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【医師監修】妊娠中、熱が出た!薬を飲んでも大丈夫?

【医師監修】妊婦の発熱はどう対応する?適切な対処と予防方法を解説

「妊婦が熱を出すと、胎児に影響があるの?」と心配になりますよね。胎児のことを考えたら、安易に薬を飲めません。また、妊娠中は基礎体温も変わるので、病気にかかっているのか自己判断も難しくなります。本記事では、妊婦の基礎体温や発熱時の対応、服薬について解説します。
「妊婦が熱を出すと、胎児に影響があるの?」と心配になりますよね。胎児のことを考えたら、安易に薬を飲めません。また、妊娠中は基礎体温も変わるので、病気にかかっているのか自己判断も難しくなります。本記事では、妊婦の基礎体温や発熱時の対応、服薬について解説します。

妊娠中の発熱の原因は?

妊娠中の発熱は、ホルモンの影響による体温上昇や病気が原因として考えられます。そもそも、何度からが発熱として判断するのか気になりますよね。

感染症法のなかでは、体温が37.5度以上になると「発熱」、体温が38度以上ある場合は「高熱」と定義されています。

体温測定はわきのしたや肘の内側などで測ります。婦人基礎体温は毎朝早く口の中の舌の下ではかるのですが、一般的な検温では用いられません。朝よりは活動している午後の方がおよそ1度近く体温が上昇します。

また妊娠中はホルモンなどの影響により基礎代謝が高くなるため、平常時より高くなることが多くみられ、非妊娠時の平熱が35度台という人もいます。

妊娠して体温を測ってみると、いつもよりとても高いと心配する人もいるようですが、37.5度をこえるかどうかを発熱の目安としてください。

発熱と体調不良は必ずしも一致するものではないので、発熱を伴わなくても具合が悪くなったら医療機関を受診しましょう。

ホルモンバランスの変化や病的な発熱のことも

女性の基礎体温は、ホルモンの影響によって周期的に変動しています。基礎体温とは、生命維持のためだけにエネルギーを消費している安静時の体温です。月経開始から排卵までの間は、低温期が続きます。

そして排卵後は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えて、高温期に入ります。低温相(低温期)と高温相(高温期)の体温の差は、+0.3度以上といわれており、人によっては高温相の体温が37度を超える場合もあるでしょう。

一方、妊娠中に病気が原因で発熱する場合もあります。

たとえば妊娠中は免疫力が低下するため、感染症にかかりやすい状態になっています。

いわゆる風邪をはじめとして、多くの感染症では発熱という症状がおきます。発熱に対処し、原因となる感染症をつきとめて治療することが必要です。

インフルエンザやコロナ感染症は妊婦において重症化する可能性が知られています。風疹、水痘などの初感染、ジカ熱、デング熱などは赤ちゃんへの影響が心配されます。麻疹、急性腎盂腎炎、虫垂炎などは早産などの原因になることもあり、妊娠経過に影響を及ぼすものです。

インフルエンザ、風疹、新型コロナウィルスについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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基礎体温の測り方

基礎体温は、専用の婦人体温計を使って測定します。より正確な測定値を得るために、婦人体温計は正しく使用しましょう。

  1. 目覚めてすぐ横になったままの状態で測定する
    基礎体温は、十分な睡眠から目が覚めた直後、体を起こさず横になったままの状態で測定します。体を動かすと体温が上昇してしまうため、婦人体温計は、横になった状態で手の届く位置に置いておくとよいでしょう。
  2. 測定部位は舌の下
    基礎体温の測定部位は舌の下です。婦人体温計を舌の付け根部分にあて、舌で押さえるようにして口を閉じます。測定中は、口を開けたり、口で呼吸したりしないようにしましょう。
  3. 基礎体温表に記録する
    測定結果を基礎体温表に記録してグラフ化することで、体がどのような状態か知る手がかりになります。基礎体温の測定は、できる限り毎日同じ時刻に行うのが理想ですが、起床時刻がずれたり測定できなかったりする日がときどきあっても構いません。測定・記録を継続して行い、体温の変化をチェックしてみましょう。

基礎体温の記録はメモ帳やスマートフォンのアプリ、クリニックや製薬会社などのサイトから無料でダウンロードできる体温表など、さまざまなもので記録できます。自分が使いやすいものだと記録が続けられますね。

高熱の場合はどうしたらいい?

