【医師監修】妊娠中は痔になりやすいって本当?おしりが痛む原因と対策・予防法を解説!
妊娠してから、おしりが痛い・排便時に出血するなどの症状に悩まされていませんか?もしかすると、それは痔かもしれません。
妊娠中は、痔になりやすいといわれています。痔の種類によっては、手術が必要になることもあるので、放っておくのはおすすめしません。
この記事では、妊娠中に痔になりやすくなる原因と、日常生活の中でできる対策・予防法を解説します。おしりの痛みに悩んでいる人は、参考にしてみてくださいね。
妊娠してから、おしりが痛い・排便時に出血するなどの症状に悩まされていませんか?もしかすると、それは痔かもしれません。
妊娠中は、痔になりやすいといわれています。痔の種類によっては、手術が必要になることもあるので、放っておくのはおすすめしません。
この記事では、妊娠中に痔になりやすくなる原因と、日常生活の中でできる対策・予防法を解説します。おしりの痛みに悩んでいる人は、参考にしてみてくださいね。
妊娠中は痔になりやすいって本当?
妊娠中は、痔になりやすいといわれています。出産経験がある女性の約7割が痔を経験しているともいわれており、痔は決して珍しくないトラブルです。
一般的に、妊娠中に痔になってしまった場合は生活習慣の見直しや薬の服用による治療を行います。
妊娠中は痔になりやすいものの、普段の生活の中で行える対策も多いので、できる範囲で予防に努めましょう。
痔ってどんな病気?
ここからは、痔について解説します。意外と知っているようで知らない痔について正しく知っておきましょう。
痔とは
痔とは、肛門に起こる病気で、主にいぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・痔ろう(あな痔)の3つを指します。
痔は、成人の3人に1人はなんらかの痔を患っているといわれるほどポピュラーな病気です。痔になると、排便時の出血や痛みのほか、排便時のいきみによって痔核が外に出てくる「脱肛」や、肛門周辺のしこりや化膿といった症状が現れます。
症状が軽い場合は内服薬や塗り薬・座薬で治療できますが、場合によっては手術が必要になることもあるので、早めに治療をはじめましょう。
痔の種類
痔にはいぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・痔ろう(あな痔)があります。それぞれの特徴を解説します。
いぼ痔(内痔核・外痔核)
いぼ痔は、肛門の外または内側にいぼができるタイプの痔です。
肛門の外側にできるいぼ痔を「外痔核(がいじかく)」、内側にできるいぼ痔を「内痔核(ないじかく)」といいます。
妊娠時は、大きくなった子宮で肛門が圧迫されるため、血流が悪くなっていぼ痔ができやすくなるといわれています。
いぼが小さいうちは外に飛び出たり、痛みを感じたりすることはありません。しかし、徐々に大きくなってくると排便時にいきんだだけでいぼが肛門の外に飛び出てきたり、痛みを感じやすくなったりします。
切れ痔(裂肛)
切れ痔は「裂肛(れっこう)」とも呼ばれる痔で、文字通り肛門が裂けてしまうタイプの痔です。便秘の人がなりやすいといわれています。
切れ痔は、排便時に強い痛みを感じたり、出血したりするのが特徴です。妊娠中は胃腸の働きが鈍くなるだけでなく、ホルモンの影響で便秘になりやすいため、切れ痔になりやすいといわれています。
痔ろう(あな痔)
痔ろう(あな痔)は、腸と肛門周辺の皮膚の間にトンネルができてしまう痔です。肛門周辺に膿が溜まる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」が悪化して慢性化すると、痔ろうになります。
体の免疫機能が落ちているときに、肛門の組織に細菌が入り込むと痔ろうになりやすいとされています。
痔ろうになると、安静にしていても激しい痛みや発熱などの症状が現れます。市販薬で対処することは難しく、治療には手術が必要です。
妊娠中の痔の原因
妊娠中の痔の原因の多くは、便秘です。妊娠中は、胃腸の働きが鈍くなるほか、ホルモンの影響で便秘になりやすくなります。
人によっては「強くいきんだら赤ちゃんが出てきてしまうのではないか」と不安になって、排便を我慢してしまうこともあるでしょう。
その結果、どんどん便が硬くなり、排便時に肛門を傷つけて切れ痔になってしまうことがあるのです。
大きくなった子宮で肛門が圧迫され血流も悪くなっているため、その状態で排便時に強くいきむと、いぼ痔ができることがあります。
分娩時のいきみが原因で産後に痔になる人もいる
分娩時のいきみが原因で産後に痔になる人もいれば、妊娠中の痔が慢性化してしまう人もいます。
