【医師監修】帝王切開術の手術日の決め方は? いつ頃決まるの?
帝王切開術とは?
「帝王切開術」とは、なんらかの理由で「経腟分娩」ができないときに、ママのおなかと子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術です。
あらかじめ帝王切開分娩の手術日が決まっているケースを「予定帝王切開術」、出産の途中で、帝王切開分娩に切り替えるケースを「緊急帝王切開術」といいます。
帝王切開術は安全性の高まった手術とはいえ、リスクもあります。基本的には医学的な理由があるときに行われます。
予定帝王切開術は事前に手術日を決める
予定帝王切開術は、あらかじめ手術日を決めます。
予定帝王切開術を行う理由としては
- 子宮筋腫核手術などの子宮の手術をしたことがある
- 前回の出産が帝王切開術
- 双子や三つ子などの多胎妊娠
- 前置胎盤
- 逆子
- 児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう/ママの骨盤に対して赤ちゃんの頭が大きいなど分娩の進行が困難と予測される)
- ママや赤ちゃんに病気がある場合
- 高年齢妊娠で初産
などがあります。
前回帝王切開術をしていて、今回も帝王切開術と決定しているケースでは早めに手術の予定日が決まることもあります。
ただし帝王切開となる理由はさまざまです。理由によって、手術が決まる時期は違っていて、比較的直前に手術日が決まることもあります。
帝王切開の手術日の決め方は?
予定帝王切開では、だいたい妊娠何週を手術日にするのか気になりますよね。日にちの決め方や、いつ決まるのかについていくつか紹介します。
妊娠38〜39週頃を手術日にすることが多い
以下の場合の予定帝王切開の手術予定日は、出産予定日よりも1〜2週間程前の妊娠38〜39週頃に設定するケースが多いでしょう。
- 逆子
- これまでに子宮の手術をしたことがあるママ
- 前回が帝王切開分娩だったママ
- 児頭骨盤不均衡(39〜40週となることが多い)
陣痛はいつ来るかわからないため、あまりにも出産予定日近くの妊娠40週頃に予定すると、先に陣痛がきて緊急帝王切開術となる可能性が高まります。
かといって、あまり早めに手術日を設定すると、赤ちゃんの肺の機能が未成熟で呼吸が不安定になってしまい新生児科に入院を要することがあります。
妊娠38〜39週を手術日にするのは、おなかの赤ちゃんの成熟のことを考えつつ、緊急手術を避けるために遅すぎない時期を選んでいるためです。
ただし、子宮口に胎盤のある前置胎盤では、これより早めに帝王切開分娩を予定します。
前置胎盤は赤ちゃんより下(子宮口)に胎盤があるため、陣痛が起きて先に胎盤がはがれ始めると、赤ちゃんへ酸素が行かなくなって危険な状態になります。また胎盤がはがれ始めると大出血を起こしてママの全身状態にも影響します。
個人差がありますが、早めに入院してママと赤ちゃんの状態を管理します。そのうえで、妊娠37週台を手術予定日にすることが多いでしょう。
ほかにもママや赤ちゃんに病気があったりするときは、妊娠38週に限らず、それぞれのママや赤ちゃんにベストな手術日を主治医が慎重に決定します。
帝王切開分娩を選択する際、ママは手術日を選べるの?
帝王切開術の手術日の決め方ですが、どの産婦人科のクリニック、病院でもたいてい手術が可能な曜日・時間帯が決まっています。
この日は手術室のスタッフ、麻酔科の医師、小児科の医師、ほか産婦人科のスタッフなどを確保して体制をできる限り万全に整えている日です。病院の規模により、手術日を週に何日設けているかは異なりますが、予定帝王切開術では、この手術日の中から予定日を決めることになります。
予定帝王切開では、ママとおなかの赤ちゃんの最適な時期で、病院が対応できるときを選びます。ママと家族の希望日がその範囲内であれば希望を伝えるのもよいでしょう。ですが、いつでも好きな日を選べる、というわけではないため注意しましょう。
逆子(さかご)の場合の帝王切開術の手術日の決め方は?