38度を超える高熱が出た場合や、38度以下の熱でもなかなか下がらない場合は、適切かつすみやかに対処することが大切です。何科を受診すればよいのか、妊娠中の高熱はどんな影響を与える可能性があるのかなど解説します。

すみやかに産婦人科、内科、耳鼻科、皮膚科、呼吸器科などを受診

発熱の症状がある場合、すみやかに医療機関に相談しましょう。その際、症状や妊娠中であることを伝えます。

伝える際には家族がコロナ感染症にかかってないかや数日の間に接触した人に同様の症状が無いかどうかも医師に伝えましょう。

発熱の場合、基本的には内科、鼻詰まりや喉の痛みは耳鼻咽喉科ですが、受診科目で迷ったらかかりつけ医に相談しましょう。

新型コロナウイルス感染症とその他の感染症は症状が似ていることもあり、自己判断するのは難しいです。市販のコロナ抗原検査キットも 正しく判定されないことが多いので 陰性と出て実は感染していた、感染を知らなかったのでほかに広めてしまったかもしれないということになりかねません。

感染拡大防止対策として、発熱や風邪症状(鼻水、鼻づまり、咽頭痛、咳など)がある場合は、まず受診前に医療機関へ電話で相談するようにしましょう。

発熱が長引くと赤ちゃんに影響が出る可能性も

妊娠中の発熱は、妊娠の経過や赤ちゃんに影響を与える可能性があります。たとえば初期は流産、妊娠の後半では早産などです。

よく知られているのは風疹です。予防接種により、感染が避けられる病気なのですが、一部の世代の男性が予防接種を受けられなくて集団免疫がありません。またワクチン接種を受けた女性でも獲得していた抗体が年月とともに低下してしまって、罹患してしまうことがあります。

妊娠初期の感染では胎児にも胎内感染して白内障や心疾患、難聴を特徴とする先天性風疹症候群を発症する場合があります。

妊婦が水痘に感染すると、水痘肺炎が生じ重症化する恐れがあります。感染のタイミングによっては、まれに胎児にも感染して手足や眼の異常などを引き起こします。

分娩直前・直後に母体が発症した場合は、母体の免疫のない状態で生まれてきた新生児が出生直後に水痘を発症することになります。

麻疹は「はしか」とも呼ばれ、感染力が非常に強い感染症です。妊娠中に感染すると、流産や早産を引き起こす可能性があります。

風疹・水痘・麻疹はいずれも発熱とともに特有の発疹が出る特徴があります。

妊娠中の発熱は程度によらず、医療機関を受診しましょう。

こまめな水分補給を

発熱にともなって汗をかくと、体内の水分が失われるため、こまめに水分補給しましょう。症状によっては水分のみの摂取は逆効果になる可能性もあります。ミネラルを含んだスポーツドリンクや経口補水液を摂ることで、体外に排出された塩分なども補給が可能です。また、水分補給の際は、常温のものを少しずつ数回に分けて飲むとよいでしょう。

薬は飲んでもいい?

発熱によって体がしんどいと、薬に頼りたくなってしまうかもしれませんよね。しかし、妊娠中の薬の服用は赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要です。

自己判断での服用は避けて必ず医師の指示に従う

薬によっては、赤ちゃんに影響を与える成分が含まれている場合があります。妊娠中は自己判断で市販薬を服用するのは避け、かかりつけの産婦人科を受診して医師の指示に従いましょう。また、妊娠以前に継続して服用していた処方薬がある場合は、自己判断で服用を開始したり中止したりせず、医師に相談してください。

「妊娠に気づく前に薬を服用してしまった」「産婦人科以外の医療機関を受診し、妊娠を伝えた上で薬を処方されたが本当に飲んでも大丈夫か」など、薬の服用に関して不安に思うことがあるかもしれません。そのような場合も、かかりつけの産婦人科医に確認してみるとよいでしょう。

