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【医師監修】授乳中に生理が再開するのはいつ?生理再開で授乳に影響はある?

【医師監修】授乳中に生理が再開するのはいつ?生理再開で授乳に影響はある?

「母乳での授乳中は生理が再開しにくい」という話を聞いたことがある人もいるのでは?産後の生理の再開時期は個人差が大きく、母乳育児中でも産後2ヶ月で再開するママや、産後1年経ってから再開するママもいます。授乳中の生理の再開時期や授乳への影響について解説します。
「母乳での授乳中は生理が再開しにくい」という話を聞いたことがある人もいるのでは?産後の生理の再開時期は個人差が大きく、母乳育児中でも産後2ヶ月で再開するママや、産後1年経ってから再開するママもいます。授乳中の生理の再開時期や授乳への影響について解説します。

母乳育児中は生理がこない?

赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激(吸啜刺激・きゅうてつしげき)によって、授乳中のママの体は「プロラクチン」というホルモンの分泌が増えます。プロラクチンは母乳の分泌を促すとともに、卵巣の機能を抑える働きがあります。そのため、母乳育児中はミルク育児に比べて生理の再開が遅れやすくなるのです。

また、産後のママは出産によるダメージや急激なホルモンの変化、昼夜を問わない赤ちゃんのお世話などで睡眠が不足し、心身ともに弱った状態です。その上にストレスや体重の変化などが重なると、月経周期が乱れたり、無月経が長期間続いたりすることがあります。

産後の生理(月経)再開はいつ頃?

産後の生理再開時期は母乳育児をしている場合、産後3〜4ヶ月とされています。ただし、個人差が大きいため、この期間より早い場合も遅い場合もあります。その理由を解説します。

母乳育児の場合、生理が再開する時期は産後3~4ヶ月頃

生理の再開時期は、母乳育児かミルク育児かの授乳方法によって差があります

母乳育児の場合、生理の再開時期は産後3〜4ヶ月頃なのに対して、ミルク育児の場合は産後約2ヶ月頃とされ、母乳育児の場合に比べて無月経の期間が短くなっています。

これは、ミルク育児の場合は赤ちゃんが吸うことによるおっぱいへの刺激がないため、プロラクチンの分泌量が減り、卵巣の機能を抑える効果が低下するためです。

ただ、生理の再開時期は個人差が大きく、母乳育児中でも産後3ヶ月より前に再開する場合もあれば、産後1年以上経ってから再開することもあります。一般的には卒乳後や、離乳食が進んで母乳を飲む量が減ったり、夜間の授乳が減って母乳での授乳回数が少なくなったりしたタイミングで、生理が再開しやすくなります。

産後の生理不順はよくあること

生理が再開しても、次の月に予定通りに来ない、いつもより早い、再開後また止まるなど、生理不順になるママは少なくありません。これは、産後初めての生理は排卵を伴わないことが多いためです。

このような状態を「無排卵周期症」といいます。思春期や更年期にも見られる症状で、病的なものではありません。基礎体温を測っていると、体温が低い時期(低温相)と体温が高い時期(高温相)の2相性にならず、1相性のままであることに気づくでしょう。

産後はホルモンバランスの変化が大きく、少しずつ妊娠前の状態に戻っていきます。その過程で、無排卵周期症が起こる場合があります。通常の生理とは違うため、生理周期や経血の量がいつもと違うことも。産後の生理不順はよくあることだと考えて、不安になりすぎないことが大切です

育児で忙しい中でも、できる限りの休息や気分転換を心がけてママ自身の心身を休ませる時間を設けましょう。ただし、経血の量が多い場合や、生理が8日以上続く場合は一度、産婦人科を受診することをおすすめします。

1年以上生理が再開しない場合は受診を

生理は、産後8ヶ月で70〜80%の人が再開するという報告があります。産後1年以上生理が来ない場合は一度、産婦人科を受診して相談すると安心です

また、断乳や卒乳後に生理が来ない状態が数ヶ月続いている場合も、受診することをおすすめします

産後初めての排卵で妊娠が成立しているケースや、なんらかの理由で生理が起こりづらくなり治療が必要なケースがあることも知っておきましょう。

母乳育児中で生理が再開した場合、授乳に影響は?

母乳育児中に生理が再開することで、母乳の量や味が変化すると思っている人もいるかもしれませんが、科学的な根拠はありません。詳しく解説します。

母乳の量や出方

生理が再開した場合、母乳の分泌量が少なくなっていることが考えられます。

これは、母乳の分泌量と生理には、プロラクチンというホルモンが影響しているためです。

プロラクチンは赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で分泌され、母乳を作る作用と生理を抑制する作用があるホルモンです。そのため、母乳での授乳頻度が少ないと母乳の分泌量が減り、生理が再開しやすくなります。一方で、授乳頻度が多いと母乳の分泌量は増え、生理は抑制されます。

ただ、生理が再開しても授乳頻度が増えれば母乳量が増えることもあるでしょう。

母乳の質

生理再開後の母乳について「味が薄くなる」「赤ちゃんが飲むのを嫌がる」などの話を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、生理再開によって母乳の味や質が変化するという科学的根拠はありません。

ただ、母乳中の栄養成分は、時期によって変化することが知られています。産後すぐはたんぱく質が多く、脂質や糖質は少なめです。それが時間の経過とともに、たんぱく質が減少し、脂質や糖質は増加することがわかっています。

生理再開後も母乳育児はできる?

