがちです。申請するだけでもらえる・還付されるお金もあるので、制度を賢く利用して、家計への負担を軽くしましょう!

  • 医療費控除を申告することで還付金が受け取れる
  • 2月16日~3月15日の確定申告期間中に申告しよう
  • 申告方法は還付金の振り込みが早いe-Taxがおすすめ
  • 申請するだけでお金がもらえる制度は他にもある

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