発熱以外も気をつけたい妊娠中のさまざまな症状について

発熱とともに発疹が現れる病気をご紹介しました。

すぐに感染症という原因がわかる場合もありますが、不明熱(原因がわからない、まだわからない発熱症状)といわれる、原因不明の発熱が続くことがあります。放置は禁物です。

以下にあげるような症状を伴っていないか気を付けてみてください。特に心配のない場合もありますが、病気が隠れている可能性もあるので注意が必要です。

原因がわからなくとも高熱がずっと続くことは妊娠中胎児にとっては望ましくないので、一次対応として解熱剤を使う必要があります。医師の指示に従って服薬するなどの対処をしてください。

  • 寒気
    妊娠期間はホルモンの影響による基礎体温の上昇、自律神経の乱れなどから寒気を感じる場合があります。体を温める工夫をしましょう。
  • 頭痛
    頭痛も妊娠中に起きやすい症状の1つです。頭痛には病気が原因ではない「一次性頭痛」と、病気が原因でおこる「二次性頭痛」があります。一次性頭痛の偏頭痛などは、ホルモンバランスの変化でも生じる頭痛です。対処法が異なるので、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
  • 腹痛、下痢や便秘など消化器症状
    虫垂炎、胆嚢(たんのう)炎、膵炎、炎症性腸疾患など妊娠と合併することがあります。下痢は継続すると脱水症状を招くおそれがあるため、水分補給はしっかりおこないましょう。
  • 風邪
    妊娠中は風邪をひきやすく、悪化しやすい状態です。医療機関を受診し、安静・水分補給・保温を心がけましょう。
  • 花粉症
    花粉に対して体がアレルギー反応をおこしている状態で、目のかゆみやくしゃみなどの症状があらわれます。妊娠中はホルモンの変化により、アレルギー症状を起こしやすいといわれています。花粉をなるべく浴びない対策をしましょう。

最近は花粉症と思い込んでいて実はコロナ感染症であったケースも報告されています。

まれではありますが、膠原病や血液疾患などがみつかることもあります。

妊娠中の寒気、頭痛、下痢、風邪、花粉症について、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

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予防を心がけよう

妊娠中はホルモンバランスの変化などで免疫力が低下し、発熱をともなう症状にもかかりやすいです。予防策として、妊娠中は以下のポイントを心がけましょう。

  • うがい・手洗いの徹底
    こまめなうがい手洗いは予防に欠かせません。手洗いは水洗いだけでなく、石けんを使用することで予防効果が高まります。公共の場へ出入りしたときや食前食後など、こまめにおこないましょう。
  • マスクの着用
    感染リスクを抑えるために、マスクを着用しましょう。マスクは口だけでなく、鼻も覆うようにして隙間がないようにつけます。うがい・手洗いとあわせて徹底して、効果的な感染対策を心がけましょう。
  • 食中毒にも気をつけて
    細菌やウイルス性の食中毒でも発熱する場合があります。調理器具はしっかりと洗浄・殺菌し、生食は避け、十分に加熱してから食べましょう。細菌の多くは高温多湿な環境を好むため、食品は低温保存が基本になります。
  • 妊婦健診は定期的に
    感染症の中には、妊婦健診の際に検査が行われるものもあります。妊婦健診は定期的に受けましょう。

感染予防についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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発熱したら医療機関へ

妊娠中に発熱したら、赤ちゃんへの影響が心配で不安な気持ちになってしまいますよね。自己判断せず医療機関に相談・受診しましょう。発熱時は、脱水症状を避けるために水分補給も忘れずに。

高熱ではなくても発熱以外に気になる症状があったり、体がつらかったりするときは、無理をせずかかりつけの産婦人科医に相談してください。

妊娠中はできるだけ病気は避けたいものです。日頃の食事や睡眠、運動などで体調を整えることが大切です。予防として、手洗いうがい、マスク着用などの感染対策も忘れないようにしましょう。

  • 妊娠中の発熱はホルモンの影響による体温上昇や病気が原因
  • 妊娠中は免疫力が低下して感染症にかかりやすい状態になっている
  • 発熱時の薬の使用方法は自己判断しない

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