赤ちゃんは成長にともなって、夜間もまとまった時間眠るようになります。夜間授乳が減れば授乳回数も減り、母乳の量も減ってくることになります。そして、プロラクチンの分泌量が減り、生理が再開します。

生理再開後も母乳育児は続けられます。夜間ぐずることがあれば授乳し、日中も授乳回数を増やせば、プロラクチンの分泌量が増え、母乳の分泌量も増えることでしょう。

また、母乳の分泌量を増やすには、十分な水分と栄養バランスの整った食事をとること、できるだけストレスを溜めないこと、ママの休息時間を作ることも大切です。

母乳育児中に生理が再開したら気をつけること

母乳育児を続けているときに生理が再開したら、食事の栄養バランスや、体を温め血行をよくするように心がけましょう。具体的に解説します。

バランスのいい食事を心がける

母乳育児中は、母乳の栄養とともにママの健康を維持するために、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。特に気を付けたいのが、鉄分です。

母乳育児中に生理が再開すると、授乳で鉄分が失われるのに加えて経血によっても鉄分が失われ、貧血になりやすくなります。鉄分の失われる量は、授乳よりも生理による消費のほうが多いため、生理の再開が遅いほど、鉄分不足になりにくいことがわかっています

生理が再開したら、下記のような鉄分の多い食品を意識してとるようにしましょう。ビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒に食べることで、鉄分を吸収しやすくなります。

  • あさりの水煮
  • 豚レバー
  • 牛ヒレ肉
  • がんもどき
  • 納豆
  • 小松菜
  • ほうれん草 など

授乳中の食事については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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体を温め血行をよくする

生理中は基礎体温が低温期に入るため、体が冷え、血行が悪くなります。血行が悪いと、肩こりや腰痛、めまい、頭痛、便秘などの原因になることも。

母乳はママの血液から作られるため、意識的に体を温めて血流をよくしてあげましょう。冷えを予防する方法としては下記が挙げられます。

  • 根菜類やショウガ、ネギ、ニンニクなどの香味野菜を食べる
  • 適度な運動で筋肉を付ける
  • 締め付けのきつい下着や衣服は避ける
  • 強い冷房は避ける
  • 三首(首・手首・足首)を温める
  • シャワー浴ではなく、湯船にゆっくり浸かる(ただし、生理の量が多い時は湯船を避けた方が良いでしょう)

母乳育児中、妊娠の可能性は?

母乳育児中でも妊娠する可能性があります。詳しく解説します。

月経再開前も排卵・妊娠の可能性あり

母乳育児中はプロラクチンの分泌によって排卵が起きにくい状態です。しかし、プロラクチンの量は産後の経過とともに少しずつ減っていくため、排卵が再開するタイミングがやってきます。そのタイミングは、いつ訪れるかはわかりません。

もし、排卵のタイミングで避妊せずに性交渉をした場合、妊娠する可能性があります。そのため、母乳育児中で生理が再開していなくても、妊娠を望まない場合は避妊することが大切です。

母乳育児中の避妊方法

産後1ヶ月健診で問題がなければ、夫婦生活を再開してもOKとなります。ただし、妊娠を望まない場合は、必ず避妊をしましょう。母乳育児中の生理の再開時期は産後3〜4ヶ月頃とされていますが、個人差があるためそれより早く排卵再開する可能性があります。

産後すぐの避妊方法は、コンドームがおすすめです。

ほかにも、女性主体の避妊方法としてはIUD(子宮内避妊器具)があります。

IUDは、子宮内にプラスチックの小さな器具を入れておくことで受精卵の着床を防ぐ避妊方法です。母乳育児中でも使え、一度器具を入れると2〜5年間は避妊効果が持続しますので、しばらく妊娠を望まない人におすすめです。産後6週間が経過し、子宮が元の大きさに戻れば使用できますので、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。

避妊方法として低用量ピルの服用もありますが、母乳育児中には使用できません

母乳育児中の生理が辛い場合、薬を飲んでもいいの?

母乳育児中でも生理痛に対して使える薬はあります。どんな薬なら飲んでもいいのか、見てみましょう。

鎮痛薬

母乳育児中でも使える鎮痛薬はいくつかあります。

痛みを抑えるのに効果的で、母乳にわずかしか移行しないのが、「イブプロフェン」です。市販薬でもイブプロフェンの入った鎮痛薬が販売されていますが、使用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。

イブプロフェンのほかにも母乳育児中に安全に使用できると考えられる薬は複数あります。国立成育医療研究センターのホームページに、「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」の一覧などが掲載されています。薬を服用するまえに一度検索してみることをおすすめします。

ただし、生理のたびに鎮痛剤を服用しないと耐えられない生理痛は、なんらかの病気や異常の可能性も考えられます。一度、かかりつけの産婦人科を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。

母乳育児中の薬の服用についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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産後の生理不順はよくあること。生理再開に備えておこう

産後の生理再開時期は個人差が大きく、予測ができません。母乳育児中は再開が遅くなりやすいですが、産後2ヶ月程で再開することもあります。いつ再開してもいいように心づもりをしておきましょう。

生理について、こちらの記事もご覧ください。

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  • 母乳育児中の場合、生理の再開時期は産後3~4ヶ月だが個人差が大きい
  • 母乳育児中に生理が再開することで、母乳が変化するという医学的根拠はない
  • 母乳育児中でも排卵が再開するため、妊娠を望まない場合には必ず避妊が必要

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