逆子の場合、経腟分娩では赤ちゃんにリスクが高くなるため帝王切開術を原則とする医療機関がほとんどです。
出産のときまで逆子となっているのは、全体の妊娠の3〜5%とされています。
おなかの赤ちゃんは妊娠26週ごろまでは、ママの子宮内にスペースがあるため、ぐるぐると回転しています。妊娠28週に入ってくると大きくなってきたおなかの赤ちゃんは、頭を子宮口に向けた位置(頭位)に定まってきます。
妊娠35週頃までは様子を見ながら自然におなかの赤ちゃんが回転するのを待ちます。
外回転術といって、赤ちゃんが頭位になるように矯正する方法があり、施設によっては対応しています。
妊娠36週頃になると自然な回転はしにくくなるため、予定帝王切開分娩を検討することになります。
妊娠38週頃に設定された予定帝王切開当日の診察のときに、逆子から頭位に戻っていることもあります。その場合は帝王切開術の適応ではなくなるため経腟分娩に切り替え、陣痛を待ちます。
逆子の詳細については以下の記事も参考にしてくださいね。
双子の場合の帝王切開の予定日の決め方は?
双子を妊娠しているママの身体は、赤ちゃん1人の妊娠のときよりも負担がかかり、約半数が早産(妊娠22週0日から36週6日までの出産)となっています。
予定帝王切開分娩や計画分娩の場合には、37~38週がもっとも周産期死亡率(妊娠満22週以降の死産と生後1週間以内の新生児死亡とを合わせた割合)が低いといわれることから、37週前後を帝王切開術の手術日とするケースが多くなっています。
ただし、一絨毛膜一羊膜双胎(いちじゅうもうまくいちようまくそうたい)※1は、32〜34週の出産が選択肢の一つであるとされています。
双子の種類(膜性診断※2・先に生まれる子が頭位か骨盤位か)や、それぞれのママや赤ちゃんの状態により、個別に出産に適した時期が異なるため医師に確認してみましょう。
※1 一絨毛膜一羊膜双胎:一卵性で胎盤が一つ、羊膜の隔たりがなく一つの部屋で育つ双子
※2 膜性診断:双胎妊娠と診断されたとき、胎盤の数や羊膜の数などで分類すること
双子の詳しい情報や帝王切開については以下の記事も参考にしてくださいね。
帝王切開術の手術予定日よりも先に陣痛が来たら?
通常は、陣痛が来る前に予定帝王切開分娩が行えるように、出産予定日の1〜2週間ほど前に手術の予定を立てます。それでもその前に陣痛がくることがあります。
帝王切開分娩を予定していても手術の前に陣痛が始まった場合、その日に緊急帝王切開分娩となります。
ただし、病院に着いたときにはもうすでに赤ちゃんが生まれそうな状況になっているときには、そのまま経腟分娩を行うこともあります。
赤ちゃんから苦しいサインが出ていたり、早産になりかけていたりあるいはママに妊娠高血圧症候群のようなリスクがあるときも予定日を変更して対応することもあります。
予定帝王切開分娩、手術の流れは?
予定帝王切開分娩では、ママや赤ちゃんの状態にもよりますが、前日までに入院となることが多いでしょう。病院により少し異なりますが、流れを簡単に解説します。
①説明と同意:主治医から帝王切開術が必要な理由と、帝王切開術を行わなかった場合のリスク、手術に伴うリスクなどが説明されます。自分か家族が同意書にサインします。
②手術の準備:手術後の下半身の血流を良くするため弾性ストッキングを着用します。心電図や血圧測定をし、尿道カテーテルを入れます。
③点滴開始:緊急のときに速やかに対応できるように前もって行います。
④麻酔・消毒:下半身だけ痛みをとる腰椎麻酔を行うことが多い。つづいておなかを消毒します。
⑤手術・赤ちゃん誕生:おなか、子宮の壁を切開し、破膜して赤ちゃんを取り出します。切開してからは約5〜10分ほどです。下半身の麻酔の場合、赤ちゃんの産声が聞けます。胎盤を取り出し、傷口を自然に溶ける糸で縫合します。
帝王切開では手術のため保険適応となり、使える制度があります。以下の記事を参考にしてください。
不安なことは医師や助産師に相談しよう
帝王切開の手術予定日は、ママと赤ちゃんの状態を観察しながら決定します。
予定帝王切開では、手術が決まってから当日までは時間があります。赤ちゃんの出産予定日が決まっていて比較的心の準備がしやすいものの、不安が生じることもありますよね。
もし手術についてわからなくて不安に思ったり、なかなか受け入れられない、と思うときには1人で抱え込まずに医師や助産師に相談してみましょう。
- 予定帝王切開では事前に手術の予定日を決める
- 陣痛が来る前で赤ちゃんの成熟した、妊娠38〜39週頃が目安
- 行う理由はさまざまでママと赤ちゃんの安全を最優先して決められる
サイベックスベビーカー当たる!
人気のベビーカー「サイベックス リベル」が当たるよ♪
写真提供:ゲッティイメージズ
※当ページクレジット情報のない写真該当