痔で病院を受診するのは恥ずかしいと思うかもしれませんが、放っておくことはおすすめしません。
悪化すると、人によっては手術が必要になることもあるので、まずはかかりつけの産婦人科で相談してみましょう。
妊娠中の痔の予防法
ここからは妊娠中の痔の予防法を解説します。
食物繊維をしっかり摂る
妊娠中の痔の多くは、便秘が原因です。便秘を防ぐためにも、食物繊維や乳酸菌をしっかり摂るようにしましょう。
おすすめの食品は、野菜や果物、納豆やヨーグルトなどの発酵食品、わかめなどの海藻類です。
香辛料をたっぷり使った料理は便秘を悪化させる原因になるので、妊娠中は控えましょう。
こまめに水分を補給する
便秘にならないためには、こまめな水分補給も大切です。妊娠すると頻尿になりやすくなるため、水分を控える妊婦さんもいるでしょう。
しかし、水分が足りなくなると便が硬くなって便秘になってしまうので、こまめに水分を摂りましょう。
ただし、キンキンに冷えた飲み物ばかりを飲むことは避けてください。冷たい飲み物ばかり飲んでいると体が冷えて血行が悪くなり、痔になりやすくなってしまいます。
適度に体を動かす
適度に体を動かすのも大切なことです。おなかが大きくなってくると体を動かすのがおっくうになりますが、無理のない範囲でストレッチをしたり、軽く体を動かしたりしましょう。体を動かすと腸の動きが活発になり、便秘になりにくくなりますよ。
トイレを我慢しない
トイレを我慢するのも禁物です。いきむと赤ちゃんに影響するのではないかと心配になるかもしれませんが、排便を我慢すると便秘になりやすくなってしまいます。
また、すでに切れ痔になっていて、排便時の痛みが嫌でトイレを我慢しているという人もいるかもしれません。
しかし、トイレを我慢すればするほど、便の水分が失われて硬くなり、切れ痔・いぼ痔になりやすくなります。トイレはできるだけ我慢しないようにしましょう。
妊娠中に痔になってしまったときの対処法
妊娠中に痔になってしまったときは、次のように対処しましょう。
痛みがあるときは安静にする
痛みがあるときは、無理をせずに体を休めましょう。
体の左側を下にして横になる「シムス位」などの楽な姿勢をとり、全身の力を抜いてしばらくじっとしていてください。このとき、おしりには力を入れないことが大切です。
患部を清潔に保つ
切れ痔の場合も、いぼ痔の場合も、おしりを清潔に保つことが重要です。おしりをていねいに拭いたり、ウォシュレットを使ったりして清潔に保ちましょう。
赤ちゃん用のおしりふきなどでやさしく拭くのもおすすめです。不潔な状態を放っておくと、かぶれたりかゆくなったりすることがあります。
円座クッションなどを活用する
痔になってしまったら、おしりに刺激を与えないよう円座クッションなどを活用しましょう。
特に妊娠しておなかが大きくなってくると、子宮により圧迫されて肛門に大きな負担がかかります。
負担を和らげるグッズなども積極的に活用してみてくださいね。
市販薬を使う場合は事前に医師・薬剤師に相談を
妊娠中に市販薬を使用する際は、必ず事前に医師または薬剤師に相談しましょう。市販薬のなかには、妊娠中に使用できないものもあります。
赤ちゃんに影響する成分が配合されているものもあるので、自己判断で購入・使用するのは避けてください。
市販薬を使用するのが不安な場合は、病院で薬を処方してもらうとよいでしょう。
妊娠中の痔はよくあるトラブル。便秘対策をして予防しよう
妊娠中の痔は、よくあるトラブルです。おなかが大きくなってくると、大きくなった子宮で肛門が圧迫され、切れ痔やいぼ痔になりやすくなります。
妊娠中の痔を防ぐには、便秘対策が欠かせません。
食物繊維を含む食材を積極的に献立に取り入れるほか、こまめに水分を補給したり、適度に体を動かしたりして便秘を予防しましょう。
妊娠中、痔に悩まされた場合は早めに医師に相談することも大切です。症状が悪化する前に、妊婦健診の際などに相談してみてくださいね。
- 妊娠中の痔はよくあるトラブル
- 妊娠中の痔は切れ痔やいぼ痔が多い
- 便秘対策で痔を予防しよう!
- 市販薬を使用する場合は事前に医師や薬剤師に相談を
- 症状が気になるときは早めに医師に相談しよう
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
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記事の一部では妊娠中の方から寄せられた体験談を紹介しておりますが、個人の実体験に基づいており医学的根拠があるものとは限りません。専門家の見解と異なる意見も含まれるためご注意ください。
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